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副業解禁で重要になる、社内広報部門と人事部

私はフリーターですが、何か

 さて、私ごとであるが、私の現在の働き方は、フリーターである。一つの企業に所属しているわけではなく、数社との契約で、その仕事の方法や、成果も異なる。ある企業では、会社への出社を重要視する企業もあるし、別な会社は、物事の検討や議論に必要な資料の作成を重要視している。

 そう、現在はフリーターである。そして、フリーターを行って、複数の企業の仕事を同時に行うことで、さまざまな学びがある。企業のカルチャーと人材により、ビジネスの取り組み方が異なる点。単純に言えば、仕事のペースも、会議の標準時間すら異なる。そのように、スタイルや考え方が違っていても、それぞれの企業が成長している。つまり、働き方や仕事の方法にベストな方法が、大局的にあるわけではなく、その人、チーム、企業に相応しい仕事の仕方があることを、体感している。

 これは、コンサルティングを仕事の一部としている私にとっては、本当に大きな学びである。やはり、コンサルティングでも、クライアントつまり顧客観察と理解が重要だということを学ばせてくれているのだから。フリーターになって、本当に良かったと思っている。こんなにも、多くの勉強を行えるのだから。

副業は確かにビジネス・パーソンの成長にはつながる

 ここ数年、「副業」に関する議論が増えてきてた。

 この記事にあるように、多くの企業が副業について解禁しているようだ。上記のような考えからすると、チャンスがあるのであれば、副業は行ったらどうだろうか。

 まず、副業するにあたり、辛い言い方かもしれないが、自分自身のビジネス・パーソンとのしての価値がわかる。私も、当然すべて企業と契約できるわけではなく、声をかけて頂いても、中間の面接で落ちることもある。自分の価値が、その企業の期待値を超えていないと契約にならないからだ。落ちたり、契約できるという事実で、自分のビジネス・パーソンとしての価値を再確認できるのはとても良い。

 人生100年時代、退職後のご自身の活躍方法を考えるためにも、企業で働いている時期に、副業の門を叩いてみよう。退職後に、無職の状態で面接を受けるよりは、精神的にも余裕があるだろう。

 次に、私の体験でもわかるように、実に多くの企業の働き方のスタイルがあることを知ることは大きな学びだ。日本の今までの雇用は、終身雇用が主だった。その結果、従業員教育は、ビジネス・パーソンの教育というよりは、その企業での働き方教育だったと言っても過言ではない。他の企業の仕事をすることで、他の企業の働き方を見ることで、自社の働き方、仕事の仕方の問題点や改善点も見えてくるはずだ。

 このように、副業はビジネス・パーソンの私たちにとって、大きな学び、成長の場になるだろう。

逆に、所属企業の魅力がない企業は、副業許可は、人材流出

 ところで、今回の「副業解禁、主要企業5割」の記事で問題と思うこともある。それは、企業の方の副業解禁の理由の1位の項目が「社員の成長やモチベーション向上」と答えている点である。この質問の選択肢が良くなかったのかもしれないが、私は「社員の成長」は大きな理由になるが、「社員のモチベーション向上」には、否定的である。

 副業することで、社員に働く意欲が向上し、自社の戦力としてさらに有効になるのではと考え「モチベーション向上」を理由に選んだのかもしれない。しかし、冷静に考えて欲しい。副業したい従業員は、もともと働く意欲があるので、副業するのである。働く意欲のない人が、副業をするだろうか。

 次に、働く意欲のある人が副業をして、モチベーションがさらに上がる場合は、その副業先の方が、仕事の中に「生きがい」を感じるからである。ということは、副業先の方が魅力的であると感じているはずなのである。

 副業とは、従業員に今の所属先の自社と副業先との比較をするチャンスを与えることになる。つまり、「働く意欲がある人」が、自社に魅力を感じず、副業を行い、その「副業先に魅力を感じた」ら、人材流出する可能性があるのである。

 こう考えると、副業を許可している企業は、きちんと、広報部門などによる、その企業のインナー・ブランディング、つまり魅力ある企業であることを今まで以上に伝えないといけないのではないだろうか?

 今まで、企業の広報部は、企業の活動や方向を示すことを中心に行ってきたが、副業解禁時代には、それに加えて魅力的な職場、魅力的な企業であることも伝えないといけないのである。

副業と同様に考えたい、出戻り制度

 そして、副業解禁でとても忙しくなっているのは、人事部門だろう。それでなくても、人事部門を取り巻く環境は大きく変化している。4月一括採用から、通年採用へ。そして、70歳定年。そして、さらに副業解禁である。きっと、どの企業も人事部は大変なのだろう。

 そんな中、きっと新しい人事制度も作らないといけないだろう。この副業解禁は、おそらく中途採用の件数を増やすことになるはずだ。さらに、申し訳ないが、今まで以上に中途退職も増えるだろう。

 であれば、一度その企業を離れて、別な企業で働いた人を、再雇用するパスを明確に作るのはどうだろうか。本当は、副業以上に従業員が伸びるのは、他の企業に転職し、仕事を100%変えて、そして戻ってきた方は、いろいろな学びがある。副業には、大きな責任が伴わないが、転職は違う。

 副業解禁も大英断の判断だが、もっと多様な人事体系、雇用制度を創ることも、今の人事部には求められているのだろう。



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本間 充(アウトブレイン顧問/アビームコンサルティング顧問)

1992年に花王に入社。デジタル・マーケティングをリード。現在は、コンサルタントとして企業のマーケティングのデジタル化を支援。ビジネスブレークスルー大学の講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授、事業構想大学院大学 客員教授。著作として「シングル&シンプルマーケティング」

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