「自由な結婚」が生んだのは、未婚と離婚という子どもたち
未婚化は大都市だけの現象だと勘違いされている方もいますが、むしろ全国津々浦々同様に未婚化が進んでいます。
未婚化と同時に、離婚も増えています。
かつて、1960年代は人口千対の離婚率は0.7しかありませんでしたが、2002年には2.3にまで膨れ上がり、現在も1.7程度で推移しています。
婚姻数の減少と離婚数の増加について、都道府県別の推移を1975年と2015年で比較してみました。
40年前は、「高婚姻率・低離婚率」だった各県とも、2015年にはほぼ例外なく「低婚姻率・高離婚率」群へ移行しています。
特に、沖縄の離婚率の上昇はすさまじいものがあります。
さらに、遡って、戦前の1935年とを比較してみると、全体的に「低婚姻率・高離婚率」化は一緒ですが、いかに1975年から2015年の40年間では、大きく変化しているかがわかります。
生涯未婚率の上昇がはじまったのは1990年代以降ですが、1990年に生涯未婚率対象年齢50歳の人たちは、1970年に結婚適齢期の30歳だった人たちです。当時はまだ皆婚社会と言われ、95%が結婚していた時代ですが、その頃の若者たちから「日本の未婚化」ははじまったと言ってもいいのです。
彼らが結婚できなくなった理由のひとつは、お見合い結婚の衰退です。1965年頃、お見合い結婚数が恋愛結婚数に逆転されました。お見合い結婚はその後衰退し、今や9割が恋愛結婚です。いかに、日本人の結婚というものが社会的なお膳立てによって支えられていたかを証明しています。
お見合いから恋愛結婚への移行は、ある意味「結婚の自由化」でした。しかし、現実は、「自由な結婚」が生み出したのは、未婚と離婚という子どもたちだったという皮肉な結果になったのです。
「吾人は自由を欲して自由を得た。自由を得た結果、不自由を感じて困っている」とは夏目漱石の言葉です。現代、恋愛や結婚に対して社会的な制約は何もない自由であるにもかかわらず未婚化が進むのは、むしろ自由であるがゆえの不自由さがあるからではないでしょうか。
そちらの事情についてはこちらの記事に書きました。あわせてお読みください。