6万件のイベントデータ・2000人のアンケートから紐解く「地方エリアの可能性の高まり」
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世の中全体のオンラインシフトが進みました。この状況下で、働き方、活動の動き方も含め、人々の生活は大きく変化しました。
政府は東京一極集中の是正を目指し、地方でのオフィス開設や従業員の地方移住を促す地方創生方針を決定するなど、地方の位置付けにも大きな変化が生まれています。
コロナ禍以前の地方エリアと東京のイベント
コロナ禍以前のイベント・コミュニティ活動においては、東京のイベントに参加する人の多くは東京圏の人、あとは地方から出張などで東京に来ている人でした。そして、地方エリアのイベント・コミュニティ活動に参加するのは、多くはそのエリア在住・在勤の人、そして残りが他エリアから出張などで来ている人でした。
つまり、イベントやコミュニティ活動に参加する人は「そのエリアにいる人」でした。
コロナ禍におけるリアルからオンラインへの変化
コロナ禍となり、今まで会場に人が集まり開催されていたイベントや、コミュニティ活動の多くはオンライン配信へと移行しています。
Peatixが2020年5月下旬-6月上旬に実施したアンケート調査のレポート(※)を見てみると、"新型コロナウイルスの広がりによるイベント自粛「以前」に、イベントを主催していましたか? (主催者に質問 回答数 504)"という質問に対し、下記回答が得られました。
リアルイベントのみ開催していた主催者は69%、イベント主催未経験の人が9.7%と、約8割の主催者はオンラインイベントの開催未経験でした。
そして、オンラインイベント開催意向についての質問に対しては、5月末-6月上旬の時点で既に71.2%の主催者がオンラインイベントを主催したことがあり、これからの開催を検討している人を合わせると、実に約95%の主催者がオンラインイベントを開催している・する方向で動いていました。
こうした調査結果からも、イベントやコミュニティ活動が大きくオンライン上にシフトしていることが分かります。
オンラインイベントのメリット
こうして進むオンラインイベントへのシフトですが、主催者がどこにメリットを感じているかについても調査結果が出ています。
「会場代がかからない」「手軽に開催できる」「より多くの参加者を期待できる」などコスト面・集客面での利点を挙げる方が多いですが、最も多かったのが「今までとは違う客層・参加者層にリーチできる」という利点でした。
一方、参加者側が感じるオンラインイベント参加の利点は下記のようになっていました。
「新しいことを学べた」が半数を超える58%となっていますが、最も多い83.1%の方が挙げた利点が「気軽に参加できた」でした。オンラインであることにより、場所の制約もなく、家で家事のサポートをしながらでも参加出来るなど、参加のハードルが下がったことに多くの方が利点を感じていることが分かります。
このように、主催者・参加者双方が感じるオンラインイベントの利点を見てみると、オンラインイベントを開催することによって、
参加者は気軽に様々なオンラインイベントに参加することが出来るようになる = 主催者は今までと違う参加者層にリーチ出来るようになる
というメリットが見えてきます。
オンライン時代における地方の可能性
ここまで「オンライン時代」の到来、メリットなどをデータを元にご説明してきました。次に、各エリアごとの動きの変化について見てみたいと思います。
こちら、Peatixのデータを元に出した各エリアごとのイベント数の増減のデータなのですが、これまでPeatixの中で多くのイベント数を占めていた南関東エリア・近畿エリアの伸びが前年比+17%-18%くらいであることに比べて、北関東・甲信エリアで+128.6%、北陸エリアで+105.6%、北海道エリアで+84.6%と増加しており、イベント数が倍近くになっています。イベントのオンライン化が進んだことで、地方エリアの主催者が活動しやすくなったことが要因として考えられます。
更に興味深いデータがこちら。
こちら各エリアで主催されているオンラインイベントにどのエリアから参加しているかを示したデータです。
例えば、北海道で主催されているオンラインイベントに北海道から参加している割合は16.6%なのに対し、南関東エリアからは50%, 近畿エリアからは19.7%も参加していることが分かります。
北陸エリアでは、北陸エリアからの参加者の割合は5.7%なのに対し、南関東エリアからは59.1%, 近畿エリアからは21.2%も参加しています。
今まで地方エリアで開催されるイベントの参加者の多くは、そのエリアに在住・在勤の方でしたが、オンラインイベントになった結果、そのエリア以外からの参加が可能となり、様々なエリアからの参加者が増えたのです。
このことが意味すること。それは「地方エリアの可能性の高まり」です。どのエリアからでも、オンラインを活用することで、イベントやコミュニティ活動をより多くの人に届けることが可能になったのです。
この実態を把握し行動していくことで、これからの地方創生につながる動きが加速していくのではないでしょうか。
まとめ
コロナ禍の行動変容・オンラインシフトによって、イベント・コミュニティ活動もオンライン化が急激に進みました。「場所を問わない」オンラインの特性を活かし、地方エリアの発信力は高まりを見せています。今後、様々なエリアのイベント・コミュニティ活動が、日本各地、世界中に広がっていくことに注目していきたいと思います。
※ 本記事で利用したデータはPeatixにて、Peatixのデータベースから抽出した2019年12月6日から2020年6月2日までに日本国内で開催されたイベントのデータ(180日分)、前年同期間のデータ、及び、2020年5月26日にPeatixユーザーにメールにて配布したアンケートを元にしています。
調査レポートはこちら