スポーツのデータ活用は、企業のデータ活用の学びの場である。
スポーツでも、データ活用は盛ん
ようやく、「データの世紀」で、スポーツにおける、データ活用の話題が出てきた。私が、数学者であり、実は以前からこのテーマには興味があり、さまざまな書籍を読みこんだ。
近年、スポーツでは、データの活用が盛んである。理由は、スポーツの世界では、データが一般に公開されることが、企業活動よりも多く、誰でも分析しやすいこと。そして、企業活動よりも、大胆に、モデルが作れることがあるだろう。
スポーツ関連のデータ分析を紹介しよう。
そして、その結果、多くスポーツ関連のデータ分析に関する書籍が出ている。一番、有名な本は、「マネー・ボール」(マイケル・ルイス著)だろう。映画にもなっており、オークランド・アスレチックスのデータ分析の話を知っている人も多いだろう。この「マネー・ボール」の事例から、アメリカのプロ野球の世界では、データ分析が加速したようだ。
この分析手法を、進化させた事例が、「ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを甦らせた数学の魔法」という本にまとめられている。「マネー・ボール」では、主に、自分のチームの選手の状態をもとに分析するのにたいして、「ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを甦らせた数学の魔法」では、分析を相手のチームまで含めており、この本のタイトルにあるように、まさにビッグデータの活用になっている。
これらを、やや数学、統計的にまとめた本も出ている。英語版しかないが、古典的な本は、「Mathletics: How Gamblers, Managers, and Sports Enthusiasts Use Mathematics in Baseball, Basketball, and Football」という本である。Mathleticsとは、Mathematics(数学)とAthletics(陸上競技)を組み合わせた造語である。初めて、数学・統計を、スポーツと組み合わせた科学的にあ本のように思える。
さらに、丁寧に書かれた本が、「メジャーリーグの数理科学 上 (シュプリンガー数学リーディングス)」「メジャーリーグの数理科学 下 (シュプリンガー数学リーディングス)」の2冊である。ここまで、野球のデータ分析や活用方法が書かれている本は、珍しいだろう。アメリカで、「長嶋」「王」の打者の分析が行われていたことまで、この本には登場する。
企業も、この分析から学ぶことは多い。
スポーツにおけるデータ分析は、このように公開されている情報が多い。そして、このことから企業のデータサイエンティストも学ぶことは多いだろう。それは、分析手法ではなく、分析の進化のさせ方である。いきなり、精度が高い、データをたくさん使う分析ではなく、少しづつ進化させるステップ論である。
データ分析を行い、実際に確認する。そして、そこから学び、また分析技術を進化させる。これが、データ分析の正しい、進化の方法だろう。これらを、学ぶにはスポーツにおけるデータ分析は、好材料である。ぜひ、企業のデータサイエンティストは、これらに学んで欲しい。