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新元号がいくら明るいものになっても、社会インフラのあり方を変えなければ、新しい時代は明るいものにはならない。

もう間もなく新元号が発表されるというので、メディアは大盛り上がりですね。あと数時間すればわかるし、これから嫌というほど使うことになると思うと、多少早く知ったとて・・ですが、気になるのが人間の性というものかもしれません。

ただ、水を差すようで恐縮なのですが、元号がどんなに明るい、ステキな未来を感じさせるものになったとしても、これから我々が直面する急速な人口減少や過疎化が止まるものではありません。こうしたタイミングを生かして、今まで我々ができるだけ見ないようにしていた課題に向き合うべき時だと思っていますのであえて書きますね。

既に現在でも、地方の基礎自治体は、既存のインフラを維持するだけで自主財源の何倍もの予算を計上しています。

Yahoo!の安宅さんが「地方都市を維持するにはベーシックインカム級の公費が必要」と指摘されている通り、これからそのコストをいかに圧縮し、将来世代に負担を残さないようにするか、今こそ考えなければなりません。これまで何度も言っている通り、「これまでのやり方で既存のインフラを維持するのはもう無理だと認める」ことが最初の一歩でしょう。

では、二歩目は何か。全く見当がついていないわけではありません。いろいろな打ち手が考えられています。まずは、よく言われることですが、mobility×エネルギーの掛け算。再生可能エネルギーが安価になって大量に導入されれば、変動の大きい発電をうまく使いこなすために蓄エネ技術が必要になります。電気自動車のバッテリーを結節点として、mobilityとエネルギーの融合を進めることが一つ考えられるでしょう。もちろん再エネや電気自動車という単体の技術を進歩させるだけでなく、自動運転技術やそれを受け入れる社会体制の整備など総合的に進める必要があります。

もう一つ可能性があるのが、農業とエネルギーの掛け算だと思っています。日本の自治体の農業に関するデータとエネルギーに関するデータを重ねてみたところ下記の表のような結果になりました(国立社会保障・人口問題研究所が2045年の人口見通しを試算していない福島県の自治体を除いたデータです)。日本の農業産出額の58%を占める周辺都市(人口5万人未満の都市)は、エネルギーインフラの危機に真っ先に直面するエリアであることが、ガソリンスタンド過疎地(SS過疎地)の87%が集中していることからも明らかです。その一方で、農業産出額の58%を占めるわが国の農業を支える地域であり、わが国の太陽光発電の導入実績の36%、賦存量の26%を占める、地域エネルギー資源の宝庫でもあります。

農業は意外とエネルギーを消費する産業でもありながら、エネルギーインフラの危機に真っ先に直面するエリアであるわけです。今後5年くらいで、都市の規模や特徴に応じた課題解決の事例を積み重ね、2020年代後半にはそれを大規模に横展開できるようになっている必要があると思っています。

ということで、農業電化協会なるものにも加盟してみました(笑)。農業とエネルギーの掛け算をどこまで進められるか、新しい元号の予測より、こちらのほうに頭をひねってみませんか。


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竹内 純子(国際環境経済研究所 理事・主席研究員)

温暖化・エネルギー政策の研究をしています。現実的な移行とサステナブルな未来を考えています。 国際環境経済研究所理事・主席研究員/筑波大学・関西大学客員教授/U3InnovationsLLC共同創業者・代表取締役。

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