ライフサイクルエクステンションの考察_いきなりステーキVS丸亀製麺_

ライフサイクルエクステンションの考察(いきなりステーキVS丸亀製麺)

今日は、ライフサイクルエクステンションをテーマに書いていきます。

マーケティング領域に関わるみなさんは、商品ライフサイクルライフサイクルという言葉は聞いたことがあると思います。

製品ライフサイクルの考え方.001

一言で表すと、

商品/サービス/業態にも寿命があります

ということです。

マーケティング戦略を考える時は、この製品ライフサイクルを意識して、
今の事業フェーズにおいて取るべきアクションが何か?
という問いと向き合うことを推奨しています。

定量的に事業フェーズを理解したい時は、下記の売上、利益、販管費の推移を頭に入れておくと良いと思います。

製品ライフサイクルの考え方.002

さて、今日のテーマのライフサイクルエクステンションについてです。

イメージはこちらです。

ライフサイクルエクステンション.001

どのブランドや業界にも寿命がある中で、成熟期や衰退期に陥りそうになった時にどのような打ち手をとるかはマーケターの腕の見せ所です。

ブランドの寿命を延ばすためには何がポイントになるのでしょうか?

2つの事例を比較しながら考えていきたいと思います。

成熟期から衰退期に入ろうとしている、いきなりステーキ

最近苦戦が続いているのが、いきなりステーキです。

こちらの記事に、いきなりステーキの最新決算について触れられています。

通期の純損失は25億300万円の見込みとなっており、さらなる悪化が懸念されています。いきなりステーキの過剰出店により、退店を加速すれば資産除去債務の特損、放置しても減損に陥るという絶望的な状況に見舞われてしまいました。

いきなりステーキは、立ち食いステーキという新しい業態をつくり、社長を全面的に出した独自のプロモーションやマイレージサービス、健康ブームの後押しもあり注目を集めていました。

ファミリー層に顧客を広げる、地方への出店を強化する・・というフェーズで成長が鈍化しています。

分析
焼きたてのステーキを食べる、その中でも立ち食いステーキといったジャンルは類似業種やブランドも出てきており、業態としても成長率が鈍化。
その中で、店舗出店を加速させ、新たな顧客層を獲得するための動きがうまく噛み合わず苦戦しているという分析をしています。

まさに、製品ライフサイクルで成熟期から衰退期に入っている典型例だと思います。

何かここを乗り越えている良い事例はないでしょうか?

ライフサイクルエクステンションに成功した丸亀製麺

ライフサイクルエクステンションの事例として素晴らしいなと感じているのは、丸亀製麺です!

元USJの豪腕マーケター 森岡さんが参画したことで話題になりました。

丸亀製麺は一度、業績も低迷しはじめ、このまま衰退していく可能性もあるのではないか・・・という噂もされていました。

その中で森岡さんが腕を振るい、見事にV字回復しています。

丸亀製麺に対して森岡さんが打ってきた施策を整理してみます。

まずは原点回帰=価値の再定義

丸亀製麺がもっていた強みに再度焦点をあてて、価値を再定義しています。

そして制作された丸亀製麺のCMでは“すべての店で粉からうどんを作っている”という、うどんそのものの魅力を訴えました。その効果はてき面。16か月連続で前年割れを続けていた客数がV字回復し、売上も着実に伸び続けているといいます。
引用元:【特集】丸亀製麺「V字回復」 舞台裏にUSJの立役者

次に、注目したいのが、組織変革です。

森岡さんと言えば「マーケティングとは「組織革命」である。」が有名ですが、まさに丸亀製麺でも組織文化や人事制度まで踏み込んで変革をしています。

森岡氏 一人ひとりの役割や技量を見直す前に、やるべきことがあります。店舗を「感動を発生させる装置」と見立てた場合に、スタッフや作業をどのように配置するのが最適なのかを見極めます。
森岡毅氏単独インタビュー 丸亀製麺・復活の秘策

価値を再定義して、その価値を組織に浸透させること。

これこそマーケターの役割であり、成熟期・衰退期直前にこそ行うべきものなのだと学ぶことができます。

製品ライフサイクルとマーケター.001

ライフサイクルエクステンションとマーケターの役割

まとめます。

ライフサイクルエクステンションを考える際には、教科書通りに考えると下記3つが重要だと言われています。

①商品/サービス価値の見直し
価値を再定義する。具体的な機能やデザインなどを変更する=リニューアルするというイメージです。

②市場セグメンテーションやターゲティングの見直し
市場セグメンテーションの変更、ターゲットを最定義するといったイメージです。

③マーケティングミックス全体の修正
価格や流通経路を見直して、顧客への価値の届け方を変えるイメージです。

森岡さんからの学びとなると、この3つです。

①原点回帰=ブランドの本来の価値を再定義する
②ブラさないことと変えることの取捨選択をする
③組織文化まで踏み込み変革する

業界が伸びている時は、マーケターの役割は広告投資=コミュニケーション戦略に寄りがち。

成熟期、衰退期に入った業界でこそ、マーケターが経営の根っこまで踏み込んで、価値を再定義して、組織を変える→市場を変えていくという役割を担うことが大切なのだと考えています。

森岡さんの凄さについて

価値そのものを見直すということは、経営や市場に対する当事者意識をもっていないと、なかなかできないものだと感じています。

森岡さんの何がすごいのか・・・と考えた時に、数学/統計理論や実績などあると思うのですが、やっぱり「価値」そのものをつくったり、見直したりできるところではないかと考えています。

自分も、いつも価値に立ち戻って思考して、戦略を考えて、組織を動かせる存在でありたいと思います。

本日の日報は以上です。

もう一度読み直そう。