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孤独は人と人との間に必ず生まれるものである。嫌なら無人島へ行け。

本当に無意味な大臣。しかも、少子化対策大臣と地方創生大臣の兼務だというから、揃いも揃ってなにひとつ成果の出ていない大臣に担当させるのだから、そもそもやる気がない、ただのパフォーマンスに過ぎない。

少子化大臣も地方創生大臣も不要だけど、孤独担当大臣なんて、輪をかけていらないですわ。


首相は12日、首相官邸で坂本氏と会談し「女性の方が孤独で、自殺も増えている傾向にある。問題を洗い出して総合的に政策を進めてほしい」と指示した。

女性の方が孤独?

それ、どこのデータですか?

ちなみに、2018年の三菱総研の調査によれば、タイトルこそ「26歳の女性が日本で一番孤独」と書いてますが、全体的にみればそれほど大差はない。むしろ40代以上は男より女の方が孤独を感じない割合が高い。

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また、孤独を感じるかどうかは実は問題ではなく、それを苦痛と感じるかどうかの方が問題であり、それについても未既婚男女とも「苦痛」ほどまでではないことがわかる。しかも、未既婚ともに男より女の方が苦痛とは思っていないのだ。言い換えれば、孤独に弱いのは男の方です。

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孤独を悪だと言いたがる人はある界隈に一定数いるのだが、それらの人たちが一体孤独の何を知っているというのだろう、と僕は常に疑問なんです。そういう人達と会話したこともありますが、実際その本人が「一人暮らし」をしたこともなかったりするし、一人で旅行行ったりしたことがなかったりするわけです。

はあ?ですよ。

特に、政治家の皆さんなんて、孤独なんて全然理解していない。コロナ禍でも会食をやめないほど、それこそ一人で飯も食えないほどの寂しがり屋なわけで、そりゃあ「一人が寂しい」って思うんでしょうよ。

孤独対策として考えられていることも、多分全く的ハズレです。どうせ「居場所があればいい」「話し相手がいればいい」くらいにしか考えていないのでしょう。孤独で寂しい人たちを一か所に集めて「ほら、みんなと一緒ですよ」なんてことで解決されるなら、そもそも「つながり孤独」なんて起きない。

「つながり孤独」とは、一人じゃないのに、友達もいるのに、会社とかにも所属しているのに「私は孤独だ」と感じてしまう現象です。

そんな人たちを集めてごらんなさい。むしろ、それは、孤独に苦しむ集団を作るだけです。

そして、そういう安易なやり口で解決できると本当に考えているのだとしたら、そういう人間は本当に気持ち悪いと感じるわけです。

なぜなら、それは、20世紀の全体主義を生み出したやり口そのものだし、あわせて、カルト宗教や詐欺師たちがよくやる手法そのものだからです。具体的にいえば、集団で同じ踊りや同じ言葉を発したり、行動をさせることで多幸感を高めるやり口です。小説「1986」にもそんな描写が出てきます。

これは、人間が根源的にもっている同調による高揚感なので確かにその瞬間多幸感があがります。祭りの踊りなんかもまさにそれだし、デモが暴動や虐殺に発展するメカニズムも同様です。古い歴史を遡れば、あの狂気じみたフランス革命も同様。

でもね、それって瞬間的な脳内麻薬のようなもので、時間がたてば消えます。消えて飢餓感を煽って、また多幸感を与えての繰り返しで人間は洗脳されていくわけですが、しょせん麻薬は麻薬で、それだけに依存する廃人になるのですよ。

麻薬だろうと依存だろうと幸せを感じられればいいじゃないか、とか言い出す人間もいるのですが、そうですか。そういう人はどうぞご自由に。薬が切れた後の苦しみを思う存分味わえばいいんじゃないですか?

また、大部分の人が勘違いしているが、自殺者の6-7割は同居人がいる状態で自殺します。なぜ生活を一緒にする人がいるのに自殺してしまうのか。自殺の問題も、一人暮らしだとか、そういう孤独の状態にあるのではない。

問題の本質は、孤独や一人であることではない。

一人であろうとなかろうと、結婚していようと独身だろうと、苦しさや寂しさを孤独によるものと因果推論してしまうその思考の癖そのものが問題なんですよ。

最近では、「望まない孤独が問題なのである」というように「望まない」を枕詞につければいいと思う輩もいるらしいが、望むと望まないとにかかわらず「人間はすべて孤独なのです」。

その大前提を理解できない者こそが、一生それに苦しむのです。

「孤独学」という考え方を立ち上げました。「孤独は悪」としたがる全ての人間に対するカウンターです。その手はじめとして、Schooで「はじめての孤独学」という授業を行いました。ライブで722人が視聴していただきました。ありがとうございます。


ちなみに、お話した内容は下記、ネコっちさんのグラレコを参照ください。

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エッセンスはほぼ全部ここに書いてありますが、多分これは視聴した人がふとで復習した時に見ないとわからないかもしれません。

ひとつだけ言っておきたいのは、よく「人は一人では生きていけない」といいますね。だから、「人とのつながりは大事にしましょう」と。それ自体、僕も本の中でたびたび書いていることで異論はないのですが、「自分の外側に誰かがいたら孤独ではない」という考え方の人こそ孤独に苦しみますからね。

人とのつながりは不可欠であると同時に、人とのつながりは必ず孤独を生みます。

「孤独は人と人との間にある」とは、哲学者三木清氏の言葉の引用ですが、まさにその通りで、逆に無人島でたった一人なら孤独を感じません。

僕は常々「人との関係性は摩擦である」と言っています。どんな関係性であれ、人とつながり、交流するのは摩擦です。摩擦だから傷つくことはある。でもそれはそういうものなんです。でも、摩擦だからこそ、あたたかくもなれるのです。


今回の授業では、入門編なので抜粋的に説明しました。まだまだ本当はお話したいことはたくさんありますが、それはまた別の機会に。


授業ではお話したことも多少ダブりますが、こちらにも孤独学の考え方をベースとして記事を書いています。お時間ある時にぜひ。


最後に、授業に対して、たくさんの感想をいただきました。授業の中でも触れましたが、「孤独学はハウツーではない。自分の中に自分で問いを立てる学問」です。ぜひ、違和感も疑問も納得いかない部分も含めて、自分に問うてみてほしいのです。ありがとうございました。


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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。