見出し画像

「始めたら最後までやり切れ」という呪縛の言葉から逃れること

松本 淳  アースメディア代表

幼少期から思春期という時期に受けた「教育」は、その後の人生の行動様式の基礎を作ります。だからこそ教育が大切なのですよね。大人になってから性格や行動が変わることもありますが、大部分の自分は学校に通っていた当時のままだったりします。

それが、良い面に働く場合はもちろんすばらしいことです。しかしながら、過去に心の奥底に刻まれた教えが、今の社会を生きていく上ではむしろ足かせになってしまう場合もあるはずです。

時代の変化がますます速くなる昨今、そのような負のケースはもっと増えるのではないでしょうか。


だからこそ、「人生単位」のアンラーニングが必要だと思っています。アンラーニングというと、たとえば以前の仕事と今の仕事の対比のように、ビジネスに関連する知識を対象とするイメージが強いですよね。

確かにビジネス知識のアンラーニングも重要でしょうが、何十年前も前に受けた「学校教育」についても、その取捨選択にもっと注意を払った方が良いと思っています。


学校教育を受けていた頃と現在では、社会環境や価値観も大きく変化しています。「自分は社会の変化に対応して変われている」、そのような自信を持つ人も多いかもしれませんが本当にそうでしょうか。

重要な局面や、苦しい修羅場みたいな環境になればなるほど、人間は自分の素の部分が出てくるものです。そのときに、幼少期に教わったことが判断の拠り所になってしまうことも少なくないはずです。そしてそれは、往々にして無意識の選択になっています。


たとえば自分の過去を振り返ると、学校では「始めたら最後までやり切ること」と繰り返し言われてきた記憶があります。継続が大切だと教えたかったことは理解できます。しかしながら大人になってみると、すべての局面においてそれが正しいとは限らない、ということがだんだんと分かってきます。

高度成長期など過去の社会では「確実な成長」が求められました。その価値観においては、「継続」こそが最高の美徳です。だから、何かの言い出しっぺになったとして、それを途中でやめてしまうようなことは非常に大きなマイナス評価を受けてしまいます。

なんなら、「途中で止めるくらいなら、はじめから何もやらない方が良かった」とまで言われることもあります。それくらいに、何かを新しくスタートすることよりも、「今やっていることをとにかく継続する」ことに価値が置かれていました。


学校生活を思い出すと、自分はこの点でとても苦労しました。物事を途中でやめて新しいことに切り替える、そのことで叱られたことは数え切れません。

だから、当時の自分は自己評価も低かったことを覚えています。いろいろなことに好奇心は持つけど、続かないことも多い。まわりから「飽きっぽい」性格だと言われ続け、それが劣等感にもつながっていきました。


しかし社会人になり、その後に起業もして、その性格がマイナスどころか非常に大きなプラスに働くことがわかりました。


すべてのことを「最後までやるべき」 と思い込まない方がよい

やり始めたら最後までやり通すべき、このことを自分に強く誓っているマジメな人。そういう人が知らないうちに損しているのは、入り口の段階で深く考え込んでしまうということです。「本当に、これは自分がやるべきことだろうか? 果たして最後まで続くだろうか?」と。

逆に「適当な人」の方がチャンスをつかみやすいのは、より多くの打席に立てるからです。 何をやるにしても、その方向性が正しいとか、それが正解かどうかなんて初めは誰にもわかりはしません。変化が速くなる一方のこれからの社会ではなおさらです。


社会は学校ではありません。やり始めたことを途中で投げ出したって、それをたしなめるような先生はいませんし、通信簿にマイナス評価として書かれることもありません。

続くかどうかを慎重に検討して時間をかけすぎるよりも、まずはトライしてみることの方が大切なはずです。ある機会に出会ったとして、少しでもその世界に入って経験してみないと、その機会が自分にとって本当に有用かどうかなんて分からないのですから。

だから、まずはとにかくやってみて、一定時間のあとで判断するのが最も合理的なはずです。


継続できるかどうかを心配し、チャレンジすることに慎重すぎると、自分にとって本当に貴重なチャンスをみすみす見逃すことになります。そういう姿勢で、これまでに大きなチャンスを逃してきた「マジメな優等生」人はとても多いのではと思っています。もったいないことです。

「少しだけもやってみた」 経験は、自分の大きな資産となる

そしてもう一つ大切なことは、ある分野のことについて「少しだけでも知っている」ということは、仕事をする上でものすごく有益だということです。

たとえば、手がけているプロジェクトの中で新しくSNSを運用する必要性が生じたとしましょう。

そのとき、自分がSNSに関してまったく無知なのと、少しだけでも経験がある状態とでは、仕事を効果的に進めていく上で天と地ほどの違いがあります。それがたとえ、長く続かず、途中で放り出してしまった経験であったとしても、です。

まったくSNS運用の経験が無いよりも、「短期間だけども経験がある」方がはるかに有利なことは明確です。途中で挫折してしまったことは負の歴史なのではなく、貴重な資産です。

少しでもある分野についての知見があると、「どのポイントが大切か」ということが見通せますし、 誰に何を頼めばいいかという勘所もわかります。

このような、いろいろな分野に関する「引き出し」を多く持っていることは、変化が多い社会においてはとても重要な価値となります。「ひとつの専門領域のことしか知りません」というのではなく、これまでに得た幅広い知見と経験を組み合わせ、自分だけのユニークな価値を出すことが重要だからです。


だからこそ、多くのことを(たとえ少しでも)経験してきた人はとても強いのです。途中で投げ出そうが、後からから他のことに興味が移ろうが、まずは「やってみる」。この姿勢こそが大切です。

「始めたら最後までやり切れ」という言葉に縛られ過ぎている人は多いと思います。思い当たる人は、思い切ってそれをアンラーニングしてみましょう。マジメに、優等生的に考えすぎず、とにかくチャンスがきたら、まずは飛び込んでみることです。

その後どうするかは、それから考えればいい。そう思っています。



////
もしよろしければ、「スキ」で応援いただけるととても嬉しく思います!これからもがんばります。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
松本 淳  アースメディア代表
株式会社アースメディアCEO/ソーシャルリクルーティングとSNSブランディングを専門にしています/ 97年インテリジェンス(現パーソルキャリア)人材紹介立ち上げ → HR Techのジョブダイレクト創業 → リクルートへM&A /iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授