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老後に海外移住できる?円安と物価高で移住のハードルは上がる

シンガポール在住ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。

七夕の短冊で「老後は海外に」などの願いを見かけることも。コロナが落ち着いたら海外旅行に行きたいと考えているシニアも多いでしょう。

老後の海外移住はアジアが人気

タイなどのアジア、ポルトガルなどのヨーロッパはビザも比較的取りやすく人気があります。タイのタイランドエリートに関しては、お金を払えば一定期間の居住権を購入することも可能です。

海外での物価上昇率は日本よりも高い

しかし、海外の物価上昇率は日本よりも激しいです。物価上昇率は6月に9.1%の米国、8.6%のユーロ圏に比べると日本は緩やかです。

また、円安も追い打ちをかけて円ベースでの現地での生活費は高騰をしています。

シンガポールでは家賃が高騰しており、外国人駐在員が賃借している民間物件の家賃は平均で20〜40%上昇しています。

海外では医療費が高額になることも

加えて、医療費も高額になります。雇っていたメイドさんが難病になり、その医療費の請求が18万ドル(約1800万円)になったという記事もあるほどです。

シンガポールでは日本のような高額療養費制度がないために医療費の自己負担分が非常に大きいからです。

駐在員などは海外旅行保険で医療費を備えており、また若くて病気のリスクが少ない世代が多く住んでいる特徴もあります。

日本では医療用の貯金として200万円あればまず十分ですが、シンガポールなどの海外では10倍程度の2000万円程度あるほうが安心です。もしくはそれ相当の保険をかけて備えるかになります。

日本より安く住める国は少ない

今回、筆者は夏の2ヶ月間日本で過ごしました。そこで感じたことは、日本は生活コストが低く非常に暮らしやすいということです。

東南アジアの物価も上昇を続けており、日本の地方都市と比べても同程度以上の地域や国も増えています。

加えて日本の医療保険制度は現段階では世界一とも言われており、非常に安価な医療費で高度な医療にアクセスをすることができるのです。

また、日本の不動産も東京ではバブルになりかけているものの、まだまだ世界的には割安です。

非常に美味しく、安全で安価な食料も海外ではアクセスがしにくいです。日本の果物などは海外では非常に高価で富裕層でないとなかなか手が出ません。

以上の点を踏まえて、老後海外で過ごすというのは昔と比べてかなり高級となり、日本より生活コストを下げるために行くという目的にはそぐわなくなりつつあります。年金と貯金をしっかりと確保した上で、何度も下調べに旅行をして少しずつお試しすることをおすすめします。

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