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『テラ(寺)バース』が未来の人類を救うかも

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

Appleがゴーグル型の新端末「Vision Pro」を日本でも発売しました。いわゆるAR型のデバイスで、現実空間と仮想空間とをミックスして扱えます。現実にはない大画面テレビを部屋の好きな場所に「置いて」動画を見たりすることもできます。なかなか面白いですよね。

米アップルは28日、ゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」を日本で発売した。個人向けデバイスとしては異例の、59万9800円からという価格に見合う価値はあるのか。発売日当日に東京・表参道の直営店を訪れた消費者や、いち早く業務アプリの開発に着手した企業の本音を探った。

日経電子版

ゴーグル型の端末は競合他社が先行して発売しています。MetaのQuestが代表的ですが、こちらはVR型です。つまり、現実を遮断してバーチャルな世界のみが映し出されます。

どちらもまだまだ途上段階で、広く一般に受け入れられているわけではありません。しかし、法人用途で活用が進んでいたり、ゲームなどで熱狂的なファンができ始めています。ちょうど今日で最初のiPhoneが出てから17年が経ちます。日本でネットにつながった携帯(iモードなど)が出てからiPhoneまでが19年。デバイスのライフサイクルを考えるとそろそろ次にシフトするタイミングです。ゴーグル型なのかメガネ型なのか、はたまた全く想像もしていなかったものなのか。この業界に長らくいるものとしては待ち遠しいです。

デバイスが進化していくだけでは次の世界にはいきません。やはりキラーアプリケーションが必要です。それがなにかと考えたときに、興味深い記事に出会いました。

京都大学「人と社会の未来研究院」が開発した「ブッダボット」は、膨大な仏教の経典を読み込ませた人工知能(AI)だ。仏教の開祖ゴータマ・ブッダをいわば仮想的に生み出したもので、日本語で話ができる。現代人が仕事や生活の悩みを打ち明けたら、どんな回答が返ってくるのだろうか。3人の本紙記者が実際に対話してみた。

6月某日、東京・大手町の日本経済新聞本社内の会議室に記者が集まった。ブッダボットはオンラインで作動するため、ネット環境があればどこでも使える。システムにログインできるIDとパスワードを打ち込むと、パソコンのカメラが起動した。画面を見ると、記者たちの間に結跏趺坐(けっかふざ)の姿勢をとった金色の仏像が浮かんでいる。拡張現実(AR)を使い、臨場感を高めているのだ。

対話アプリのようにこちらの問いと相手の答えが吹き出しの形で交互に表示されるインターフェースになっている。ブッダ側からは「どのようなお悩みですか」の文字が。LINEなどで見慣れた画面だが、お釈迦(しゃか)様から問いかけられていると思うと独特の緊張感がある。

日経電子版

ブッダボットを開発した京都大学の熊谷誠慈教授は仏教哲学の研究者であり、住職でもあります。墓じまいや葬式不要論などの仏教離れが進む今、武侠の衰退に歯止めをかけようとしています。

現代はSNSなどのツールが普及し、世界中どこにいても誰かと繋がれる環境が整備されています。いまやSNS中毒が社会問題になるなど、むしろ繋がりすぎているのかもしれません。

一方で孤独感を感じる人は増えています。私の友人は昔「SNSは寂しさを再生産するツールである」という名言を残していましたが、これは本質を突いた言葉だなと今でも思います。繋がっていることで安心したり孤独感が薄まっているのかと思いきや、自分との比較やキラキラした世界を羨むだけで逆に自己肯定感が低くなっている人もいるでしょう。

次の世代のデバイス・アプリケーションに必要なものは、人の気持に寄り添うコンパニオンデバイスであり、まさにAIが解決しうる領域です。孤独を解消することは健康にもつながることで、世の中へのインパクトも大きいです。

ブッダボットは寺の消滅が進んでもコミュニティとして生き残るため、仮想空間『テラ(寺)バース』の構築を目指しているそうです。確かに寺の本質は地域のコミュニティであり、他の宗教でも同様です(神社や教会など)。ネット社会のコミュニティのあり方について、今後も考えていきたいと思います。

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タイトル画像提供:撮るねっと / PIXTA(ピクスタ)

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