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組織変革って何から取り掛かりますか?

各社が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」への取り組みを加速させています。そして最近では、「DXには組織変革が欠かせない」というコンセンサスが形成されつつあります。

そうした中、企業さんからは、「組織変革って、何から取りかかればいいのか?」という質問をいただくことが多くなってきました。

今日はこの点について考えていきたいと思います!


組織変革が注目される背景

まず背景として、DX文脈の中で、組織変革の注目度が高まっているのは、以下のような議論を経てきているためだと言えそうです。

「ITツールの導入や、それによる業務効率化はIT化でありDXではない」
「ビジネスプロセスそのものを見直し、顧客への価値転換してこそDX」
「顧客への価値提供プロセスをデジタル化を軸に見直すには、部門横断的な取り組みが欠かせず、組織変革がまず必要となる」

実際、DXに本格的に取り組む企業では、組織変革に動いています。

「IT企業からDX企業へ」を標榜する富士通さんでは、「デザイン思考」を中心に、仮説検証をクイックに回していく組織へと変革を進めています。

「まさにパラダイムシフトが起こっており、今までの価値観やルール、常識が変わるなか、企業には従来とは異なったマインドセットが求められています」
「業務のやり方や働き方、組織や人事、予算の考え方、評価、上司と部下の関係、さらに企業文化まで含め、あらゆる面を新しい時代に応じて、それをDXと呼ぶなら、富士通もDX時代に応じて見直さなければなりません。そのためのベースとなる社員のスキルを考えたとき、デザイン思考の重要性を感じました」



先月、DX戦略を発表したNECさんでも、事業側のDX推進と共に、CX(コーポレートトランスフォーメーション)に取り組んでいます。その中で、「Smart Work 2.0」という「働きがい創造」について取り上げ、組織内部の変革を重視する方針を打ち出しています。

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上記のNECさんの体系図をみても分かるように、組織変革のためにやるべきことはとても多いですよね。

こうした背景もあって、「組織変革って何から始めたらいいの?」というご質問を頻繁にいただくようになりました。


ジョブ型の導入は組織変革の起点になるか

組織変革を推進する上で、DXとセットでバズワード的に広がっているのが、「ジョブ型」の雇用形態です。

ジョブ型「御三家」なんて呼ばれる日本企業も出てきて、ジョブ型を中心に据えた人事制度の導入が進んでいます。

ジョブ型へのシフトが適切とされるのは、従来のメンバーシップ型雇用ではDXを推進する組織を作る上で対応しきれない課題があるからです。
それはシンプルに、「専門性の高い人材の中途採用」を進めたいからです。

新卒採用とジョブローテーションによる内部育成だけだと、専門性の高い人材はなかなか育ちません。DXを推進するにはエンジニアなど技術系の人材が欠かせませんが、こうした人材を中途採用する必要が出て来ます。
しかし、従来の年功序列を前提とした給与体系だと、高度な専門人材との給与が見合わずに採用ができません。

特に、従来の人事制度では年次とともに管理職に上がっていくことを前提とし、管理職にならないと給与が上がらない構造になっています。しかし、専門人材は希少性が高く、管理職でなくとも技術力で高い成果を発揮できるため、高い給与水準であることが多いです。
そこで、非管理職であっても適切に処遇できる仕組みが必要となりました。

この問題を解決するために「ジョブ型」へのシフトが進んでいるのです。管理職かどうかに限らず、役割や期待する成果に応じて給与を支払うことで、柔軟な報酬設計にするための施策ということです。

確かに、ジョブ型を導入するなどして、中途採用による専門人材の確保は欠かせません。一方で、中途での専門人材の採用は別の課題を生みます。

それは、多様性の活用です。

新卒中心に組織を作ってきた伝統的な日本企業では、自社にフィットしそうな学生を採用し、自社らしい人材へと染め上げることで組織カルチャーを構築してきました。そうした「凝集性」がある種の日本企業の強みだったわけです。しかし、凝集性だけでは、イノベーションが起こらない。

そこで中途の専門人材を採用しますが、彼らはこれまでの組織の哲学とは異なる考え方や背景を持っていたりします。しかも彼らは、変革やイノベーションを期待されているので、従来のやり方を時に否定します。

こうやて、多様な人材が新たに従来と異なることを始めると、組織としては何が正しいかわからなくなり、向かうべき方向性を見失いかねません

今までは、細かい説明などしなくても阿吽の呼吸で成り立っていた組織が、「説明したはずなのに全然伝わらない」「勝手な動きする人がいてやりづらい」なんてことが増えてくるのです。


最初にやるべきことは、バリュー

このように、多様な人材を取り込みながら組織を作るには、「最低限として共通すべき価値観や判断軸」を揃える必要があります。
根底を揃えた上で、多様性を活用し新しい価値を生み出すのです。

組織変革に迫られると人事としては、採用を進めたり、評価制度を変更したり、という人事として動き出しやすいことから始めがちです。

しかし、ここの人事施策を進める前に一歩立ち止まり、まず「バリュー」を策定して組織の共通基盤を作り上げることが先決なのです。

組織の凝集性の高いうちは、バリューなんて策定しなくても、それこそ阿吽の呼吸で一枚になっていたんです。
それが、多様性が増してくると、阿吽の呼吸というハイコンテキストな環境では価値観や考え方を共有できなくなってくるので、バリューを言語化し、共通の価値観を整える必要があるわけです。

よく、「バリューを浸透させると、似通ってしまって多様性が活かせないので、矛盾するのは?」という質問をいただきます。
こう考える方の多くは伝統的な日本企業に所属されています。彼らはそもそも、組織内の人材が似通っていて、凝集性が高い環境にいるんですね。だから、新しいものが生まれないことが課題となっている。そして、「多様性を生かしてイノベーションを起こそう」という話が出てくるようです。

これは組織の前提が異なっていて、そもそも多様性を前提とすると、各々は違う意見を持ち始めるので、「バリューで根底をそろえる」ということがとても重要になります。

僕自身、日本マクドナルドで社長室長を務めていた頃に、「本社スタッフとしての共通のバリュー」を策定したことがあります。
元々マクドナルドでは、「店舗での現場経験豊富な新卒社員」がほとんどだったのですが、そこに、「外国人エクスパット」と「中途の専門職」が入って来て多様性が増したからこそ、「共通した価値観としてのバリューが必要」と判断してのことでした。

(当時の記事↓)

このように、組織の共通基盤としてのバリューを策定することが第一歩目なんですよね。

そして、バリューを中心に、組織形態、人事制度、給与体系、採用、育成、といった各種の人事施策の整合性をとってゆきます

言い換えると、「ジョブ型」というのは、組織開発全体の整合性を取るための目玉施策の一つに過ぎない、とも言えますね。

一つの人事施策で大きな組織変革は成し遂げられません。

組織変革へと舵を切るなら、自分たちの価値観と逃げずに向き合い、組織としての目線を揃え、強固な組織をつくってゆきましょう!!


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