見出し画像

クラウドファンディングが読む人と本の距離をもっと縮める

前回、音楽業界の業界課題をクラウドファンディングが解決していくという記事を書いて多くの反響をいただいた。レーベルや事務所など、プロバイダーが多数存在しているジャンルのエンターテイメントでは、ファンとアーティストが持っている「もっと近づきたい」「もっと早く、効率よく作品を届けたい」という欲求と業界構造が相反していることが明らかだったからだろう。

クラウドファンディングと出版の構造

今回もそれに似た構造のジャンルを紹介したい。それが出版だ。一概に善悪を決められないが、出版も、著者から読者に本が届くまでには、版元(出版社)、取次(ディストリビューター)、書店・・・・・・と、たくさんのステップが存在する。

そのおかげでさまざまな本が全国に効率よく配本されている一方で、読者に届くまでの時間がかかったり、途中で恣意的な編集や広告が加わることもしばしばだ。

しかし、そのそれぞれのステップにおいて、民意を反映して変わろうとしているプレイヤーがいることも忘れてはならない。これらのクラウドファンディングを紹介しよう。

著者や編集者が立ち上げたプロジェクト

まずは、著者や編集者が立ち上げたプロジェクト。その後の流通のステップをスムーズにしたり、流通のステップ(出版や配本)を少なくするためにクラウドファンディングが使われている。

築地市場で働く男たちのポートレート「築地魚河岸ブルース」の写真展 & 大判写真集制作

いま東京で ”働くとは何か” を考える本『WE WORK HERE』を出版したい

NOBODY47号 大特集「日本映画の現代」(仮) 出版支援プロジェクト!

出版社が立ち上げたプロジェクト

次に、出版社が立ち上げたり、出版社そのものを作ろうとするプロジェクトだ。そもそも参入障壁の高かった出版社づくりがここにきて再燃を見せるのは、このようなプロジェクトの下支えがあったからだとも言えるだろう。

「本の可能性」を巡る芹沢高志と港千尋の対話から、ABI+P3共同出版プロジェクトが始動。小さな出版レーベルの創造の現場を一冊にした「プロジェクトブック」の制作に、どうかご参加ください!

国内各地でプロセス公開・参加型のリサーチ・取材を行い『日本各地で行われているアートプロジェクトの動きを伝える10年本(仮)』

★現在ファンディング中!!!

書店が立ち上げたプロジェクト

本を扱う書店のプロジェクトもある。東日本大震災の被害を受け、避難指示区域に指定されていたエリアに芥川賞受賞作家の柳美里さんが書店を作るというプロジェクトだ。実際の書店はご本人の本には全てサインやコメントが入っており、本を買う体験の尊さをあらためて実感できる空間だ。通常、チェーンの書店であれば出店計画のもとに作られる。そうではなく、本を手に取る場所を民意で決めることができた事例である。

芥川賞作家・柳美里さんと旧「警戒区域」を「世界一美しい場所」にする為に、
福島県南相馬市小高区に本屋(ブックカフェ)をつくるプロジェクト

せとうちの街、高松に「これからの街の本屋」を。新刊書店『本屋ルヌガンガ』

文化そのものを作るプロジェクト

一風変わったものでは、出版文化を外から変えようとするものもある。このプロジェクトは、翻訳家というスポットライトの当たりづらい存在を見出す賞を作ろうというもの。このようなプロジェクトが、さらに多様な作品が世にでることや、それを支えている職業の存続をさらに強固なものにしている。

訳家に光を!日本初、翻訳家がつくる翻訳賞「日本翻訳大賞」の設立プロジェクトをご支援ください!

スマートフォンが登場し、私たちが1日に読む活字の量は格段に上がったと言われるが、一方でその質のほうはどうだろうか。濃度の高い制作、編集、流通、販売をクラウドファンディングが支えることで、読む人と本の距離はもっと近づいていくのかもしれない。

実は、そんな想いを実体験すべく、今私自身も本をいちから作ってみるというチャレンジをスタートした。
土曜日の朝、イーストトーキョーを拠点に集合して、みんなで走って、そして美味しい朝食を食べる。ただそれだけのコミュニティ「R&B」の文化を本にしてみようという取り組み。

いまや300人が集い「朝食」という”はじまりをシェアする時間”を一緒に過ごすR&Bというコミュニィティーの形を本にする。

まさに、いろんな個性が集まったコミュニティでそれぞれが好きな形で自由に関わって制作し、そしてみんなからの共感を集めてクラウドファンディングで出版する。大きな業界構造のなかで日の目を見なかった様な、新しい文化を小さく生み出していく様な新しい本の形がここから生まれるのではないか。そんなチャレンジ。

この本作りはまだ始まったばかり。誰でもご参加ウェルカムです。
ぜひR&Bのコミュニティに入って、そして一緒に本をつくって頂ける形をお待ちしております!

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

頂いたサポートは、積み立てた上で「これは社会をより面白い場所にしそう!」と感じたプロジェクトに理由付きでクラウドファンディングさせて頂くつもりです!