AIスーパーパワーとしての中国「BATIS」、第2の深センとしての「雄安新区」
今週の特集記事『米中衝突 ハイテク覇権』の第1回『アリババ、バイドゥ…中国「BATIS」の野望 』はとても刺激的な内容でした。BATであれば「バイドゥ、アリババ、テンセント」の頭文字、とすぐに思いつく人も多いと思いますが、その後に続く「IS」を見て「?」と感じた人も多いのではないでしょうか?
「BATIS」。習近平(シー・ジンピン)指導部が国家プロジェクト「AI発展計画」で17~18年に指名した5大プラットフォーマーだ。百度(バイドゥ、自動運転)、アリババ(スマートシティー)、テンセント(ヘルスケア)、アイフライテック(音声認識)、センスタイム(顔認識)の5社は補助金や許認可で手厚い支援を受ける。
アイフライテック(科大訊飛):音声認識
(アイフライテック)は、同社のAIを使う端末が世界で21億台に達したと先日ラスベガスで開催されたCESで発表。アマゾン・アレクサやグーグル・ホームが先行するAIスピーカーなどを追随する、中国の音声認識人工知能(AI)最大手。中国語を英語やフランス語、日本語などに翻訳するシステムを手掛け、人間の声を文字に起こすサービスでの中国国内シェアは7割に達するとのこと。
センスタイム:顔認識
顔認識技術に関しては国内でもNEC、パナソニック、オムロンなど、大手企業が優れた技術力を持っていることでも知られていますが、この2014年に設立されたばかりの香港発画像認識AIベンチャー、センスタイムは中国の豊富なデータなどを活用して今回政府が選ぶ5社に含まれる程注目を集めています。驚いたのは若い世代に人気のアプリ『SNOW』、そして3Dアバター作成が出来る『ZEPETO(ゼペット)』もセンスタイムが提供ということです。既に国内法人、センスタイムジャパンも設立されていて、ホンダ、DeNAなどとも提携を進めているとのことです(日経クロステックでのセンスタイムジャパン社長インタビュー記事)。
ちょうど昨日参加した「地方創生ベンチャーサミット」でのセッションで片山さつき地方創生担当大臣が「スーパーシティ構想」のプレゼンテーションを熱く語った際、中国の「凄まじさ」についても触れられていたことが記憶の中でつながります。改めて国家的なプロジェクトとして中国でのAI推進のスピードとインパクトに驚かされるばかりです。*以下は内閣府の「「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会」ホームページに掲載されている説明資料。中国・杭州でのアリババが主導するスマートシティのことが紹介されています。
また、ちらっと話題に出ていた、北京から南西に150キロ程のスマートシティ実験都市「雄安新区」も、政府肝いりのプロジェクトとのこと、監視カメラが街中にあり、自動運転や無人店舗が当たり前の街が今後5年、10年でどのように変貌していくのかはとても興味深いところです。
ここで先日開催されたDLDカンファレンスでのカイ・フー・リー(@kaifulee)さんの対談動画を観ると更に中国で起きているAI革命をリアルに感じることができます。カイフー・リーさんの指摘する中国の強みは3つあるといいます。
①大量の個人データ(中国のデータ=サウジアラビの石油)
②成熟したVCエコシステムから提供される莫大な資金
③優秀で長時間も厭わず働く起業家(「996」は朝9時から夜9時までを週6日、「997」は週7日働くとのこと)
1月中旬に放映された米国ドキュメンタリ「60ミニッツ」でもカイフー・リーさんが登場して中国のAI分野での躍進を語っています。
備忘録的なブログになってしまいましたが中国のAI分野での動きはとても興味をひかれる分野なので今週の『米中衝突 ハイテク覇権』特集含め、今後もチェックしていきたいと思います。
お読みくださってありがとうございます!国内外の気候変動、クライメートテック関連の情報をメディア目線で切り取って発信を試みてます。スキをクリックしてくださったり、シェア・コメントなどいただけたらとても嬉しいです