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Chat GPTの先にある店舗サービスと職人の時代 ~AIに奪われない仕事~

Chat GPTの急速な普及の流れをみていて、それを使いこなすことがもはや時代の必須要素になる時代を予感させます。AIが人の仕事を奪うと言われて早何年も経ちましたが、店舗やものづくり、そこにおけるサービスや職人への影響を考えてみたいと思います。

一人に一台“ドラえもん”を持つ時代

Chat GPTとは、簡単にいうと、会話できるAIです。こちらが質問すると答えて自然な言葉で文章を生成できます。

僕のChatGPTを使ってみたときのシンプルな感想は、「これだけ高性能の情報収集能力があったら、調べ物や情報収集の人間の仕事がなくなるかも」と素直に驚きました。

最近ある同業のオーナー経営者と話していた時に、彼は「ChatGPTは何でも答えてくれる“ドラえもん”がスマホにいるようなものだ」と言っておりました。

確かにそんなイメージ。何かわからない情報や調べたい情報があれば、「ねぇドラえもん、〇〇ってどういうこと?」とスマホに聞くイメージです。

つまり、わからない事はChatGPTが膨大なインターネットの海から情報を探してくれて、わかりやすく編集して教えてくれる。しかも、すごい短時間で。その部分だけでみれば、人間はお手上げです。

まさに「一人に一台“ドラえもん”を持つ」時代がくるなと実感しました。

消費者が“映え”から解放される

では、これが店舗サービスやものづくりをやっている僕らにはどんな意味をもつのでしょうか?

僕ら達の仕事への影響を考えるために、ChatGPTがお客さんや消費者の買い物にどんな影響があるかを考えてみたいと思います。

僕は消費者にとってこれは“情報・知識”の短時間での付与かなと思います。

例えばケーキ屋さんにケーキが何十種類並んでたり、パン屋産でパンが何十種類も並んでいる時に、大まかにいうと、
①「過去の経験や知ってるケーキやパンを買う」
②「見た目が美味しそうなものを買う」
③「店員さんに聞いて買う」
という購買行動になると思います。

①と②の過去の経験と“映え”から判断していることって多いと思うんです。これは全然悪いことではないです。
ChatGPTが普及して、普通に使いこなすようになると、画像や名前からそれぞれのケーキやパンの情報を素早く理解できるようになります。

お客さんは賢いので、もしかしたら③の行為が必要無くなる時代になると思います。

なので、“映え”だけで買うと言う行為が少なくなっていく。もちろん“映え”が買う理由の一つである事は変わらないのかもしれないですが。

消費者が“映え”から解放される時代がすぐそこまで来ていると思います。

本当の意味でのクリエイティブやこだわりが伝わる

複数の産地のカカオ豆を使った「世界1周」がテーマのMinimal富ヶ谷本店のパフェ

では、お客さんが進化していく先の時代には、
店舗やものづくりビジネスはどうなるのか?
サービサーやものづくりの職人はどうなるのか?

僕は、本当の意味で人間らしいクリエイティビティやこだわりが伝わる時代が来ると思っています。

これは言い換えると、上述の③である、情報を説明するだけの接客やサービスは必要無くなるかもしれません。

そういう意味ではAIに人間の仕事の一部が奪われます。

でも逆に考えると、情報の解像度が高くなるので、きめ細かい仕事やクリエイティブな仕事のこだわりを理解してもらいやすくなります

僕がこの業界に入ったくらいのときにパティスリーで普通に使われる洋菓子用語に苦戦しました。よく思い出すのは、「フォレノワール」というケーキ
です。チョコレートとさくらんぼを使ったケーキです。これには由来があって、ドイツのシュヴァルツヴァルト地方にある、針葉樹の森にちなんで付けられていて、木々がうっそうと茂った森は、遠くから見ると本当に黒く見えるからそうつけられたといわれています。
でも店頭では、フォレノワールという表記してあるのみなのです。それ以上の説明はない。混んでいる店内で一つ一つのケーキの説明を聞くのもきまずいなと思いながら、買っていた記憶があります。

洋菓子業界に入った当初、こんなことがたくさんありました。その都度僕はインターネットや本で情報を収集して、覚えて、食べるということを繰り返すわけです。しかも、お店によって表現が微妙にちがったり、フォレノワールなのですが、お店の独自の名前がついてたりと、大変なのです。

専門性の高い業界と一般消費者の世界は情報の非対称性があります。
この非対称性を即時に埋めてくれるのがChatGPTの一つの良さであると思います。

話を戻すと、だからこそ、
残念ながら、斜視定規で、誰でも調べればわかる情報だけでは人間の仕事はAIに奪われてしまいます。
その先にある、サービサーの気の利いた一言やおもてなし・サービスに価値がでたり、職人の細部にまでこだわったものづくりにより付加価値がつくのだと思います。

真の意味で解像度が高い、きめ細かい仕事が評価される

ChatGPTの先にあるのは、真の意味でこだわりやクリエイティブな人間の仕事が評価される時代だと思います。

店舗であればただ、商品を並べて売るのではなく、人間が介在するサービスを通して付加価値の高い体験を売る
ものづくりであれば、“映える”見た目の裏にある、きめ細かい仕事やそのつくり手のストーリーを見て共感・感動して買ってもらう

自己満足ではなく、お客さんのために、こだわり、クオリティーを高めたものがより評価される時代なのだと思います。

ChatGPTに代表されるAIの進化の店舗サービス業やものづくりブランドの経営への影響を考えると、真の意味で人間しかでない仕事にフォーカスできる時代が近づいているような気がして、僕はワクワクドキドキします。

店舗やものづくりブランドに関わる人は、自分達しかでない価値とは何か?をもう一段深く考えないと価値と認識してらえる仕事を提供できなくなります

「自分自身の知識を上げる、技術を上げる、クオリティーの高いものをつくり、そのうえでお客さんに伝えていく」
お店のサービサーも、ものづくりの職人もこれを深く深く追求する時代がすぐそこまできています。

Minimalはある意味これをこの10年間追求しています。その価値をもっと高めてChatGPTの先の時代にきちんと必要とされるブランドになるように仲間と努力していきたいです。

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山下貴嗣_Minimalチョコレート
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