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ブランドを強くする方法:新ジャンル開拓に挑み続ける効果

廉価なお菓子と高級ショコラの2択であったチョコレート業界に新しいジャンルを提案するためにMinimalというブランドを始めて10年。良かったことも多々ありますが、それ同じくらい厳しい道のりでもあります。そして、その挑戦の姿勢が10年という時間、ブランドが成長し続けてこれたポイントでもあるのだとしみじみ思います。既存の枠組みの外にある新ジャンルを確立することにこだわりやってきた10年からそのポイントを考えてみます。

第3の方向性としての「嗜好品」

Minimalでは創業時から、「チョコレートを“嗜好品”にしたい」と思って取り組んできました。

コンビニで売られる大手メーカーの「大量生産品」とも、アーティスティックなショコラティエ・パティシエによる「高級品」とも違う、カカオという素材に寄り添った第3の方向性として「嗜好品」という新ジャンルを目指しました。

僕自身もともとワインやスペシャルティコーヒーに大きな影響と刺激を受けてチョコレートに向き合いはじめたので、ワインやコーヒーのような素材とその個性を楽しむ嗜好品というジャンルのチョコレートもきっとあるはずだという思いもありました。

新ジャンルを作っていく際に必要な「ルール設定」

ワインとチョコレートのペアリング

新しいジャンルが浸透していくために必要なものとして、楽しむ人達の共通言語だと考えています。そしてそのためには「ルール設定」が欠かせないと思っています。

Minimalをクラフト要素を含んだチョコレートの新ジャンルとして定義していくためにすでに嗜好品としてジャンルを確立しているワインから多くのことを学びました。

たとえばワインの場合、AOC(フランスの国立原産地名称研究所が定める原産地呼称)やDOC(イタリアの統制原産地呼称)といった格付けが厳密になされていて、生産者も消費者もそのルールに従って品質評価をします。

そして、そのルールを共通言語として、そのワインの価値が世界共通となっていくのです。

たとえば「■■地域の特級畑のワインは〇〇という品種のブドウを使い、▲▲の観点や製法を使い、熟成期間など手間がかかっている。だからこのワインはすごい」と定義されているのです。

こうした理由づけ(ルール設定)が鍵であり、それが世界で通用する共通言語にまでなっているから、日常生活に必ずしも必要でないにも関わらず、その需要がなくなることはなく、多くの人に愛される分野を切り開く、その名のとおり“嗜好品”になっていったのだと思います。

そして、そのジャンルが確立されてくると、そのジャンルの中で、個々人の嗜好性が、強烈なファンをつくり、それが広がっていったり、長い時間を積み重ねて文化的な背景を纏っていくまでに成長していきます。

嗜好品は、「すごい」から「美味しい」と思わせる力

もう一つ大きいのは、ルール設定があることで金額設定が変わることです。

たとえば、ミシュランの星付きレストランは、ある程度どこも高い価格設定になっているのではないかと思います。

これは、ミシュランという格付け機関が設定したルールに基づいて、一つ星から三つ星まで格付けするというルール設定をしているのだと言えます。

このルールが共通言語としてがきちんと浸透していると、価格に転嫁されるんだと思います。ボルドーワインにおける5大シャトーはどんなに景気が悪くても価格に影響を受けることはないといわれています。

ルール設定がされ、そのルールに則って評価され、それが世界で共通言語なっていくことで、「美味しい」に加えて、「すごい」ものになります。

「すごい」から「美味しい」に違いない、とみんなに思わせる力があること。それこそが「嗜好品」やそれが纏う「文化」なのではないかと思っています。

それは、新ジャンルとして何を確立していく上での最終到達地点であると思います。

チョコレートの解像度がまだまだ低い現状

Minimalとしての課題は、商品の力をもっと高める必要もありますが、同時に「ルール設定」も考えていく必要があります。

一定のレベルを満たした上で、「なぜ素晴らしいのか」を語れる根拠を示したいのです。

社内で全社員でテイスティングを行っているのも、そのチョコレートの特徴を言語化し、自分の言葉で語れるようにするためです。

嗜好品としてこの20年間程度で、一気に世界中に広がりつつあるスペシャルティコーヒーから考えると、2000年初頭にスペシャルティコーヒー協会ができて「カップ・オブ・エクセレンス」品評会というルールが決まったわけです。

