77年周期の新産業勃興の肝は、既得権益の一掃にあるんじゃないか、という件。
「スタートアップ担当相」が新設されることになりました。
政府は6月に決めた新しい資本主義の実行計画で、スタートアップ支援にあたる政府の司令塔機能を明確にすると盛った。スタートアップを今後5年で10倍に増やす計画を年末に定めると明記した。新設する担当相は計画の策定や実行を担う。
とのこと。
新規事業家と名乗って、新規事業ばかり30年あまりやってきた身としては、とっても期待したい喜ばしい話し。なぜなら、「スタートアップ」を「今後5年」で「10倍にする」という、スタートアップに関して、踏み込んだ方針が出されたからです。
とっても期待しているので、本当に実現するためには、ここ大事だよね、って思った3つをメモです。
大事なこと①
そもそも「スタートアップ」が何なのか、そこを掛け違わないことが大事。
スタートアップという言葉には、「革新的なアイデアで急成長する企業」というニュアンスが入っていると思います。その頂点に君臨するGAFAMを代表とするビックテック群などが分かりやすい例で、規模の大小はあれど、イノベーションを思いっきり志向していると思います。
では、それって、どうやって見分ける?
言葉の持つニュアンスだったり、企業の志やその実績だったりが、「スタートアップか否か」に影響するので、そこに厳密さを求め始めると、極端に面倒な話になってくると思うのです。
とはいえ、スタートアップを5年で10倍なので、「いまの数と5年後の数が計測可能で、解釈余地を少なくしておく」必要があり、且つ、そこにお金が(税金)が流れるとしたら、「適正、公正であることの理屈」が必要となってしまう。
そうすると、「設立10年以内でエクイティでの資金調達をしたらスタートアップ」とか、何かしらの定義が必要になると思うのです。
そんなこんなの言葉の定義議論とかしているうちに、設立年数が浅いとか、事業規模が小さいとか、そのあたりで線を引かざるを得なかったり、もしくはスタートアップの定義に合致していることを証明する手続きを煩雑にしてしまったり。結果として、これまでと変わり映えのない創業者優遇制度チックな悪平等手続きが増えただけ、とかにならないとイイなぁ、と。
やるなら、ガツンっ!、とやるべきだと思うのです。
大事なこと②
前人未踏ではなく77年周期の大転換。出来る、やり切るが大事。
「ガツンっ!」とやるときの、「ガツンっ!」ってどれくらい、って話なのですが、いままでの延長線上のレベルではなく、本当にガツンとやるがイイと思っています。
イメージは、明治の開国と戦後の復興です。
明治元年が1868年で、第二次大戦の終戦が1945年、そして今年が2022年。たまたまなのですが、77年周期なのです。(1945-1868=77、2022ー1945=77)
もちろん、あまりにも状況が違い過ぎるので、一緒じゃないだろ、とは思っています。たとえば、戦後で言えば、「焼け野原からの復興、傾斜生産方式という占領行政下での統制経済政策、朝鮮戦争という特需、人口ボーナスの恩恵・・・」といろんなことが揃いまくっていました。一方現在は、世の中が複雑化しすぎているうえに、「人口オーナス」という構造的な大問題を抱えていたりもします。
ただ、だとしても77年前、そしてさらにその77年前、どちらも「世界史に残るほどの成長」を遂げているので、いまの日本には難しいんじゃないかと、すっかり諦めてしまうにはもったいない、と思っています。
大事なこと③
77年周期から何を学ぶかが、大事。
だから諦めずに、「どうせ無理でしょ」と腐らずに、今回の政府の方針に期待をしたいのですが、そのときに、「これだけは、77年周期から学んでおいた方がイイ」ということがあると思っています。
それは、明治維新と戦後改革の、世界史に残るほどの成長の、どちらにも共通する学ぶべき最大のポイントは「既得権益の一掃」だと思うのです。
明治維新では、幕府が倒れ、武家が解体されました。
戦後改革では、軍閥が倒れ、財閥が解体されました。
歴史に稀に見る奇跡には、いろんな要素があったと思うのですが、そのなかでも最大のポイントは、この「既得権益の一掃」だと思うのです。
だとしたら、今回はどうするか。
それは、「規制改革」なんじゃないかと思います。
新しい資本主義の成長戦略で重点的な取組み対象とした「DX」や「GX」を中心に、スタートアップが生まれ育つことを妨げているあらゆる邪魔を取り除くことが大事だと思うのです。
変革を拒絶し改革者の足止めをすることに腐心する拒絶リーダー、水面下で不安を煽ることが好物の拒絶実行部隊、変わることに不安を持ち自分が不利そうなことが起きると被害者意識が先に立ち愚痴で済まなくなる非積極的な反対派。変わらない、変われない、変わりたくない、そういった「風土」も一掃すべきかと。
これまでの30年あまりの新規事業家人生における最大の変化点を、当事者意識を持って、より良い未来を切り拓いていきたいと思います。
意志ある先に道は拓ける、と思っているので。
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