「多様性」を受容するための、「リバースメンタリング」は良い取り組み
「多様性」には、まさに多様な軸が存在
21世紀には、まさに「多様性」の時代です。それは、20世紀が、「標準化」、「モデル」、「画一性」が主たる単語だったことから考えると、大きな違いです。
多くの国で、20世紀には、第2次産業を経済成長の種としていました。この頃は、工場労働者の標準化、工場生産物の標準化が、重要なテーマであり、これらの標準化に成功すれば、経済成長も高成長になりました。
21世紀になり、多くの国は第3次産業が成長し、されに合わせて、人工知能が登場し、私たちの生活に大きなインパクトを与えています。このような大きな潮流の変化の時には、前時代の常識は、通用しなくなります。
多くの経済人は、そのことに気が付き始め、前時代の常識の破壊的進化のために、DEI /「ダイバーシティ(多様性)」「エクイティ(公平性)」「インクルージョン(包括性)」の醸成に取り組み始めています。「多様性」を受容すると、視点・視座の変更が容易になり、そのことで、21世紀を生き抜くヒントが見つかりやすくなるからです。
さて、「多様性」とはさまざまな、「軸」があります。その一つに、とてもシンプルだが、今までは、GAPとして無視していたものに「世代」間に発生する多様性があります。
「世代」による「多様性」の理解は、マーケティングでも重要なテーマ
世代の違いの理解について、最初に私が整理し始めたのは、まさに『コトラーのマーケティング5.0』によってです。
この本の中で、世代により、消費についての基本的な考え方が違うことが示されています。マーケティングを仕事にしている方であれば、「世代によって消費に対しての姿勢が異なる」ことは、大きな問題と考えるかもしれません。しかし、多様性の受容する時代では、消費に対しての姿勢が異なるのであれば、さまざまな消費体験を提供すれば良いと考えれば良いだけなのです。
資生堂の「逆メンタリング」は、良い取り組み
この世代の理解のために、資生堂では、「逆メンタリング」という活動を行っているそうです。
これにより、おそらく今の20歳代の化粧の定義と、40歳代の化粧の定義に違いがあることも知ることができるでしょう。そして、商品が売れる理由が、世代によっても異なることも知ることができるでしょう。
世代によって、化粧、消費、体験などの「価値」が違うことを体感して、論理的に整理できれば、今までの、ヒット商品探索型のマス・マーケティングからの脱却が必要なことは理解できるでしょう。
多様性を受容する時代では、多様な価値が存在する時代であり、価値により欲しい商品・欲しいサービスが多様に存在する時代なのですから。
社長、社内をウロウロしていますか?
このような、世代の多様性の理解のために、意識的に「リバースメンタリング」を行うことは、とても良いが、そこまで機能的に行えない、大きな組織の会社もあるだろう。そのような会社にお勧めがある。
それは、「社内の徘徊」である。おすすめは、上位者が、メンバーの仕事の現場に、訪問して欲しい。訪問して、雑談でも良い、パソコンの使い方でも良い、資料の作り方でも良い、何でも良いから、説教する前に眺めたり、話をしてみて欲しい。そこで、「説教したくなること」が、「多様性の芽」なのである。
例えば、若手はメールの処理が、私とは違う。パワーポイントの作り方も、私と若手とでは違う。何が、どのように違うかは、ここで答えを示さない。実際に、各自で探してみて欲しい。
しかし、世代が異なることで、仕事の仕方が違うことは、今までは、「若手の仕事がなっていない」との説教のテーマだった。しかし、これからはこの「少しの違和感=説教のテーマ」が、多様性の理解の入り口で、実は、会社の仕事の改善のキッカケなのかもしれないのである。
「リバースメンタリング」や、「社内の徘徊」で、多様性の理解のトレーニングを、今日から始めてみませんか?