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「副業解禁」に潜むワナ。どう乗り越える?

本日、7月6日(金)の日本経済新聞の朝刊、経済教室面の「私見卓見」に拙稿を掲載いただきました。

先日、COMEMOに投稿した

「急激に広がる「伏業」の流れ。企業はどう向き合うべきか?」

というコラムを編集いただき、掲載いただいた形になります。

「副業解禁」に潜む罠。

上記のコラムの通り、僕は「副業解禁推進派」です。

一方で、コラムにも書いていますが、「目的なき副業禁止」が悪なのと同様、「目的なき副業解禁」もダメです。

「複業」は「自分自身を商品化してマーケットに価値を問う」行為そのものなので、社員のキャリア自立を促す手段として、非常に有用です。

他方で、終身雇用幻想を持っている日本の会社員のほとんどはそうした経験がないのはもちろんのこと、「自分自身を商品化する」という発想をなかなか持てません。

そうした状態で、背景やメッセージを伝えずに副業解禁すると何が起こるか。

そう、「タウンワーク」や「マイナビバイト」などのアルバイト情報サイトで時給制のアルバイトを探しはじめてしまうのです。

「時給制のアルバイトが悪い」ということではもちろんありません。例えば、

「将来、飲食店を開業したくて、そのノウハウを学ぶために週末カフェでアルバイトをしたい」

というように目的があれば時給制のアルバイトでも問題はないのですが、「何をやっていいかわからない」がために、「とりあえずバイトするか」と時間を切り売りする発想でアルバイトをしても、小銭稼ぎはできるかもしれませんが、スキルアップ・ナレッジ獲得にはなかなかつながりません。そういった状態になるのは、企業にとっても社員本人にとっても望ましくないですよね。

だからこそ、企業が副業解禁する際は

「なぜ副業解禁するのか?副業を通じて、何を実現して欲しいのか?」

をきちんとメッセージすることが重要です。例えば、僕が副業解禁のサポートをさせていただいたJR東日本グループで不動産開発事業を営むJR東日本都市開発では、副業解禁に際し、

「スキルアップにつながる副業のみOKとする」

とガイドラインを明確に定めた上で、全社員(役員・管理職含む)を対象にした副業セミナーを実施し、「なぜ副業を解禁するのか?副業を通じて何を実現して欲しいのか?」という背景や目的、「どんな副業がOKで、どんな副業がNGなのか」というOK/NGラインも含めて、2時間程度の講習を行いました。そのうち、1時間程度時間をいただき「ゼロからはじめる副業入門」ということで、副業の「ふ」の字も考えたことがない方でもできるように、副業の考え方から、実際にどうやって副業をはじめるのかについてもお話させていただきました。

© souta6954

20〜30代の若手社員だけでなく、50〜60代の管理職の方々から、社長も含めた経営陣の方々まで聴講くださっていたのでなかなかのプレッシャーでしたが、終わってみれば満足度はほぼ100%。

「副業なんて、ただのお小遣い稼ぎかと思っていたが、考え方が180度変わった。部下が複業やりたいと言ったら背中を押したいし、自分自身もセカンドキャリアとして複業にチャレンジしてみたい」

といったフィードバックを管理職の方からいただけたのは非常に大きな収穫でした。

こういった形で、副業解禁のサポートのみならず、解禁時のストーリーづくりや社員・管理職向けの説明会のプランニングやプレゼンテーションまでご一緒するケースが増えてきましたが、こうしてきちんと整えてコミュニケーションすることで、余計なトラブルや思わぬ罠にはまることを防ぐことができているので、副業解禁を進める際はぜひその点に留意して進めていただくことをお勧めします。

#今日のつぶやき



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