それまでの減点主義的な評価から、素晴らしいコーヒーの特徴をポジティブに評価するルールを設定をしたことで、日本でも「サードウェーブコーヒー」と呼ばれるブームが起こるまでに新しいジャンルを切り開きました。

実は、欧米の人達が中心となってそのルールを設定をしたのですが、彼らはルール設定する側に回るのがうまいと思います。

少しだけ話がそれますが、日本がグローバル市場で戦っていく際にここは日本人は見習っていかないといけない点だと強く思います。ルール設定をする側に回るのか、ルールに従う側に回るかは雲泥の差があります。

チョコレート業界でも「インターナショナル・チョコレートアワード」などはたぶんそういうことやろうとしています。

ただ、チョコレートの場合、現状ではまだまだプロダクトの解像度が発展途上と言えます。

たとえば、「酸味が何点」といった評価基準を作ったとしても、それを認識できるプロダクトが世の中に多くないのです。

ワインならば、「フルボディ」と言われればそれを体感できるサンプルが世の中にたくさんありますよね。

チョコレートは、ルールも未設定でサンプルも少ないので、リテラシーを上げる土台がまだ整っていないと感じています。

他社と協働して大きなムーブメントにしていく

10年間ブランドを継続してきて思うことは、新ジャンルを開拓するには、やはり、そのジャンルに触れる難易度がどんどん低くなっていくことが重要です。

簡単に言うと、新ジャンルを一緒に切り開いていく仲間がたくさんいて、それぞれ個性をもちながらも、同じ方向性を向いていくこと必要です。

そのためには、Minimalが1社で頑張るだけではなかなか難しいことも10年間で学びました。同く新しいジャンルを切り開くために協働できる他社が必要なのです。

時に仲間として、時にライバルとして切磋琢磨できる存在がいることが発展のスピードを大きく変えると思いました。

また、身近に新しいジャンルのチョコレートに接する場所やブランドがたくさんあることに加えて、その新しいジャンルのルールを教えてくれるコミュニケーターがお客さんの身近にいることもとても重要です。

ワインにはソムリエがいて、コーヒーにはバリスタがいます。
直接そのモノを作っているわけではないが、そのモノに対して適切な知識をもっていて、かつお客さんにわかりやすく説明してくれる存在が職業として成り立っているということの素晴らしさを強く感じます。

新ジャンル開拓に挑み続ける姿勢がブランドを強くする

Minimalの提唱する第3領域での新しいチョコレートは10年を経て、もちろんMinimal以外のブランドや様々な動きの中で、少しずつですが、チョコレートの新しいジャンルとして認知をもらっていると感じます。

そして、新ジャンルを挑むことは、困難なこともたくさんあります。
Minimalの例でいえば、独特のザクザクした触感は、既存のチョコレートとして見ると、「滑らかなくちどけ」という最大の特徴を犠牲にしているものであり、それは(既存の枠組みでの)チョコレートとして認められないといわれてしまうことも多々ありました。

しかし、そういった既存の常識と違うことをやることが、新ジャンル開拓の挑戦です。そして、認められるためには、そもそもチョコレートの品質が高め続けたり、それを裏付ける技術を磨き続けることをやり続けないといけません。

新ジャンルは、最初は「知らない、わからない」となるため、そこに興味関心をもってもらうためにはとんでもない労力をかけないといけません。その努力が結果としてブランドを強くするのだと思います。

10年間続けて、Minimalの新しいチョコレートつくりはまだまだ新ジャンルを確立したとは言えません。
今後もその挑戦を続けて、次の10年では新ジャンルが確立した状態を目指したいと思います。

※Minimalチョコレート

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