景況感が厳しい中でも業績が期待される業種とは
3月12日に公表された1-3月期法人企業景気予測調査は、2月下旬にかけて金融・保険を除く資本金10億円以上の大企業約4千社に対して行った景気予測調査で、4月1日に公表される3月短観における今期業績の修正度合いと来期業績予想の先行指標として注目されます。
そこで今回は、4月1日に公表される3月短観で業績回復や堅調な来年度計画が見込まれる業種を予想してみます。
今回、景気予測調査でも初公表となった19年度計画では、売上高が上期と下期でそれぞれ前年比+0.3%、▲0.1%、経常利益がそれぞれ同▲3.1%、+2.4%の計画となっており、来期見通しでは上期が増収減益になるも、下期に減収増益が計画されています。
業種別に見ると、18年度下期に前年比増収かつ10-12月調査から売上高の上方修正率が高かった業種は「その他物品賃貸」「生活関連サービス」「パルプ・紙・紙加工品」で、特にサービス業の中でも所得の増加や余暇時間の拡大を取り込んだ企業では、3月短観でも期末決算の上方修正が期待されます。
また、18年度下期における増益率の上方修正幅が大きい「食料品」「職業紹介・労働者派遣」等に関連する企業も、期末決算でどの程度3月短観で上方修正されるかが注目されます。
一方、19年度計画において大幅な増収計画を立てている上位業種は、「電気・ガス・水道」「職業紹介・労働者派遣」「不動産」等で、これに関連する内需関連企業では3月短観でも来期見通しが注目されるでしょう。
また、「農林水産業」「医療・教育」等も来年度における増益率計画が高くなっています。
このため、原油など資源価格の低下の恩恵を受けやすい「電気・ガス・水道」や「農林水産」、社会保障充実の恩恵を受けやすい「医療、教育」関連が産業全体の増益率見通しをどれだけけん引するかが注目されるでしょう。
以上を踏まえて、日銀が4月1日に公表する3月短観の収益計画(大企業)も期末決算と来期業績見通しを読み解く手がかりとして注目したいものです。