
良いお金もうけ ~ 経済学の視点
江戸時代の思想家である石田梅岩が、誰かの役に立つためのお金をもうけを肯定し、その考えを石門心学としてまとめました。
西洋社会においては石田梅岩よりもほんの少し後に、経済学の父であるアダム・スミスが、お金もうけを肯定しつつ良いお金もうけの道徳的条件を設定しました。
そして経済学を「よいお金もうけをできるだけ促進し、悪いお金もうけをできるだけ抑制することで、社会を豊かにしようとする学問」と位置づけ、経済学者達が現実に道徳的条件が満たされない場面において、条件回復の格闘を続けてきた歴史が以下の書籍にまとまっています。
著者である青山大学経済学部の中村隆之教授は、以下の記事で経済学が一貫して追求してきた「いいお金もうけ」とはどういうもので、私たちの「働く」はどう「良いお金もうけ」と接続しているのかを述べられています。
誰かを喜ばせたことの対価としてお金を受け取るこが「経済活動の原点」であり、「自分の仕事は誰を喜ばせているのか」と自問することは、私たち働く一人ひとりにとって大切である
大きな組織で働いていると顧客からの距離が遠いため「自分の仕事が誰の役に立っているのか」を実感しづらくなっている
「利益を上げよ」という指令組織のルールに従うことが優先され、現代の仕事は「いいお金儲け」から遠ざけられている
結果的に、「利益を上げること」と「誰かを喜ばせること」が矛盾してしまっている
働く個人は、単に組織に使われるのではなく、自立した存在として意思を持つべきである
社会を変えたり企業全体をいきなり変えるのは難しいため、小さなチーム内でも良いので、「交渉すること」や「発言すること」を通じて、働き方を少しづつ「良いお金もうけ」へと変化させていきたい
この内容に大きく共感しました。一人ひとりが働く意義を意識し、現状をより良く変えていくボトムアップの変化を起こしていく見解に大賛成です。
さらには、企業経営の仕組みの中に「利益を上げること」と「誰かを喜ばせること」が矛盾しない仕組みを、トップダウンで構築していく必要性も同時に感じています。
世界的なブームとなっているカスタマーエクスペリエンスを高める経営の仕組みづくりは、お客さまへの価値提供による収益の向上を目指すものですので、トップダウンの流れになります。
ボトムアップ・トップダウンのアプローチが絡み合うことで、大きな変化が実現される、そんな未来を期待しています。
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