猛暑をきっかけに考える気候変動対策とコミュニケーション戦略
7月も終わりに近づき、私の住んでいる静岡県浜松市では連日38度〜39度という猛暑日が続いています。「気候変動とメディア」というテーマで関心を持ち始めて2年半ほどの月日が経ちますが、否応なしに気候変動のことを考える機会が増えていることを感じます。
報道においても猛暑や温暖化と関連して漁獲量の減少、コメの流通量の減少、山形県と秋田県での記録的な大雨による浸水被害などが連日報じられていて、気候変動・地球温暖化の迫りくる影響が身近になりつつあります。
ただ、気になるのはこうした日々の報道において、気候変動・温暖化とのつながりが詳しく解説される機会は少なく、地球温暖化を止めるためにCO2排出量を削減したり、適応のための取り組みの必要性・緊急性を感じるきっかけは依然少ないと感じることです。
気候変動解決への需要を高めるには、人間のように話すことが必要
そんな時に偶然上記の記事を目にしました。「気候変動解決への需要を高めるには、人間のように話すことが必要」と題した短いエッセイには、以下のようなことが書かれています。
記事を書いたのは元ブランド・コミュニケーション戦略のエグゼクティブだったジョン・マーシャル氏で、現在ポテンシャル・エナジー・コーリション(Potencial Energy Coalition)という気候変動分野のコミュニケーション戦略を立案・実施する非営利団体を運営している人物です。30年以上ものキャリアを通じて石鹸やシャンプー、スナック、クレジットカードなどのマーケティング・コミュニケーション戦略の最前線で活躍していた7年前、当時17歳のご子息から気候変動に対して十分なことをしていないのではないか、と問われたことが団体設立のきっかけとのことです。
例えば同団体が3ヶ月前に手掛けたキャンペーンの一つが以下の動画です。山火事や洪水、大気汚染、干ばつ、台風などと気候変動との関連性を示す内容で、現在165万回以上視聴されています。
2021年のTEDが主催する気候変動において、『気候変動をきちんと伝える方法 3つの戦略』と題した約8分の動画プレゼンテーションにおいては分かりやすいメッセージングの重要性が詳しく紹介されています(日本語字幕付き)。
気候変動対策の仕事というと、理系の開発職、エンジニア、あるいは最近ではCO2排出量策定の専門家などのイメージを思い浮かぶ人が多いかも知れません。が、今回偶然目にした「ポテンシャル・エナジー・コーリション」の活動を知るにつけ、マーケティング、コミュニケーション分野の専門家の果たす役割がとても大切ということを認識することができました。
*2023年11月に公開された23カ国、約5万8,000人人を対象にした気候コミュニケーションについての調査レポートが公開されています。日本も対象国に含まれていて、とても示唆に富む内容がまとめられています。
政府による緊急性の高いメッセージ(ナラティブ)に触れた人はより賛同を示すというデータが紹介されています。ただし、日本の数値は各国と比べ数値が低いことも窺えます。是非じっくりレポートも読んだ上で、今後もこうしたテーマを深堀りしていきたいと思います。
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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリス