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デジタル庁から、日本の組織変革を推進するチャレンジを始めました!

実は、この7月1日から内閣官房IT総合戦略室の民間非常勤職員として、デジタル庁の立ち上げに携わらせていただいてます。
9月1日には、いよいよデジタル庁が設立されまして、僕はデジタル庁の職員として、人事・組織開発の任にあたってゆくことになります。

最近、取材いただいてテレビや新聞などメディアに出させていただく機会も増え、嬉しいことにご覧いただいた方々から結構連絡をいただきます。

何年かぶりの方からもご連絡いただけて、嬉しい機会になったと共に、デジタル庁への期待と関心の高さを改めて感じたりしています。

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(写真:フジテレビ 日曜報道THE PRIMEより)

そんな中で、「どんな仕事してるの?」「大変そうだけどどうなの?」といったご質問をいただくのですが、一言で言えば、「メチャクチャ難易度高いけど、だからこそ最高に楽しいっす!」という感じです。

ということで今日は、「なぜデジタル庁の組織づくりにチャレンジしようと思ったのか?その想いはどこにあるのか?」について書いていこうと思います。


変わりたいけど変われない日本企業

僕は、日本マクドナルドという外資系の大企業でキャリアをスタートし、その後、メルカリやSHOWROOMといったIT系のスタートアップの経験もさせてもらいました。
今は、「自分が理想とする組織をゼロから自分の手で作ってみたい」という想いから、Almohaという会社を起業し、組織づくりを支援するプロダクトを開発しています。

プロダクト開発のために様々な業界やフェーズ・規模の組織についてインタビューさせてもらうこともありますし、コンサルティングやアドバイザーという形で、組織の内部に入らせてもらうこともあります。

そうした中で感じることは、日本企業の組織変革は待ったなしの状況だということです。

設立から間もないスタートアップは、レガシーを抱えておらず、若い人材も多いので、様々な新しいテクノロジーを活用しながら、生産性の高い組織を創っています。

一方、伝統的な大企業や中小企業、地方の企業なんかは、なかなか思うように生産性を向上させられていません。
僕に相談してくださる方々は皆「変わりたい、変わらなきゃ」とは思っているのですが、何かしらの変われない事情がそれぞれあります。

中小企業などは、「大企業のお客様の仕組みに合わざるをえない」というのが結構あって、大企業の影響をどうしても受けています。
一方、大企業はというと、「そもそも国の仕組みがこうなってるから」とか「関連省庁の指導によって・・・」ということで、国の影響を多分に受けて今の状況から抜け出せなくなったりしています


きっかけはハンコ廃止

そうした中で昨年、河野大臣から「ハンコ廃止」の号令がかかりました。

あれから一年近くが経ち、全てのハンコがなくなったわけではなく、この記事のように課題も残っていますが、一方で一定の削減は進み業務も多少楽になったという実感をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

実際、僕も仕事をお受けする際、発注してくださる企業さんに対して「ハンコは不要ですよね?」と言いやすくなりました。
企業の担当の方としても、こうした声があったほうが関係部署に「ハンコやめられませんか?」と言いやすいようで、ハンコを止める動きにつながったりして喜ばれることもあります。

やはり、「トップダウンの号令」というのも変革には必要なんですよね。

もちろん、Almohaという小さなベンチャーから、ロールモデルとなる組織を作って、ボトムアップで良い組織を創りたいという想いは変わってません。

それと同時に、国から組織変革を起こす機会があるなら、挑戦してみたい。
そして、デジタルを軸に、省庁を横断して横串で変革していける機会、しかもその立ち上げという機会は、今しかない。

そう思って、チャレンジすることにしました。


特徴ある多様な組織での経験を活かす

自分にとってはあまりに壮大なチャレンジなので、どこまで力が及ぶかわかりませんし、力不足を痛感する日々だったりします。

僕の経験の特殊性は、異なるタイプの多様な組織それぞれで、社長室長や経営陣といった経営の中枢で経験させてもらってきたことだと思っています。

・外資系大企業と、日本のベンチャー
・マニュアル型のオペレーション組織と、自律分散型の創造的な組織
・トップダウン型の意思決定と、ボトムアップ型の意思決定
・失敗を抑えながら進む組織と、失敗しながら学びつつ進む組織
・先進的なテックの世界と、伝統的なエンタメの世界
 ・・・などなど

極端に異なる組織を経験して思うことは、「どちらかが正解ということなはい」ということです。
それぞれの事業特性や組織の背景に応じて、つくるべき組織像は異なります。だって、ハンバーガーチェーンのマクドナルドが自律分散型の組織になって、ある店長が「俺はトマトが好きだから、うちの店ではハンバーガーにトマトが入ってるのだ」なんてやりだしたら、成り立たないですよね?笑

なので、省庁には省庁としてのあるべき組織像があるはずで。「デジタル庁」だからといって、いわゆるGoogleみたいな組織をそのまま作ればいいわけじゃない。
各省庁とも密接に動かないとといけないし、地方自治体への影響も意識しないといけない。民間企業との連携だってある。何より、サービスを提供する相手は、この国で暮らす全ての方々です。

こんなことをしている組織、他にないんですよね。

こうした従来とは違う組織を新たに創っていくにあたって、自分自身の多様な組織での経験を最大限活用して、「デジタル庁はこういう組織でありたい」ということを皆で議論しながら、模索していければと思っています。


