マイナンバーカードで、民主主義政治を変えよう
デジタル・トランスフォーメーション=「当たり前を変える」こと
さまざまなビジネス・パーソンと会話をしているときに、デジタル・トランスフォーメーションという言葉が本当によく登場する。多くの場合、現在の延長線上で、何かを機能強化や、高度化することを、デジタル・トランスフォーメーションと考えているようだ。
しかし、別な視点では、この記事にあるように「当たり前」をデジタル技術で変えるとも、デジタル・トランスフォーメーションの一つの視点ではないだろうか。つまり、現在の「当たり前」を破壊して、新しいことを考えるという方法である。私もこの機会に、一つ大胆な提案を行いたい。
今の民主主義政治の参加方法を「マイナンバーカード」で変える
私の提案は、ずばりこれである。
現在のマイナンバーカードには、いくつか問題があるかもしれない。しかし、多くの人が初めて、行政の申請に使える体験を行った。結果、使えることはわかった。
では、民主主義政治に使ってみたら、どんなに便利になり、高度になるか、夢をはせたい。
私の提案は、投票を「マイナンバーカード」で行うことだ。自宅から、自分のスマートフォンを使って投票を行う。投票所に行かなくて良くなる。もちろん、行きたい人は言っても良い。投票所をなくす必要もない。しかし、こうすることで、投票所の混雑緩和、投票所のスタッフの削減になる。何より、開票作業が簡単になるだろう。20%の有権者が電子投票してもらえれば、全体の開票時間の1/5は短縮になるかもしれない。
投票は、投票所に行って、投票用紙に書いて、投票箱に入れるものという「当たり前」をマイナンバーカードで変えてみてはどうだろうか。これが、一つ目の提案である。しかし、もっと野望がある。
直接民主制を混ぜることも可能かもしれない
それは、直接民主制を、現在の間接民主制に、マイナンバーカードを使って組み合わせるという提案だ。現在は、私たちは代議員を選んで、その議員に私たちの民意を代表して議論してもらって、政治を行っている。理由は、国民の人口が多く、全員の民意を吸い上げる方法がなかったからである。
しかし、マイナンバーカードでの投票が可能になり、普及が高くなったなら、民意の確認を気軽に、議会が行えるかもしれない。つまり、マイナンバーカードを使った、国民投票である。私は改憲・護憲の議論をしたいのではなく、新しい政治の方法を論じたいだけだ。直接民主主義政治ができないから、間接民主主義政治だけという「当たり前」が変えられるのではないだろうかという考えを提案したいのだ。
議会でも意見が分かれる時に、国民に直接、どう思うのかを気軽に聞くという仕組みがあっても良いのではないだろうか。もちろん、この政治運営方法は新しい方法などで、制度の設計は必要で、そこにも議論があるだろう。しかし、本当のデジタル・トランスフォーメーションとは、それくらい大きな変革なのだ。
デジタル技術により、「直接」+「間接」民主制という政治が行えるかもしれない。問題は、それを私たちがやりたいかどうかの議論である。そして、私の提案は、今「直接」+「間接」民主制という政治を検討しても良いのではないかということだ。実は、それくらい、「マイナンバーカード」は可能性を秘めた取り組みだと思うのだ。