各業界の業績を左右する猛暑
東京5日は猛暑日予想 ダブル高気圧で今夏も記録的高温 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
●猛暑・厳冬をもたらすラニーニャ
世界的に異常気象を招く恐れのあるラニーニャ現象が発生しています。
ラニーニャ現象とは、南米沖から日付変更線付近にかけての太平洋赤道海域で、海面水温が平年よ り1~5度低くなる状況が1年から1年半続く現象です。
ラニーニャ現象が発生すると、地球全体 の大気の流れが変わり、世界的に異常気象になる傾向があります。
気象庁の過去の事例からの分析では、ラニーニャ現象の日本 への影響として、梅雨入りと梅雨明けが早まることで夏の気温は平年並みから高めとなり、冬の気温 は平年並みから低めとなる傾向がある、ということ等が指摘されています。
そして経済的には、小売業界に猛暑効果は現れやすいといわれています。
一般的に、小売業界の売上は猛暑の影響で季節商材の動きが活発化し、百貨店・スーパーとも盛夏商材が伸長しやすいといわれています。
家電量販店の販売動向もエアコンが牽引し、全体として好調に推移することが期待されています。
小売業界以外でも、猛暑の恩恵は及びそうです。
外食産業もそうですし、飲料向けを中心にダンボールの販売数量も大幅に増加しそうです。
また、ドリンク剤や スキンケアの売上好調により製薬関連でも猛暑が追い風となりそうです。
さらに、乳製品やアイスクリームが好調に推移する乳業関連も恩恵が及びそうです。
化粧品関連でも、ボディペーパーなど季節商材に追い風となるでしょう。
一方、ガス関連は猛暑で需要が減り、医療用医薬品はお年寄りの通院が遠のくこと等により、猛暑がマイナスに作用しそうです。
以上の事実を勘案すれば、仮にラニーニャ現象により今年の夏も猛暑となれば、各業界に恩恵が及ぶ可能性があるでしょう。
●幅広い猛暑効果
事実、過去の経験によれば、猛暑で業績が左右される代表的な業界としてはエアコン関連や飲料関連があります。
また、目薬や日焼け止め関連のほか、旅行や水不足関連も過去の猛暑では業績が大きく左右されました。
そのほか、冷菓関連や日傘・虫除け関連といった業界も猛暑の年には業績が好調になりが ちとなります。
更に、飲料の販売比率の高いコンビニや猛暑による消費拡大効果で広告代理店の受注も増加しやすくなります。
缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカーや原材料となるアルミニウ ム圧延メーカー、それを包装するダンボールメーカーなどへの影響も目立ちます。
更には、ファミレスな どの外食、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増え る宅配関連なども猛暑で業績が上がったことがあります。
一方、食料品関連やガス関連、テーマパーク関 連、衣類関連などの業績には、過去に猛暑がマイナスに作用した経験が観測されたことには注意が必要でしょう。