職員一人ひとりの力が合わさり協働する組織へ

僕の一つの原体験として、マニュアル型の伝統的な組織であるマクドナルドから、ITベンチャーの最先端のようなメルカリへと身を移したときの、カルチャーの違いが衝撃的だったんですよね。

・え?Slackって何?メール使わないでどうやって仕事するの?
・フラットていうけど、ほんとに役員にこんな意見ぶつけちゃうんだ・・・
・隣の人でもテキストで会話するの非効率じゃない?ログを残す?なるほど、会話のログを残すという発想なかったなぁ。
 ・・・などなど。

という感じで。今思えば笑える話ですが、当時は本当に戸惑いましたし、学んでキャチアップするのに必死でした。正直、抵抗感もあったと思います。

でもこの経験、すごく勉強になったし、34歳の時に初めて転職して、ゼロからテックベンチャーに挑戦し、最先端の環境を学べて良かったなと強く思っています。

例えば、ファイルをバージョン管理してメール送付するのではなくて、クラウド上で共同編集しながら資料を作成する便利さは強く感じますし、「もう以前の環境に戻れないな」という感覚もあります。
一方で、全国に広くお店があるマクドナルドでそれを使うことを想像した時に、常に情報が更新されていってしまうと、現場の店舗は混乱してしまうので、そうもいかない。

この辺も、事業特性の影響があって、ソフトウェア開発の会社だと、完璧なものを作らずに、まずMVP(Minimum Viable Product。実用最小限の製品のこと)をリリースしてから、ユーザーにフィードバックをもらって修正しながら開発をしていくのが一般的なので、組織運営の仕方も自ずとアジャイルっぽくなるんですよね。
一方、ハンバーガーだと、「新商品をリリースしたけど、味が辛いとフィードバックもらったから、もう少し甘くしよう」という修正はもうできないんですよね。最初の発注でまとめて一気に製造してしまいますから。そうするとやっぱり組織運営としても、失敗しないように確実に検証を重ねた上で意思決定して進めるウォーターフォール型になる。

このように、アジャイルっぽく動く組織の効率的な感覚と、リスクを抑えながら確実に進める組織の感覚の、両方が体にある感じです。

こうした経験から、急激に環境が変わることだったり、デジタル化したときの戸惑いを肌で覚えているので、組織的な変化が起きた時の、デジタル庁や省庁に長く働く役人の方々の気持ちが何となくわかる気がします。
一方で、伝統的な官僚型組織の環境に、最先端の民間人が身を置いたときの違和感だったり、物足りなさというのも、分かるつもりです。

デジタル庁では、そうした想いを抱く様々な背景の方が働いています。
人事や組織開発を担わせてもらう僕の立場としては、そうした多様な職員の気持ちを想像し肌で感じながら、一人ひとりがポテンシャルを最大限発揮し、多様性を活かしあっていける組織になるように、職員それぞれの気持ちにできるだけ寄り添いながら前進していければと思っています。


デジタル庁の組織的チャレンジと、その後の展望

デジタル庁が目指す組織については、まだ喧々諤々と議論中なので、具体的にお伝えできる段階ではありません。話せることが出てきたら、またnoteでアップデートして、皆さんに進捗をお伝えしていければと思います。

今見えてる範囲だと、この4つがチャレンジだと個人的に思っています。

・霞ヶ関にある様々な事情よりも、この国で暮らす全ての方々を最優先したサービスを提供する組織文化を築くこと

・「官」と「民」という異なる前提で働いてきた人材が、同じ方向を向いて協働できるようにしていくこと

・縦割りと言われる組織構造・組織文化から、横割りのプロジェクト型の組織へと移行していくこと

・過度に完璧主義な組織から、失敗から学びアジャイルで動いていく組織にしてゆくこと

日経にも、縦割りについての記事が出ていました。

こうした課題を乗り越えてゆくため、組織づくりの一丁目一番地はミッション・ビジョン・バリューの策定だと思っています。

多様な人材がミックスして働くからこそ、迷ったときの共通の指針が必要です。自分たちの存在意義と目指す理想像を定義し、共に信じる共通の価値観を言語化し共有していくことが書かせません。

9月1日の設立に向けてまず、ミッションとビジョンは策定しました。
誰か一人が作ったものではなく、庁内の様々な立場の方の意見を反映しながらまとめたものです。(また詳細はどこかで)

デジタル庁は、省庁全体を一つの「日本国株式会社」と見立てると、その中の「DX部門」という感じの位置づけと、僕は捉えています。

デジタル庁が国のDXを実現していくことを通じて、DXを実現する組織変革のロールモデルになっていければと思っています。

そして、デジタル庁内で起こす組織改革が、官公庁全体に波及していき、ひいてはそれが大企業、中小企業、そして地方の各企業、といったところに広がっていくと信じています。

目指す世界は壮大ですし、組織作りの難易度は日本でも最高難度ではないかと思いますが、これを成し遂げた先に、日本で働く一人ひとりの幸せがあると信じて、仲間と一緒に一歩ずつ、頑張っていく所存です。


さいごに

デジタル庁は兼業として働けるので、僕にとってはとてもありがたい環境。

(1) 創業したAlmohaでの経営・プロダクト開発
(2) 組織開発コンサルティングやアドバイザー
(3)グロービス経営大学院 客員准教授
(4) デジタル庁の人事・組織開発

という、4足の草鞋という感じになりますが、いろいろな経験を総動員して学びながら、実践していこうと思います!

少ししたら、PM/PdMなど現場の職種を中心に、デジタル庁の採用活動も始まると思いますので、ご興味ある方はぜひご連絡ください!!


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