軍艦島から人がいなくなったのはなぜ?—未来に向けた「時間」を奪わない
突然、「市場」がなくなることがある。産業革命前、主力輸送機関であった駅馬車会社は、いかに早く、いかに多く、人を、モノを運べるかばかり考える経営をおこなっていたため、新たに生まれた機関車や自動車の存在に気づかず、お客さまを奪われて衰退した。自らの事業を『輸送事業者』と定義していたとしたら、時代を大きく変えることができたかもしれない
1 企業は時代適応業
長崎の軍艦島は現在観光地となったが、近代日本の産業の躍進を支えた石炭採掘場であり、高収入が得られる仕事場だった。石炭は奈良時代に燃える石として天皇に献上されたという記録がある日本古来からのエネルギー源であり、明治維新に伴う殖産産業政策における日本唯一の国産エネルギーの主役として明治・大正・昭和日本を牽引した。戦後の大学卒の人気ランキング企業の上位を占めた花形産業だった石炭が石油への世界的エネルギー転換によって、一気にエネルギー市場を失い、1974年に日本の近代化を支えた三菱の炭鉱地だった軍艦島から人が消えた
恐竜はなぜ絶滅したのか?
所説あるが、巨大隕石の衝突で大量な塵が発生して太陽光線が遮られ、地球が寒冷化するなど環境が急変したことで、それに対応できずに、大量の食料が必要な恐竜は生き残れなかった。環境変化に適応した哺乳類は生き残り、発展した
企業も「時代適応業」である
いかに時代の変化に、的確に対応できるか?いままでのやり方、考え方に対して
「それ、ほんま?」 「それ、なんでや?」「それ、こうちゃうの?」
と問いかけ、現在を観察し、再定義して、事業を再構築しつづける。前提条件・先入観を論理的に疑う。絶対にこうなるというような解像度の高い未来像は見えないが、未来に向けた変化の構造・メカニズムはつかむことはできる。その未来を想像できる方法を持っている人・企業とそうでない人・企業とでは、大きな差がつく
2 現在が「混沌」だということは分からない
これからどうなる?
コロナ禍3年半、5類感染症となって4ヶ月で感染拡大、第9波に突入。ウクライナ紛争1年半、日々、報道が二転三転、現在、どういう情勢かよく分からない。これまで当たり前だとおもっていた政治・経済・社会システムが機能不全になったり、これまで常識だと考えていた事柄がひっくり返ったり、いままで正しいと信じていたことが正しくなくなったりしている。そういう今までとは違う事柄が、散見しはじめている
混沌とした時代に入る
しかし混沌かどうかは、現在を生きている人には分からない。混沌時代になっても、現在が現実だから、現在を生きている人には、現在が「混沌」かどうかは分からない。どうしたらいいのか?
明治の人たちは、昭和を知らない
昭和の人たちは、令和を知らない
一歩先は、混沌。これからどうなるか分からない。コンピューターの出現が分からなければ、インターネットの出現は分からなかった。しかし
世の中は連続しているようで、実は世界は不連続
繋がっていないことが多い
それが、現在
ではどうしたらいいのか?現在を生きる人たちにとって大切なことがある
資源をどれだけ残すかである
3 これからを生き残るためには、資源をどう使うか?
超高齢社会に入っている
現在65歳以上が29.1%と、先進国でもっとも高齢者が多い国となり、2030年には3人に1人が65歳となっている国になるという
2030年というと、あと7年。団塊の世代は82歳~86歳となる。団塊の世代の前の人たち、戦後の高度経済成長日本をつくった人たちは、ほとんどいなくなっている。2030年の日本社会における
世代は、がらっと、変わっているだろう
これから7年が経ったら、世の中は大きく変わるだろう。2030年の社会を暮らす人々が創り出す物語は大きく変わっているだろう。その2030年において、会社・組織が成長しているのか衰退してしまっているかは
「資源」を現在
どう使うかにかかかっている
では、会社・組織にとって資源とはなにか?普通は人材だと思うだろうが
いちばん大事な資源は、「時間」
これから7年という時間を使って何をするか
である。その詳細のコンテンツは、その時代を生きる人たちが考えればいいが
この時間を使って始められることを
始めることが大事
2030年まで、7年しかないのではない、7年という時間がある。この時間という資産をいかに有効利用するかである。そのとき、大切なのは
未来に向けた
誰かの時間を奪わないこと
誰か若い世代がチャレンジして、何かを立ちあげようとする時間を年配者は奪ってはいけない。年配者は若い世代の行動に、口を挟(はさ)まない。大丈夫だろうかと心配だろうが、若い世代がやることをしゃーないなと、見守りつつ、裏で支える
若い世代が頑張れるように
資産を残す・時間を残す
若い世代のモチベーションを折らない。若い世代たちのやる気をなくさない。そのためには、若い世代にチャンスをつくる。世の中の動き、社会の動きを、人々の姿を観て、耳を傾けて
先入観、固定概念で
これはあかんで、うまくいかへんで
と言わない
ええんちゃうか、と見守る。ただし、なにもしないのではない。やるべきことがある。一歩先、二歩先を見据えて、若い世代が頑張れる時間をつくって、こういう
やってみなはれ、やらなわからしまへんで