答えがない問題に粘り強く対話する力を鍛えたい
対話をAIとする時代になってきています。
話題となっているChat GPTをはじめとする生成型AIの特徴は、何といっても「人間のような自然な言語で回答をする」ことです。
人間と同じようにAIと対話ができる世界が一気に身近になりました。
そんな中、この数週間で考えているのが、この問いです。
この問いに対する仮説について書いていきます。
まず、ヒントをもらえる書籍に出会ったのでご紹介します、
やっかいな問題をみんなで解く
「やっかいな問題をみんなで解く」という本です。
AIではなく、人が問題に向き合う態度とは何かを教えてくれる内容でした。
ここで言われる、やっかいな問題とは何か?
コロナ、気候変動、災害など、コントロールが難しく、複雑な要素が絡み合っている問題が当てはまります。
書籍で解説されている内容を引用します。
このやっかいな問題への向き合い方こそ、AI時代に人間がどのように思考、対話をしていくと良いのかのヒントがありました。
このやっかいな問題に向き合うスタンスとは何か?
書籍の中で、やっかいなままに向き合い、粘り強く取り組み続けられるしくみをつくっていくことの重要性が書かれています。
やっかりな問題は、ヒーローやカリスマ(専門家や政治家、ビジネスの世界ではコンサルタント、さらにAI)が登場して、問題を一気に解決してくれるだろうと期待してみても、失望や反動を招くだけ…
当事者意識をもった人同士が、粘り強く対話することこそ、やっかいな問題を解決するために重要とのこと。
100%共感です。
求められるのは「正解」ではなく「成解」をつくり出す力
また、書籍の中に『「正解」ではなく「成解」をつくり出す力』という表現が使われています。
既に答えがある問題は、AIが教えてくれます。
人が時間が使うべきは、答えが簡単に出ない問題に対して成解をつくることになのだと考えさせられました。
マーケティングの世界もやっかいな問題は多い
マーケティング(広くはビジネス)の世界に当てはめて考えてみます。
マーケティングにおける答えが簡単に出ない問題=やっかいな問題は何でしょうか?
考えてみると、やっかりな問題ばかりでした。
例えば、
・サービスやキャンペーンのコンセプトをつくる
・ブランドのミッション・ビジョン・バリューをつくる
などは、簡単に答えの有効性を検証できず、真偽ではなく善悪が問われるなど「やっかいな問題」に当てはまります。
まさに「成解」が求められる領域です。
やっかいな問題との向き合い方
最近の仕事で、あ、これを大切にしていきたいと思った瞬間がありました。
サービスのコンセプトを決める時に下記のような場をつくりました。
詳細は下記のルールを決めました。
何も決まらない(決めない)ので一見非効率です。
しかし、
・関係者が考えていることを視覚化して
・背景に考えていることを共有して
・答えがない問題(ここではサービスコンセプトを決める)と向き合う
ことで、チームの中で大切にしたいことの認識があったり、今まで見えていなかった新しい切り口が出てきたりする有益さがありました。
非効率な場だからこそ発見できることがありました。
この非効率な対話から、このコンセプトを研ぎ澄ませていこう!と意思決定することはAIには難しい判断です。
ミーティングの持ち方も変わるのではないか?
生成AIの到来によりミーティングの持ち方はこのように変わるのではと考えています。
・効率化すること
・あえて非効率にすること
この2つを使い分けが大事になってくるのではと考えています。
良い戦略は、非効率な対話の先につくられるのでは?
そして、非効率さが良い戦略や優位性につながると自分は考えています。
どういうことか?
良い戦略とはバカなるである
良い戦略は、
・競合は、「バカな!?」という反応をする
・市場が後から、「なるほど!」という反応をする
つまり、「バカなる要素」が大切だとの考え方があります。
とても好きな考え方です。
AIを使ってすぐに答えが出ることは、競合他社もすぐに辿り着く答えになるわけです。
他社が模倣できない本当の良い戦略は、
すぐに答えを出さずに、粘り強く対話を続けた中で導き出した成解
をもとにつくられるのではないでしょうか?
他社がやらない、一見非効率な場や時間こそ、競争優位をつくると考えることができます。
例:スープストックトーキョーの身体でユーザー感覚をつかむリサーチ
食べるスープの専門店スープストックトーキョーが、顧客が喜ぶスプーンを開発したプロセスが面白くて好きです。
商品開発プロセスの中で、自分たちが顧客に成り切って考えたとのこと。
何をやったのか?
チームで、美味しく食べるためのスプーンを身体感覚で理解することで、スープのために作ったスプーン「Spoon for soup」が生まれたとのことです。
ユーザー理解を『身体感覚』で行ったり、主観をぶつけあって自分たちのオリジナルをつくるような動きは、これから大切になってくると予測しています。
まとめ
最初の問いに戻ります。
仮説:すぐに答えを出さずに、粘り強くテーマを深掘りする態度
だと考えています。
Chat GPTで効率化を図ること、あえて非効率にゆっくり、じっくり考えることを使い分けていきたいですね。
最後に、簡単に答えが出ない問題にじっくり向き合うために読んでいる本のご紹介です。
平田オリザさんの書籍にヒントがある気がしています。
最後まで読んでくださりありがとうございました!