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答えがない問題に粘り強く対話する力を鍛えたい

対話をAIとする時代になってきています。

知りたい内容についてこれまでと同様の検索結果とともに、人間が書くような自然な文章で回答する。

日経新聞より引用

話題となっているChat GPTをはじめとする生成型AIの特徴は、何といっても「人間のような自然な言語で回答をする」ことです。

人間と同じようにAIと対話ができる世界が一気に身近になりました。

そんな中、この数週間で考えているのが、この問いです。

AIと対話する時代に、人同士の対話に求められる態度とは何だろうか?

問い

この問いに対する仮説について書いていきます。

まず、ヒントをもらえる書籍に出会ったのでご紹介します、

やっかいな問題をみんなで解く

「やっかいな問題をみんなで解く」という本です。

AIではなく、人が問題に向き合う態度とは何かを教えてくれる内容でした。

ここで言われる、やっかいな問題とは何か?

コロナ、気候変動、災害など、コントロールが難しく、複雑な要素が絡み合っている問題が当てはまります。

書籍で解説されている内容を引用します。

リッテルとウェッバーがとりあげた10の特徴は、次のとおりである。 
1. 正解が存在しない 
2. 問題に終わりがない 
3. 真偽ではなく善悪が問われる 
4. 解決策の有効性を検証する決定的な手段がない 
5. 解決策は1回しか実行できず、試行錯誤から学べない 
6. 計画の範囲や手順をすべて書き出しておくことができない 
7. 問題は2つとして同じものがない 
8. 目の前の問題は、別の問題の徴候かもしれない 
9. 問題をどう説明するかによって、解決の仕方が変わる 
10. 間違った解決策は人びとの生活に困難をもたらす

「やっかいな問題をみんなで解く」より引用

このやっかいな問題への向き合い方こそ、AI時代に人間がどのように思考、対話をしていくと良いのかのヒントがありました。

このやっかいな問題に向き合うスタンスとは何か?

書籍の中で、やっかいなままに向き合い、粘り強く取り組み続けられるしくみをつくっていくことの重要性が書かれています。

やっかりな問題は、ヒーローやカリスマ(専門家や政治家、ビジネスの世界ではコンサルタント、さらにAI)が登場して、問題を一気に解決してくれるだろうと期待してみても、失望や反動を招くだけ…

当事者意識をもった人同士が、粘り強く対話することこそ、やっかいな問題を解決するために重要とのこと。

100%共感です。

求められるのは「正解」ではなく「成解」をつくり出す力

また、書籍の中に『「正解」ではなく「成解」をつくり出す力』という表現が使われています。

既に答えがある問題は、AIが教えてくれます。

人が時間が使うべきは、答えが簡単に出ない問題に対して成解をつくることになのだと考えさせられました。

マーケティングの世界もやっかいな問題は多い

マーケティング(広くはビジネス)の世界に当てはめて考えてみます。

マーケティングにおける答えが簡単に出ない問題=やっかいな問題は何でしょうか?

考えてみると、やっかりな問題ばかりでした。

例えば、
・サービスやキャンペーンのコンセプトをつくる
・ブランドのミッション・ビジョン・バリューをつくる

などは、簡単に答えの有効性を検証できず、真偽ではなく善悪が問われるなど「やっかいな問題」に当てはまります。

まさに「成解」が求められる領域です。

やっかいな問題との向き合い方

最近の仕事で、あ、これを大切にしていきたいと思った瞬間がありました。

サービスのコンセプトを決める時に下記のような場をつくりました。

"答えを出さず"に対話をすることをルールにして2時間のミーティングをする

詳細は下記のルールを決めました。

1. この日は答えを出さないと決める
2. アイデア発散と出したアイデアの背景の深堀りを目的とする
3. ビジュアル化して全体像や感情を見える化する

筆者が実施したミーティングルール

何も決まらない(決めない)ので一見非効率です。

しかし、
・関係者が考えていることを視覚化して
・背景に考えていることを共有して
・答えがない問題(ここではサービスコンセプトを決める)と向き合う
ことで、チームの中で大切にしたいことの認識があったり、今まで見えていなかった新しい切り口が出てきたりする有益さがありました。

マーケティングイネーブルメントのサービスのコンセプト見直しミーティングの時のグラレコ

非効率な場だからこそ発見できることがありました。

この非効率な対話から、このコンセプトを研ぎ澄ませていこう!と意思決定することはAIには難しい判断です。

ミーティングの持ち方も変わるのではないか?

生成AIの到来によりミーティングの持ち方はこのように変わるのではと考えています。

・今まで1時間で行っていた何かを決めるミーティングは、Chat GPTを使って15分で行う

・人間にしかできない成解を導き出す対話の場は、粘り強く考える2時間、3時間使って行う

筆者が考えるミーティングの変化

・効率化すること
・あえて非効率にすること
この2つを使い分けが大事になってくるのではと考えています。

良い戦略は、非効率な対話の先につくられるのでは?

そして、非効率さが良い戦略や優位性につながると自分は考えています。

どういうことか?

良い戦略とはバカなるである

良い戦略は、
・競合は、「バカな!?」という反応をする
・市場が後から、「なるほど!」という反応をする

つまり、「バカなる要素」が大切だとの考え方があります。

とても好きな考え方です。

AIを使ってすぐに答えが出ることは、競合他社もすぐに辿り着く答えになるわけです。

他社が模倣できない本当の良い戦略は、
すぐに答えを出さずに、粘り強く対話を続けた中で導き出した成解
をもとにつくられるのではないでしょうか?

他社がやらない、一見非効率な場や時間こそ、競争優位をつくると考えることができます。

例:スープストックトーキョーの身体でユーザー感覚をつかむリサーチ

食べるスープの専門店スープストックトーキョーが、顧客が喜ぶスプーンを開発したプロセスが面白くて好きです。

商品開発プロセスの中で、自分たちが顧客に成り切って考えたとのこと。

何をやったのか?

「日本中からスプーンを集めて、社員と一緒にただひたすらスープを食べまくる」

チームで、美味しく食べるためのスプーンを身体感覚で理解することで、スープのために作ったスプーン「Spoon for soup」が生まれたとのことです。

ユーザー理解を『身体感覚』で行ったり、主観をぶつけあって自分たちのオリジナルをつくるような動きは、これから大切になってくると予測しています。

まとめ

最初の問いに戻ります。

AIと対話する時代に、人同士の対話に求められる態度とは何だろうか?

最初の問い

仮説:すぐに答えを出さずに、粘り強くテーマを深掘りする態度

だと考えています。

Chat GPTで効率化を図ること、あえて非効率にゆっくり、じっくり考えることを使い分けていきたいですね。

最後に、簡単に答えが出ない問題にじっくり向き合うために読んでいる本のご紹介です。

平田オリザさんの書籍にヒントがある気がしています。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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