講座における「チェックイン」の3つのパターン
オンライン講座で社員研修を一貫する企業も増えているなか、講演会や講座をもっとインタラクティブにしたい!という相談をときどきいただきます。そんなとき、「チェックイン」の問いかけをおすすめしています。
チェックインとは?
チェックインとは、ホテルのように、その場に入る儀礼のひとつです。
たとえば、「ファシリテーション」をテーマにした講座であれば、冒頭で「あなたにとってファシリテーションとはどんなものですか?」と問いかけます。
加えて「問いかけること、うながすこと、など、簡単で構いません。正解を探すのではなく、みなさんがファシリテーションに対して思っていることを話してください」というように答え方の例を添えておきます。
こうした問いかけをし、オンライン講演であればチャットで回答してもらったり、対面であれば近くの席の人と考えたことをお互いに話してもらったりするだけで、思考が活性化します。自分の記憶や知識をもって、講座のテーマのなかに一歩入り込むことができるのです。
こうした「チェックイン」の問いには、いくつかのパターンがあります。それは講座の目的によっても使い分けることができます。
チェックインの問い、3つのパタン
ーWHAT, HOW, ACHIVEMENT
あなたなりの定義は? ーWHATを問う
たとえば、講座の内容が、ファシリテーションの定義を伝える内容ならば、「ファシリテーションとは何か?どう定義できるか?」というように「WHAT」を問うものがよいでしょう。自分なりの定義を事前に内省したうえで、講座内容を聞いて、知識を更新することができます。
WHATを問う問いは、いくつものバリエーションがあります。あれこれと工夫することができるでしょう。
あなたがしている工夫は? ーHOWを問う
また、ファシリテーションの具体的な方法を伝えるものであれば、「ファシリテーションをするときに工夫していることは?」といったかたちで「HOW」を問うことがよいでしょう。
HOWを問い、自分なりの工夫を内省しておくことで、講座内容をより自分のわざに付け足していくことができます。
うまくいっている状態は? ーACHIVEMENTを問う
最後は、より踏み込んだパターンです。あるわざを用いて、それがうまくいった状態をACHIVEMENTといいます。このACHIVEMENTを考えてもらう問いがぼくは好きです。
たとえば、「ファシリテーションがうまくいっている/うまくいった状態って、どんな状態ですか?」と問いかけます。すると、過去の経験から成功体験をイメージし、参加者や自分がどのような状態になっていたかを思い出します。
ファシリテーション以外でも「心理的安全性が担保されている状態とは?」「チームビルディングがうまく行っている状態とは?」「新規事業開発がうまくいっている状態とは?」といった問いでも有効です。加えて「悪い状態」を同時に問うと、相対化することもできます。
講座の講師は、ファシリテーションや心理的安全性といったテーマの熟達者であり、それがうまくいっている状態を知っている人であると言えます。熟達者が見て感じている状態と、自分の状態を比較することで、より感覚的に知を分かち合うことができるでしょう。
まとめ
チェックインには、3つ以外にも、さまざまなバリエーションがあります。今日ご紹介した問いはどちらかというと「重い」問いです。
もっと軽くてベーシックなのは、「今の気分はどんな気分?」とか「今の気分を5・7・5で言うと?」といった「気分の共有」が鉄板です。「気分の共有」と「経験の内省」を組み合わせるのも手です。