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タイパ時代の「急がば回れ」:ゆっくり動くことで見えるようになる新たな景色や価値観

日々の生活が目まぐるしく過ぎ去り、気づけば1週間、1ヶ月、1年があっという間に過ぎてしまう。そのように感じることはないでしょうか?

多くの情報に溢れ、仕事の場では様々な判断、アクションを早急にしていくスピード感が求められる環境に身を置いている人も多いのではないでしょうか。

個人的には毎年2月末を迎えると、「あぁもう今年も終わってしまう。ハッと気づくと大晦日を迎え紅白歌合戦を観てるんだろうな。。」と考えてしまうのですが、今年もふと気づくと5月末になっており、時間の流れの速さを再認識しています。

先日私が"ある"体験をしたのですが、その体験の中で「速い時間の流れ」に身を置くことで「見えなくなっているもの」も多くある、逆にいうと「ゆっくりの時間の流れ」に身を置くことで「見えてくるもの」があるのではないかということに気がつきました。

今回は私が気づいた「時間の流れ」について考えていきたいと思います。


現代における「時間の流れ」

特にこの10年-15年、スマートフォンの普及が一気に進み、誰もがいつでもどこでもインターネットに接続し、様々な情報を瞬時に取得できるようになりました。このこと自体はとても便利であり、テクノロジーによって生活や仕事の利便性が上がったと言えるでしょう。一方で、特に仕事においては
「いつでもどこでも」情報にアクセスできること=常に最新の情報を追いかけキャッチアップしておくこと
になり、常に情報と向き合うことが時間の流れを加速させる要因になっていると考えられます。

自分の場合に照らし合わせて考えてみても、常にスマートフォンが手の届くところにあり、電話はもちろんですが、仕事用のSlackやメール、最新のニュース、知人や世の中の人の動向を知るソーシャルメディアに気がつくとアクセスしています。そして、スマートフォンを見ているうちに気がつけば寝る時間になっている。。なんていうことがよく起きています。このように、常に情報に触れていることで、俗にいう「時間が溶ける」感覚、つまりは時間が速く過ぎ去っていく感覚を抱くのではないでしょうか。

皆さまも「タイパ」という言葉を聞く機会が増えてるのではないでしょうか?タイパは簡単に説明すると「費用対効果」の時間版であり、費やした時間に対しての満足度(効果)を示します。

タイパ(タイムパフォーマンス)とは、費やした時間に対する満足度の度合いを示す言葉です。日本語では「時間対効果」と訳されます。短時間で高い効果満足度が得られた場合は「タイパが良い(高い)」、反対に長時間を費やしても満足度が低いと「タイパが悪い(低い)」と表すのが一般的です。
ビジネスの場面でも、仕事の効率と満足度を示すタイパを意識することが重要です。たとえば短時間または短期間の商談で高額受注を獲得できれば「タイパが良い仕事」、長い時間や期間をかけても受注が0、または少額の場合は「タイパが悪い仕事」といえます。

参照:カオナビ

こうしたタイパを求める動きは加速しており、コンテンツを楽しむ際に動画やポッドキャストなどを倍速で聞く人もいるようです。

こうしたタイパの度合いが強くなるとスピード重視の風潮が強まり、当然「速い時間」を意識して生きていくことになります。

例えば、通勤中に仕事のメールを返信し、帰宅後も家事や家族との時間を効率よく過ごすためにスケジュールを組むなど、現代人は常に時間に追われています。このような生活スタイルが、時間の流れを速く感じさせる一因となっています。

また、コロナ禍以降リモートワークが普及し、そうすると家で仕事をするようになり、仕事のオンの時間とオフの時間が曖昧になり、メリハリがなくなったことで、時間の流れも速く感じるようになったと思います。

このように様々な要因はありますが、現代においては時間の流れはどんどん速くなっていると考えています。

時間の流れが変わるフォックスウォーク体験

私は先日、「フォックスウォーク」というネイティブアメリカンが行う独特の歩行方法で、狩猟や自然観察、スティルス(隠密行動)に適した歩き方を体験する機会がありました。

