ジェンダーギャップ指数を使うポリコレ全体主義の危険
政府は22日、国連に提出する持続可能な開発目標(SDGs)の報告書をまとめた。男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」の日本の総合順位が156カ国中120位にとどまる点を「大変残念な状況にある」と総括し、遅れを認めた。
…とあるのですが、国連に提出する報告書なら、WEFとかいう1シンクタンクが作ったデータではなく、国連の機関が作成している「ジェンダー不平等指数」の数値を使うべきではないかとも思います。
それによれば、日本は24位と上位なのに、日本のメディアもフェミニスト界隈も一切それを取り上げません。政府まで言わない。完全シカトです。一体、何の闇の力が働いているわけ?と勘繰りたくもなります。
だからって国連の24位を是とするつもりもない。こういうランキングものはひとつのエンタメ的な指標とみる程度のものであって、どう集計しようとそれは作成者の恣意性が含まれる。
にも関わらず、この「ジェンダーギャップ指数120位」という言葉だけが一人歩きしたあげく、界隈からは「少子化の原因は男女格差だ」「女性の就業率があがれば出生数はあがる」などという飛躍しすぎた妄想論まで出始めて、さすがにそれはあまりに度が過ぎるだろと思います。
プレジデントオンラインの連載「ソロ時代の羅針盤」にて、このことについてデータ検証とともに書きました。ぜひ読んで頂きたいと思います。北欧出羽守の妄想を打ち消すファクトも提示しています。
勘違いしないでいただきたいのは、だからって日本に男女格差がないと言ってるわけではない(普通の読解力があればわかると思いますが)。スイスにある1シンクタンクが作成したランキングだけをもって、日本が男女格差が激しい国だなんて結論づけるのは、とても知性のある人間のやることじゃないと言いたいだけです。
あまつさえ、そのランキングが何の指標によって構成されているかを調べもせずに、結果の「120位」という数字だけを絶対視して高説ぶる識者(ぶった無知者)があまりに多い。だから「少子化の原因は男女格差だ」「女性の就業率があがれば出生数はあがる」なんてトンでも論法が出てくるのです。
もちろん、男女格差があることを是とはしませんし、実際に男女格差がある事例もあることも否定しません。が、今回記事としてとりあげたのは夫婦と出生率との関係性です。それ以外の事例についてあーだこーだ言われてもそれはまた別の話。夫婦に関して言えば、、夫婦それぞれいろんな事情と価値観と合意に基づいた役割分担を、なぜ統一的な枠にはめたがるのかについてはとても理解できない。昨今、この問題に限らず、「私が正義だ」を押し付けるこうしたポリコレ全体主義的な思想が蔓延している気がして、とても危険だと思います。
そもそもこういうことを言う人は、大抵自らがバリバリ働いている人が多い。しかし、自分がそうだからといって他の女性全員もそうであると思ってはいけない。女性が全員外で働いて出世したいと願っているわけではない(男性もだけど)のである。2020年僕が実施した一都三県の既婚有業男女5000人に対して行った調査によれば、男の5割、女の4割しか「働いて出世したい」とは思っていない。そもそも働いて上を目指したい人間なんて半分以下なのです。
自分の見たいものだけをファクトと認定し、それ以外はすべて拒否する。たとえエビデンスに基づいてファクトを提示しても、何の知識も検証もしない輩が問答無用で「それはデマだ」と決めつける。そんな社会は果たして健全と言えるのでしょうか?
今回の記事もおかげさまでたくさん読まれて、公開後4時間で400件ものヤフコメが寄せられました。ヤフコメなので、いつものように批判的なコメが多いのかと思いきや、なんてことでしょう。
どうした?ヤフコメ。らしくないじゃないか、と言いたくなるほど今回は賛同及び共感の声が寄せられています。
人は賛同や共感した時はあまりコメントをするという行動はとりません。何かを書くという行動の原動力は大抵不快な感情です。そして、その不快さが大きければ大きいほど長文の否定文になります。なので普通は、否定的なコメントが並んで当然なのですが、珍しいこともあるものです。
共感で何かを書くこともあるというご指摘ありましたが、それはその共感が元々の不快のモヤモヤを払拭してくれたからです。感動などポジティブな感情で何かを書くこともあるでしょう。しかし、SNSなどの瞬間的なメディアにおいて行動を喚起するのは、残念ながらネガ感情なのです。
もちろん、相変わらず否定的なコメはきています。否定的なコメントを否定するものではありません。人それぞれどう感じるかは自由ですし、否定的・批判的なコメントを書くことで、ご本人のストレスが和らぐのであればぜひ僕の記事を活用していただければと思います。
しかし、否定の仕方にもマナーや作法があると思うわけです。こういうコメントがきました。
専業主婦は無用です。このような記事が蔓延るから、逆に男女格差が縮まらないでしょう。女性の就業率が上がれば上がるほど出生率は減りますという主張は一見正しいようですが、女性が仕事復帰できる環境にさえあれば、改善されます。取り組んでいる会社(大手企業を中心に)あります。また、ダブルインカムであれば経済的な問題で生めないのも解消されるでしょう。仕事を持っている女性が専業主婦をバカにするのも当たり前。昔のように家計の負担は重くないですし、ハウスケア、デリバリーなど工夫すればいくらでも負担軽減できます。この筆者はどうも昭和脳です。家計を握るのが主婦?そんなのはありません。夫に頭が上がらないのであれば、女性が経済的にも自立し、家計も分担していくように家庭内で調整していかなければなりません。
長々と書いていますが、要するに、こういう人こそが差別主義者なのだと思います。僕のこと昭和脳とdisるのは結構ですが、無用な人などいないし、バカにされて当たり前の人などいません。自分が何を書いてるか自覚がないのか?残念な方だと思います。
他にもいろいろきていますが、「ツッコミどころが多い」とか言うだけで何一つ根拠示さず具体性に欠ける単に不快の吐露だけの人が多い。ひどいのになると、一部だけを切り取り、本質的な趣旨と違う部分で揚げ足とりをするようなのも見られる。ご苦労様です。
人間は、知ってるつもりだったのに知らない事実をいきなり突きつけられると不快になります。不快になるとそれを払拭しようと怒りの感情が起きます。怒りの感情で何か行動しようとするとどうしても事実に対する反論ではなく、その事実を提示した人間に対して攻撃しようとします。これこそが誹謗中傷の元なのです。
何かの課題を解決したいのなら、事実は事実として把握した上でやりましょうよ。誰かを排除して解決しようとしないで。
最後にとても良い漫画をご紹介します。聞くべきは、声のでかい周囲の奴らの雑音ではなく、自分と向き合ってくれる相手の声です。
プレデントの記事に書いた文章をそのまま貼り付けておきます。
専業主婦は働いていないわけではありません。夫婦共に外で就業することを「共働き」という言葉の使い方がおかしい。それは「共稼ぎ」です。外で稼いでなくとも、専業主婦は、家事や育児で日々働いています。つまり、外で働いて稼いでいるかは関係なく、すべての夫婦は「共働き」なのです。
お時間あればこちらもお読みください。