日本は、もはや先進国ではなく「後退国」に成り下がってしまった

ヤフーの方で公開した下記の記事が爆発的に読まれました。

特に、僕個人ととしては目新しいことを書いているわけではなく、2017年上梓した「超ソロ社会」にも書いて以来、ずっと言い続けてきている「日本人口6000万人説」について再整理したものです。

ただし、世間はまだこの未来を知らない人も多く、「多死社会が来る」という事実すら把握していない人も多い。2021年の死者数は確実に140万人を超えますし、推計通り2024年には150万人を突破するでしょう。コロナとか関係なく、です。

人口減少は危機ではなく必ずやってくる現実でしかない。人口減少は不可避なもので、それを多少の少子化対策をしたところで何の効果もありません。死ぬ以上の人間が生まれることは少なくとも2100年までは絶対にありえない。

にも拘わらず、相変わらず以下のように危機を煽るようなことを言う論者は存在する。

いつもので出羽守パターンで、フランスやスウェーデンを勝ち組として、その出生率の話題をもってくるわけですが、こういう人たちは最新のデータというものを常に把握していないのでしょうか?一体いつの年代の話をしているのか?と呆れるばかりです。

御覧の通り、フランスもスウェーデンも2010年頃をピークに出生率は下がりっぱなしです。今後も下がり続け、1.5くらになるでしょう。 

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北欧出羽守の皆さんの大好きなフィンランドに至っては、もはや日本とどっこいどっこいです。

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少子化政策で金をばらまこうが、そんなことは一過性の効果でしかなく、アフリカと中東の一部を除けば、ほとんどすべての国の出生率は下がるし、よって世界の人口は減少する。

あの中国でさえ、2020年の出生率1.3と日本より下回った、とワシントンポストが報じている。2019年まで、1.7前後で推移してきた中国が一気に0.4も下がったのだろうか?

もし、それが正しいのだとしたら、今までの統計自体が嘘であるのではないか、と疑いたくもなる。

とはいえ、どこの国だろうと、どんな政策をしようと、少子化になるし、人口は減少する。

日本はすでに2008年に人口ピークを迎えているが、欧州は2020年にピークに達したといわれているし、アジアでさえ2039年にピーク、世界全体でも2054年にはピークを迎えるという推計も出ている。ちなみに、中国の人口は2100年に今の14億人から半分の7億人まで減る。

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これに対して、LOW推計ではなくMEDIUM推計で見るべきだという反論を言う人がいるが、過去の推計と実績をみれば、大体LOW推計の方が実績ら近いのであって、わざわざMEDIUM推計を採用する必要はない。

そもそも人口が未来永劫増え続けてもらったら困る、と警鐘を鳴らしていた時代もあったわけで、そこからしたら人口減少は危機ではなく、歓迎すべきことではないのか?

むしろ、20世紀に入って全世界的に増加した人口の方が異常だったとみるべきである。アメリカでさえ、人口の伸びが低下し、推計より早く人口減少に転じるとみられている。少しくらい早まったところで大勢に変わりはない。

繰り返すが、人口減少は不可避なのである。確定した未来でもある。

であるならば、少ない人口でもなんとかなる方向へ舵を切らないといけないのだが、日本の1人当たり平均賃金を見るとと悲しくなってしまう。

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1990年時点では、日本を上回るのは米国とドイツくらいだったが、それ以降イギリス・フランス・北欧諸国などは勿論、遂にはニュージーランドや韓国にまで抜かれた。それも当然で、この30年間、まったく平均賃金があがっていないのは日本だけだからである。

問題はそれだけではなく、賃金があがっていないのに、社会保障費や消費税はあげられ、実質可処分所得はマイナスである方だ。

先進国どころか後退国であり、成長も分配もない国、それが今の日本の姿ではないか。

移民をいれろとか言う人がいるが、こんな賃金の安い国に誰が出稼ぎにきますか?という話だ。

どうにもならない人口減少を危機だなんだと騒ぎ立てる暇があるなら、今目の前の賃金構造や消費促進による景気を底上げを図ることの方が急務でしょう。今必要なのは、一過性の10万円給付なんかではなく、今年も来年も再来年を安定して得られる「最低でも今よりプラス100万円の年収」のほうであり、政治に求められるのはそのための動きである。

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