フォックスウォークの方法
フォックスウォークには、いくつかの基本的なステップがあります。
1. 姿勢を整える: 体の重心を安定させ、背筋を伸ばします。肩の力を抜き、リラックスした状態を保ちます。
2. 足を置く: 足を地面に置くとき、かかとからではなく、足の前部(母指球)から置きます。足の指が地面に触れる感覚を大切にします。
3. ゆっくりと重心を移動: 足の前部が地面に触れたら、ゆっくりと体重を移動させます。この時、膝を柔らかくし、静かに体重を乗せます。
4. 次の一歩を踏み出す: 片足が地面にしっかりと着いたら、もう片方の足を同じように前部から置きます。この動作を繰り返します。

ChatGPTより

私が体験したフォックスウォークは、自然の多い森の中で、日常の街中で歩くスピードで歩いたり、上記の方法で音が立たないようにゆっくりと歩を進めたりということを交互にした後、30分ほどフォックスウォークで森の中を歩きました。その速度は街中で通常歩くスピードの10分の1以下くらいでした。そうしたゆっくりとした速度で森林の中を歩くと次第にこれまでに見えなかった世界が見えてきたのです。

フォックスウォークをしている時に、ある瞬間に急に景色がはっきりと目に入ってきました。これまでは止まっているように見えていた森の中にある木々がゆっくりと揺れていたのです。それ以降は森の中の木々の揺れだけでなく、少しの雲の動き、落ち葉の中で動く虫、木の枝の先についた小さな木の芽など、それまで見えていなかったものが次々に目に飛び込んできたのです。

そうです。まさに見える世界が変化したのです。

速い世界とゆっくりの世界

日頃どんどん加速し速くなっていく時間軸の中で生きている自分にとって、フォックスウォークで体験したゆっくりした時間軸で見える世界はとても新鮮でした。

ゆっくりした時間軸で動くことで速い時間軸では見えなかったものが次々に見えてきました。それは本当に彩り豊かな世界でした。

フォックスウォークの体験を通じて、日常のスピードで生きていると見えないものが世の中にはあり、速度を変えることで景色が変わることを学びました。

現代では日々速さを求められます。しかしその速さの中に身を置いていると大切なものが見えなくなってしまうのではないでしょうか。

人によって違う時間軸

時間軸の速さによって見える景色が変わるということを意識するようになり、もう一つのことに気づきました。

それは、人それぞれ自分の持っている時間軸、進む時間のスピードは違うのだということです。

考えてみると当たり前のことなのですが、自分の持っているスピード感と他の人が持っているスピード感は異なります。そのことを理解せずに相手に対して自分の持っているスピード感を基準にアクションを求めるとお互いにストレスを感じます。相手の時間軸をちゃんと理解した上でコミュニケーションを取るようにするとストレスが少なくなり、ものごとがスムーズに進みやすくなります。

私はこのことを自分の子どもとの会話の中で体感しました。子どもに宿題がある時にやり始めないとイライラすることがあります。そしてついつい「早く宿題やりなさい」と声を掛けてしまっていました。人によって時間軸が違うことに気づいた後、子どもとのコミュニケーションを変化させました。子どもが自分でやり始めるまで待つことを心がけるようにしたのです。(もちろん我慢しきれず声を掛けてしまうこともありますが。。)

そうすると、子どもはある一定の時間が過ぎると、何も言わずとも宿題をやり始めることに気づいたのです。そして子どもがどんなことを考えていて、どういう基準でアクションをするのか、少しずつ解像度が上がっていくのを感じました。

まとめ

今回、フォックスウォークの体験を通じて日常のスピード感がいかに速く、それによって見えていない景色があることに気づきました。その気づきをきっかけに人によってもスピード感が異なるという認識を持つことができました。相手のスピード感を理解し、尊重することでコミュニケーションがスムーズになり、これまで見えなかった相手の考えや行動などが見えてくるようになるのです。

皆さんも日常が目まぐるしいスピードで進んでいると思います。そんな時にフォックスウォークを試してみるのも良いと思いますし、思い切ってあえてゆっくりした時間の中に身を置いてみたらいかがでしょうか。

そうすることで、普段見えない景色、価値観などが見えてくるのです。速さが求められるこんな時代だからこそ是非試していただければと思います。


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