霞ヶ関の「よそ者、若者、ばか者」へ
7月1日から、認定NPO法人フローレンスを退職し、内閣官房こども家庭庁設立準備室に国家公務員として勤務することになりました。来年4月には、こども家庭庁になる組織です。
ミッションは2つです。これまでフローレンスが政策提言してきた、保育・教育現場での性暴力を根絶するための「日本版DBS」法案をつくること。そしてもう一つは、働き方改革です。
これを2年間でやりきって、フローレンスに戻り、再び民間の立場から親子の笑顔をさまたげる社会問題の解決に全力を注ぐ予定です(ミッションベースの任期付採用なのだ)。
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かれこれ、もう2年以上前から、保育・教育現場の性暴力問題に取り組んできました。その対策として政府に提言してきた「日本版DBS」がこども家庭庁の管轄になることを知った時、正直、もう自分の仕事は終わったと思っていました。ここからは「提言」ではなく「制度設計」のフェーズです。それは、そのプロフェッショナルたる官僚の領域であって、民間の自分にできることなんてないのではないか、と。
でも、以後も関係各位と様々なシーンで話をさせていただく中、これはむしろ、素人だからこそお役に立てることがあるかもしれない、と考えるようになりました。日本版DBSは、既存の霞ヶ関の常識の枠組みから外れたところにある制度です(だからこそ、絶対にあったほうがいいとみんな思っていたのに、これまで実現してこなかった)。
霞ヶ関の常識からしたらありえない、しかし、子どもファーストの視点では当然の意見、それを、霞ヶ関の常識を何もわかってない素人だからこそ、率直に指摘し、制度に落とし込めるかもしれない。
思い上がりかもしれませんが、地方創生では、しばしば「よそ者、若者、ばか者」が必要だと言われます(今年39歳になる自分が若いかはさておいて)。同じことが、霞ヶ関でもあるかもしれません。日本版DBSが真に子どもたちを守れる制度になるよう、微力を尽くしたいと思うようになりました。
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なんてことを考えていたのですが、目の前では、現職である認定NPO法人フローレンスの業務が山積していました。曲がりなりにも代表室長という立場で仕事をさせていただく中、「よっしゃ行ってこい 👍 」と背中を押してもらえるだろうか……。フローレンスという組織のメリットだけ考えれば、スタッフを霞ヶ関に送り込んだとて、1円の得にもならないどころか、人員が減る分、損にしかなりません。採用だって大変だし……。
そんな中、駒崎代表に自分の気持ちを伝えてみると、帰ってきた言葉は「よっしゃ行ってこい 👍 」でした。業務上迷惑がかかるであろう仲間も含めて、例外なく、全員が応援してくれました。
つくづく、フローレンスという組織は、目先の利益とか、そんなんじゃなくて、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」という組織のミッションにとことん忠実で、本気でそれをやる気のある人間が集まっているのだと、改めて感じました。この組織の一員であることを、私は誇りに思います。
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ただ、背中をドンと押してくれた駒崎代表が唯一懸念しているのが、千正康裕さんの著書のタイトルにもなっている『ブラック霞ヶ関』、つまり、とんでもない働き方のこと。
ここは自分も正直ヤバイと思っていて、事前に妻にも相談しました。今回の件にしても、妻は自分がやりたいということはなんでも応援してくれるのですが、とはいえ、凄まじい負担になることは確実……。まだ娘も2歳なのに。
家事育児の負担を、Casyとか、オイシックスとか、投資によって軽減できる部分は身銭を切って徹底的にやるとして、他にできることは、ないのだろうか。
『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ』なんて本まで執筆しておいて、後日談で、家庭にいないパパになってしまっていたら、シャレにもならない。それはもう、リコールもの。
ってことで悶々と悩んでいたのですが、こども家庭庁を担当する宮路拓馬大臣政務官や、長田浩志審議官を筆頭に「こども家庭庁を、子どもと家庭を犠牲にして働く組織にしてはならない」と動き出してくださっています。働き方改革のプロ集団、株式会社ワークライフバランスからコンサルも派遣される徹底ぶり。
こども家庭庁の働き方改革プロジェクトがこれから発足予定で、自分もこのメンバーにアサインしていただきました。他にもすごい方がアサインされているのですが、それはまだ秘密。
新しく発足する組織だからこそ、これまでの霞ヶ関の常識に囚われず、家族を犠牲にすることなく、みんながキャリアを積める働き方ができるはず。こども家庭庁をモデルにして、これが他の省庁にも広げられたら、と思っています。どう考えても平坦な道でないことは確実ですが、やりがいは100点満点中10000点です。
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そんなわけで、いよいよ明日から、新天地。
されど、やることはこれまでと変わらないと思っています。引き続き、フローレンスのミッションである「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」に、愚直にコミットするのみ。「家庭進出」を堅持しながら!
なかなかにハードな道ですが、仲間と一緒に気合い入れていきます。
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