ツイートがバズって考えさせられた3つのこと。
先日、趣味でやっているツイッターで大きな反響があった。
それがこのツイートだ。
18万もの「いいね」がつき、男女共に多くの共感の声で拡散したツイートだったが、一部批判の声も寄せられた。
奇しくも同じ日に話題になったこのツイートが真実だとしたら、批判の声は少ない方とも言えるが、やはり気にはなる。
なぜ反響が大きかったのか。
なぜ批判の声が挙がったのか。
もろもろ考えさせられたことをパワポでまとめてみた。
今日はそんな話。
(読了まで約5分、お時間ください)
■共感が生まれた逆転の発想
まずは軽い気持ちで投稿したこのツイートが、なぜこんなにも話題になったのか。その理由から考えてみる。
ツイートの背景は、知人女性のAさんが発したこんなセリフだった。
「生理前は憂鬱だし、排卵後も体調が悪い。女性が本当に元気な期間なんて、1ヶ月で1週間くらいですよ。女子同士で旅行に行こうと思っても、みんなが唯一元気な1週間に合わせることなんて不可能なので、本当に大変です。」
目から鱗だった。
それまでの僕は、1ヶ月の中で生理中だけが元気のない1週間だと思っていた。
その認識が
1ヶ月で元気なのは1週間だけ
に逆転した。
(もちろん個人差はあると思うが)Aさんの発言によって、僕の生理に対する意識は大きく変化した。
この逆転現象は言葉より図の方がわかりやすいだろう、と考えてパワポにしたのが冒頭のツイートだ。
そんな意識の逆転現象が世の中レベルでも起きたことが、話題になった要因だろう。
・まさにこんな感じ!私だけじゃなかったんだ。
・妻や彼女はこんなに大変だったのか。ようやく理解できた。
・こんなことも知られてないの!?むしろ教科書に載せてほしい。
ツイートを広めたのは、主にこんな声だった。
さて、ここからがある意味本題。
このツイートに寄せられた批判の声から考えた3つの議題についての話をはじめよう。
1.主語の拡張による分断の扇動
冒頭のツイートにはいくつかの批判が寄せられた。
まずはこの4つ。
1.男性だからってずっと元気なわけないだろ!男だって大変だ!
2.女性を弱い存在に見せるのはハラスメントだ!
3.生理が終わった女性は女性じゃないのか!
4.生理がある人=女性なんて、トランスジェンダーに配慮がない!
これらの批判は、ほんの少しの配慮さえあれば避けられるものだった。
ポイントは「主語の拡張」だ。
冒頭のツイートは、あくまで僕とAさんの会話だったが、僕はAさんの話を「(生理がある)女性って大変だなぁ」と解釈し、生理によって体調が悪くならない自分と比較して「(生理がない)男性とは大違い」と表現した。
このAさん→女性、僕→男性、が主語の拡張だ。
Aさんは自分のことを話しただけで、僕が抱いたのも僕だけの感想だ。
にも関わらず、僕は「女性と男性の話」として主語を拡張を表現してしまった。
ちなみにこの「主語の拡張」現象。至る所で発生し、対立構造が生まれるきっかけになっている。
例えば、○○党の議員が不祥事を起こせば「これだから○○党はダメだ」と、野党が批判する。小学生でも「みんな○○ちゃんのこと嫌い、って言ってるよ」とイジメを扇動する子がいる。本質は同じだ。
主語を拡張して他人を巻き込めば、関係者が多くなり威力が増す。
一方で「○○派 VS ○○派」の対立構造を作り出すのがデメリットだ。本来であれば個人対個人で解決すべき話を、不必要に大きくしてしまう危険性がある。
冒頭のツイートも「生理がない人」を表現するために使った「(身体としての)男性」という表現によって
「男性がみんな元気なわけじゃない」
「お前と一緒にするな」
「(生理があるトランスジェンダーの男性を)排除するな」
という批判を生んでしまった。
本質でない議論を生んでしまったことを反省し、ツイートは24時間後、以下のように訂正した。
では、このツイートの本質とはなんだったのか?
