評価制度を台無しにする3つの言葉
こんにちは。
リデザインワークとスキルキャンバス代表の林です。
評価制度の目的や、実現したい状態は、各社によって異なりますし、結果として、評価制度そのものも異なります。
しかし、どの会社でも、どの評価制度でもうまくいかないポイントには共通点があります。
それは、マネジメントの運用です。マネジメントが適切に評価制度を活用できなくて、「評価」がうまくいっていないという問題はどこの会社でも起こっています。
評価の際に、マネジメントが発する、評価制度を台無しにしてしまう3つの言葉があります。
「(彼/彼女は)頑張っています」
頻出ワード1位はこれです。頑張っているという情報は、評価においては、百害あって、一利なしだと思っています。僕が評価会議に参加する場合は、頑張っているというコトバを禁止しているくらいです。
評価制度で、頑張っていること自体を評価することはありません。
設定した役割が果たせたのか?設定した目標が果たせたのか?期待していたスキルが発揮できたのか?期待していた仕事に向き合う姿勢が実現できたのか?
これが評価の主論点であり、そこに関係のない情報は必要ありません。
また、期待を越えた場合も、期待に届かなかった場合も、そのGAPを生み出した原因は何で、彼/彼女は、次に何に取組めばよいのか?が育成とセットで重要なフィードバックになります。
頑張っていますという言葉は、期待とのGAPを曖昧にしたり、具体的なプロセスを曖昧にしたりする効果はあっても、期待とのGAPや期待とのGAPを生み出した原因の議論にもつながりにくくなってしまう。
と実際に何百回も評価会議を運営・参加してみて感じています。
「かわいそう」
期待に届かず、厳しい評価をしないといけないケースで出てくる言葉です。
「頑張っている」とセットで使われるケースも多いです。
「頑張っているのに、かわいそう・・・」
期待まで届かなかった際に、厳しい評価結果を決定・フィードバックすることを妨げてしまいます。
期待に届かなかったのに、「かわいそう」という感情に流されて、評価を甘めにつけてしまうことが、本人には一番かわいそうです。
なぜなら、期待とのGAPをしっかりと受け止め、次に何を変えていくべきか、どのような工夫をしていくのかを真剣に考えて改善していくことが、本人の成長につながり、本質的に仕事が出来るようになっていくからです。
また、このような発言をしているマネジメントは、普段から期待とのGAPをしっかりとフィードバックすることも出来ていないことが多いです。
そのため、普段は頑張ってるね。とか、よくやってくれている。と本人に伝えながら、評価の結果が厳しいという、その状態が一番かわいそうです。
しっかりと本人の可能性に期待し、期待に届かない部分は、厳しい評価と共にしっかりと本人にフィードバックし、一緒になって次に向けた課題と対策を考えていく。
それこそが本当のやさしさだと思っています。
「私は評価している」
本人に厳しいフィードバックをする際に出てくる言葉です。
「私は、あなたのことを評価しているんだけど、評価会議でね・・・、人事がね・・・」
と、自分はメンバーの活躍を評価しているが、自分ではない第三者の評価が低くて、厳しい評価でごめんね。という文脈でのフィードバックがよく行われています。
何が問題かというと、本人が期待とのGAPを理解するという一番重要な目的が薄くなることです。
また、上長に言われた期待を満たしていても、自分ではどうすることもできない謎の理由で評価は変わってしまう。という評価制度自体、または会社への不信が高まってしまいます。
これは、メンバーに厳しいフィードバックをするのを逃げて、自分は人の良い上司でいたい。本人から嫌われたくない。という心情から起こってしまうことです。
メンバーの成長よりも、自分の保身を優先している段階でマネジメント失格なのですが、意外にもこのような評価フィードバックをする人が多いのも現実です。
各社によって評価の目的は異なると思いますが、僕は、期待とのGAPをしっかり本人が認識し、改善を重ねることが一番重要な目的だと思っています。
ポジティブGAPの場合はどう再現性を高めるか、さらなる期待についてすり合わせることが重要ですし、ネガティブGAPの場合は、課題は何か、どのように対策をたてていくかをすり合わせることが重要だと思っています。
評価制度のアップデートと共に、マネジメントから出る3つの言葉を無くすことが大切ですね。
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