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中国ネット世界で他人の画像を無断利用すると捕まるかも

先日、日経新聞の記事で日本には画像の違法利用を見つけて摘発するサービスがあることを知りました。記事によると

「Pixsy」というサービスは、自分の写真を登録しておくとネット上の無断使用を監視・発見し、賠償金請求まで代行してくれるという。報酬は取得額の50%で、最大500枚まで無料で登録、監視してもらえる。キャッチコピーは「画像泥棒と戦う」だ。

どのくらい普及してるのかはわからないですが、需要がありそうなサービスに思えます。

でもまだ常識の範囲内です、この分野も中国は日本人には考えられないような事態になってます。今日は(個人メディア業の発達に伴う)画像の権利問題の話をします。

写真データベース「視覚中国」

以前に文章の無断使用の拡大と、無断使用を防ぐプラットフォームの技術、そしてそのプラットフォームの対策を上回る文章ロンダリング技術「洗稿」を紹介しましたね。

今日はこれとは逆の話になります。

みなさんも文書を書く際には画像を入れますよね。僕の場合、もちろん中国のネット上から拝借することもありますが、できるだけ自分が撮った写真やフリーランスのものを使うように注意してます。なぜならば中国のネット民たちは知っているのです「無断使用でときに恐ろしいことが起こり得ること」を。

中国では「視覚中国」という写真のデータベースみたいなウェブサイトがあります。中国のwikipediaである「百度百科」によりますと、2000年末に設立され、その後に世界大手のデジタル画像・映像会社と提携したり、中国の素材大手を買収したりして成長。そして2014年に上場を実現しました。また、2018年にグローバル撮影コミュニティー「500px」を買収しました。

「視覚中国」に訴えられた人たち

今年の4月10日、人類初、ブラックホールが撮影された写真が公開されましたね。

↑これについてヨーロッパ南方天文台(ESO)は「この画像は公開されており誰でも使うことが可能です」と公表しました。

でも「視覚中国」のサイトでは、この写真はデータベースに登録されており、下記のように表示されていたのです。

↑視覚中国のロゴが付けられ、版権は視覚中国にあります。右側には「利用したい場合営業担当に連絡してください」と書いてます。

「いやいやいやいや、これはおかしいですよね?」と思ったネットユーザーが問い合わせた結果「利用形式によって数百元から数千元がかかる」との返事が返ってきたとのこと。

もはや権利を守るのではなく権利を使ったビジネス

写真の版権を主張して、より良いネット環境を作ることはもちろん良いことだと思います。しかしこの「視覚中国」は既にある画像の権利を自分たちのものと主張し、違反者を取り締まることで儲けるビジネスを始めました。

中国の信用サイトで調べたところ「視覚中国」とその関連会社と裁判になった訴訟記録が11023件もあります。主に2012年から現在までのもので、特に2017年、2018年の2年間では合計4729件の訴訟。

単純計算で、年中休まないで平均1日6.5件訴訟を起こしたことになります。もはや裁判専門のコンテンツ会社です。

中国ネット民が恐れる驚異の「鹰眼」

「視覚中国」は2017年に画像のビッグデータとAI技術を応用して独自技術の画像版権追跡システム「鹰眼」を開発しました。このシステムを使うことで、自社の画像データベースにある写真のネット上での利用状況を全て追跡することが可能、権利主張と保護コストが大幅に削減できたとこと。

個人でメディアを運営している人たち(ブロガー等も含む)が使った写真ももちろん追跡されました。不注意に使った一枚の写真に数万元から数十万元の賠償金が要求されることもあり得ます。個人の場合はそこまで法律知識が無いし、弁護士を雇う余裕も無い。大体の人は金額の値引きを交渉して泣き寝入りしながら和解をすることが多いそうです。

企業の場合、権利侵害の賠償を機に企業との年間利用契約を結びたいとの強引な営業もありました。

ネット民の怒りは限界だ!

この状況のなかでの、先日のブラックホール版権主張はネット民の怒りを招きました。すぐに「視覚中国」で法律違反の画像を見つけ、ネット上でさらしあいが合戦が行われました。まずはこれです。

例えば↑ 

この国旗の標準画像も「視覚中国」のものであると主張してます
...「中国はお前のものかよ!」

また、それぞれのブランドの公式アカウントからの反発もありました。皆様ご存知のブランドも入ったりしてると思います。

この他にもたくさん、そしてなんと「毛沢東」の標準画像も入っている始末。。ちなみに過去には芸能人の写真がアップロードされ、芸能事務所に権利の主張にも行ったとのこと。

そしてちょっと面白い話は、「視覚中国」のデータベースに自社写真が入ってなかったブランドからは「自社が価値なしと思われてるのかな...」との揶揄が公表されたり。

↑「うちのロゴ入ってないだけど」とSNSで投稿

このような大騒ぎの結果、国旗などの不正使用によって政府から行政指導が入り、サービスはしばらく停止され株価も暴落しました。(また復活してきているようだが...)

もはや何が正義なのか。。しかも「視覚中国」の他にも似たような「商売」をするところが複数あり、中国ネットユーザーからは「ヤクザのビジネス」と呼ばれてます。ネットでは注意勧告が常に行われています。

終わりに

「中国は何でもパクるでしょ、著作権なんて無いよね」と思っていませんか?それは脳死してますよ。この画像の件もそうですが、前回書いた文章パクリの問題も厳しく取り締まられようとしてるし、動画も今や日本以上に厳しくなってきています。

さらに、特許や著作権の申請数やその利用環境もかなり整ってきています。しかも世界トップのIT技術と政府の強制力があるので、突然に、しかも多少理不尽な形でも強引に取締が進められたりします。

「意見あり」の方々もたくさんいらっしゃるでしょう。コメント待ってます。そして圧倒的速度で権利保護の環境が変わっていく中国を観察することはとても面白いですよ。


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中国情報局@北京オフィス

北京で研究員をしております。中国でバズってることや日本の皆さまにぜひ知ってほしいトピックを発信します。

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