別の批判から考えてみよう。
2.組織と排除の構造
冒頭のツイートに対する意見には、こんなものもあった。
・女性がそんなに安定しないなら、男女平等に社会参画させるなんて、そもそも難しい。
・だから男性は外で仕事をして、女性は家で家事をすればいいんだ。これは理にかなっているし、優しさだ。
一見信じられない意見だが、以前に僕が書いた記事を引用して、こんなリプライもあった。
生理があって、体調が安定しない人が50%もいたら組織が成り立たない、とするこの主張には、なんとも言えない感情を覚えた。
これらの批判について散々モヤモヤした結果、シンプルな問いが浮かんだ。
A:体調が安定している人しか活躍できない組織(社会)
B:体調が安定しない人も活躍できる組織(社会)
私たちが目指すべきは、どちらの組織(社会)だろうか。
答えは明白だが、少しだけ補足をする。
世の中には(身体的な)女性と男性が50:50程度で存在する。
その半数を「体調が安定しないなら、家で大人しくしていろ」と排除するのではなく、体調が安定しなくても活躍できるように組織(社会)を整えた方が有意義ではないだろうか。会社も国も同じだ。
モヤモヤは、そんなシンプルな結論にたどり着いた。
これは「女性に優しく」という単純な話ではなく、男性のためにもなる結論だ。
例えば(身体としての)男性は、今後生理の影響で体調が安定しなくなることはないだろう。しかし別の要因で体調不良に陥る可能性はある。
そうなった時「安定しないなら社会参画しなくていい」というセリフはブーメランとして自分に襲いかかる。
そうなって初めて生理による体調不良が自分ゴトになるくらいなら、今のうちに自分たちが安心して働ける組織(社会)について考えてみようじゃないか。
2つ目の批判は「自分にとって生きやすい組織とは何か?」を考えるきっかけになった。
3.自分ゴトの荒療治とスピード感
最後は少し過激な内容になる。
今回のツイート以前にも、僕は生理に関する言及をしていた。
自分が総理大臣になったら「不定期に生理痛の痛みを感じる薬」を開発して、月初にすべての男性に飲んでもらう。話はそれからだと思うんですよね。(2020年8月29日)
このツイートを引っ張り出して批判するツイートは2,000人以上にリツイートされ、僕の元にはその人格を否定する声が届くようになった。
本意が伝わらなそうなので、元ツイートは一旦削除したが「元ツイの説明を」と求める主張があったので「ZOOMで説明します」と座談会の開催を発表した。
主に批判を扇動していたアカウントは直接誘ってみたが「あなたと話すことはありません」とブロックされた(話すことないんかい)。
しかしその他にも賛同者は2,000人以上いるはずなので、ZOOM座談会は予定通り開催したが、結局誰も来なかった。
なので、勝手にここで補足をさせてもらう(お得のnoteで説明すれば?との声もあった)。
まず、このツイートは安倍首相の退任が発表され「次期総理大臣は誰になるのか?」と注目が集まっていた頃のツイート。
そしてこのツイートは「女性活躍」を掲げながら、女性の管理職登用目標を下方修正するなど、そのスピード感に疑問を持っていた僕からの政治に対する皮肉だ。
元ツイートで言及したいポイントはやはり「自分ゴト」。
「女性活躍」「多様性が大事」など、口ではなんとでも言える。ただ「自分ゴト」になっていないと結局危機感もないし、対策も遅い。
G7では最低、世界で113位の女性閣僚割合という先進国の日本に対して、「こんな突拍子もない発想で自分ゴトになりますよ?」という提案が元ツイだ。
批判の中には「負の側面まで平等にするなんて愚かな発想だ」とするものが多く見られたが、負の側面を平等にすることは目的ではない。そこは考え出す出発点だ。だからツイートでは「話はそれからだと思う」と表現している。
男性でも生理が自分ゴトになれば、生理にまつわる社会課題について考えるきっかけになるだろう。
女性活躍について真剣に考えるきっかけになるだろう。
生きづらさについて考えるきっかけになるだろう。
しかしそんな荒療治をするような人物が総理大臣になる前に、生理がない(身体的な)男性も、そろそろ生理を自分ゴトとして捉えたほうがいいんじゃないですか?
が、元ツイの主旨だった。
過激な発言ではあったが、こんな流れがもっと生まれればと願う。
■言葉を凝縮する意味と意義
さて、ここまで約3400字。
わずか140字(と1枚のパワポ)のツイートをきちんと説明するには、その24倍もの文字数が必要だった。
それだけ言葉を凝縮することには意味があるし、意義がある。
そして責任が伴う。
だから批判でも賛同でも、noteでもTwitterでも、そんな責任感と意義のある言葉とこれからも向き合っていきたいと思う。