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インバウンドは新しい人口~ビジネスに効く旅行消費~

インバウンド旅行者って?

いつからか、訪日外国人旅行者のことを「インバウンド」と呼ぶようになりました。でも、本来なら「インバウンド」は「入ってくること」で、「アウトバウンド」は「出ていくこと」というシンプルな意味です。
たとえばコールセンターなどでは、20年以上前から外からの入電のことを「インバウンドコール」と呼びます。(逆に、コールセンターから顧客にかけることをアウトバウンドコールという)

インバウンド旅行者、この呼び方、悪くないのですが、イマイチ、「訪日旅行者の消費パワーって、すごいインパクトなんだーー!」というところが伝わりません。

いっそのこと「新しい人口」ぐらいのトーンでもいいのかも、と私は思っています。その理由を今日は書いてみます。
(是非、スキいただけると嬉しいです!リアクションがあると、AIじゃなくて生身な人間である私はモチベーションが爆上がりするので♪)

今回は久々に日経COMEMOインフルエンサーとして5月のお題「ビジネスに効く旅行」に応えた記事となります。^^

8人のインバウンド旅行者で、日本人1人の年間消費額を賄うという消費パワー!

2019年、インバウンド旅行者の1人1回あたりの旅行支出は15.9万円だった。これは日本国内消費のみだ。買い物、宿泊、飲食、交通、娯楽などサービス費の5つに大別される。私はこれを勝手に「インバウンド5大消費」と呼んでいる。

2019年訪日外国人旅行者消費動向調査(観光庁)

そして、日本人(日本在住者)による年間消費額の平均は130万円なのだ。こちらも国の統計で発表されている。東京都心に住んで働き盛りの世代からすると、年間130万円は、もしかして少なめに感じるかもしれない。
でもこれは、日本に住む、老若男女問わず地方在住も都市部在住もすべてひっくるめた平均値であるので、例えば、
「会社員のお父さんと、専業主婦のお母さんと、子供2人」という昭和の典型的家庭があるとしたら、お父さんの手取りが520万円(130万円×4人)あれば家計の収支は赤字にならないということだ。
こう考えると納得感があるのではないか。
つまり…つまりですよ?

130万円(日本人1人の年間消費)÷ 15.9万円(インバウンド旅行者の日本滞在中消費)=8.17

となる。数日、日本に滞在するだけのインバウンド旅行者約8人で、日本人1人の年間消費が丸々補えるというわけだ。

人口が急激に減少する中、インバウンド旅行者は新しい消費者だ

急速な人口減少社会からは「労働力」と「消費力」が失われる

当たり前の話だが、人口が減ると「労働力」と「消費力」が同時に失われていく。労働力のほうは、AIやロボティクスなどのテクノロジーや、DXによって、生産性向上が見込めるかもしれないが、AIやロボットはご飯を食べたり、映画を観たりしない。つまり消費は人間のみが行うことだ。

現在のところ、日本は大規模な移民政策をとっていないので、消費力を代替するのは他でもないインバウンド旅行者のみ、ということになる。
(もちろん短期滞在の外国人労働者は存在するが1-3%である)

2030年は6000万人のインバウンド旅行者と、彼らによる日本国内消費額「15兆円」を国は目標に掲げている


2019年実績で、インバウンド旅行者3188万人で4.8兆円の国内消費額だったので、つまりは、人数は2倍弱でいいけれども、消費額は3倍強を目指していくというのが目標となっている。
これが達成されると、インバウンド旅行者1人あたりの消費額は25万円程度になっているということだ。
つまり…

日本人の消費額が変わらなければ、であるが、「5人のインバウンド旅行者で、日本人1人の年間消費額を賄う」ことになる。
15.9万円(2019年実績)から25万円(2030年目標)の間の目標数値として、岸田内閣は2023年3月31日、第4次観光立国推進基本計画を閣議決定しており、そこでは2025年までに1人あたり20万円の消費額を目標とするとある。

ビジネスに効く旅行消費、どころではない消費力インパクト!

つまりは今、顧客が100%日本人であるtoCサービスや商品を提供する企業があれば、6年半後の2030年には2割はインバウンド旅行者になっていても、おかしくはないかもしれない。
今が、100%日本人の売上であるならば、漸減して売上が20%ダウンになるのか…、インバウンド旅行者消費を取り込むことができるのか…。

これは、「ビジネスに効く」どころではない。インバウンド旅行者を「新しい人口」として考えていくべき時代に突入しているように思う。

直近は既に「コロナ禍前」を越える勢い…!

JNTO(日本政府観光局)は毎月第3水曜日に前月の訪日外国人旅行者の速報を出している。3月時点で消費は2019年の9割程度、回復していて、なんと直近の1人あたり単価は21万円を越えている。
これは、為替とインフレ率格差(日本は2-3%程度だが、諸外国は2-3割はインフレしている)とリベンジ消費など、複数の要因が影響しているのだろう。

2023年4月時点で、まだ中国本土は15%しか戻っていない

既に消費は9割戻っているというのに人数では中国本土は2023年4月時点で15%しか戻っていない。
コロナ禍前、日本で一番消費をしていた旅行者は中国人だった。
これから6月、7月…と、残り85%の中国人旅行者需要が回復したら、すごいことになる。岸田首相の語っていた「インバウンド消費、5兆円超をすみやかに目指す」という目標は、今年中には達成されそうだ。


JNTO速報(5月発表)を元にWAmazingで作図

インバウンドは「新しい人口(消費者)」
各企業の取り組みで未来に差が出そう…!

インバウンド旅行者の消費は、ホテルや観光業界だけに恩恵があるものではない。その消費は裾野が広く、地域隅々の経済へ影響する。
”旅行者”とみるよりも、新しい人口、新しい消費者とみるべきだろう。


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