マネジメントとは、矢印を相手に向けること
初めて評価者としてマネジメントさせてもらったのは26歳。そこから10年以上経つがまだまだマネジメントができるようになったとは、胸を張って言い難い。部下はだれ一人として同じ人はおらず、万人に通じるマネジメントの解法があるわけでないと痛感する。しかしながら、仕事を通じて最も大きな気づきとして、マネジメントを経験したことがもたらしてくれた考え方の変化であると思います。
空回りし続けたマネジメント初心者時代
仕事人生を振り返って今までも忘れられない出来事があります。
それは、社会人4年目、26歳という若さでマネージャーに昇格させてもらい、初めて4名ほど部下をもった最初の半年間のことです。
結論から言うと、この半年間で僕も含めて5名チームで出した成果は非常に低い状態。どのくらい低いかというと、マネージャーに昇格する前に、僕一人で出した成果の半分にも満たない燦燦たる状況でした。しかも、その半年間の僕自身の労働時間はそれまでの軽く倍以上、加えて部下たちも超過労働が多く、チームの状態はボロボロという感じでした。
当時を振り返ると、僕はマネジメントというものを理解できていなかったし、マネージャーというのは肩書ばかりで、人をマネジメントする力量は皆無に等しかったと思います。
では、僕は部下たちにどう接して何をしていたかと振り返ると、「部下と自分は同じという暗黙の前提を押し付けて、自分の分身を作るかの如く自分のやり方をマイクロマネジメントで指示を細かく出す。成果が上がらないと怒ることも含めて詰める、さらにはできたことを褒めることもほとんどしないスタイル」でした。
今言葉にするとぞっとしますし、当時の部下の皆さんが辞めずに頑張ってくれたことは奇跡かもしれないと思います。当時の部下の皆さんに本当に感謝しています。上記を今の自分が振り返ってみると、確実に“ヤバい”上司であったと思います。
比較的プレーヤーとして成果を上げていたため、早々にマネジメントにあげてもらったのですが、いざマーネジャーになると全く成果が上がらない。
しかも、求められる成果は、規模感もその質もプレーヤーとは比べ物にならないほどレベルが上がりました。
当時の僕は成果を出したくてとても焦っておりました。
そのため、部下の仕事を自分でまき上げて、自分の睡眠時間や休日をけずってなんとか自分ひとりで成果の帳尻を合わせようと必死でした。そして、肉体的にも精神的にも、余裕がない状態になり、マイクロマネジメントで有無を言わせない指示だし型で、できないことにばかり目がいき、叱るなどネガティブなコミュニケーションも徐々に多くなりました。
この悪循環が半年間続き、どんどん視野が狭くなり、チームの状態も悪くなり続けました。
当時勤めていた会社は3か月ごとに評価査定があり、半年間で2回受けた査定はこれまでもらったことがないくらいひどい評価でしたし、何より時間を使い、必死にやってもやっても成果が上がらないし、チームの状態はどんどん悪くことにかなり精神的にきつかった記憶があります。
プライベートの時間も全て仕事に投下して、成果がでないという結果は、それまであった自信を見事に崩壊させました。
何かを変える必要があるという気づき
残念ながら、僕にマネジメントの力量がないという事実は確定的で、それを受け入れざる得ないほど低い成果しかだせなかったことは、今振り返ればとてもよかったと思います。
はっきりとこのままではまずいと自覚することができたことは、次の一歩への後押しになりました。
自分のやり方の延長線上では、うまくいかないとわかり、“何かを変える必要がある”という気づきました。
正直その時は、何を変えればいいのかがわかっていないかったというか、解像度が低い状態であったと思います。
しかし、確実に言えることは、マネジメントとして“何かを変える”ことができないと、確実に成果は上がらないし、何より自分自身がこの先続けていくことはできないと強く危機感を感じました。
メッシが11人いても必ずしも勝てない
何を変えればいいのか、自分はマーネジャーとして何が足りていないのかを自分で考えて続けても答えがでない日々が続いていたので、そうであればわかる人に教えてもらおうという結論にいきつきました。
これまたお恥ずかしい話ですが、当時の僕はプライドもある一定高く、素直に人に教えを請えるタイプかというとそうでもなかった気がします。
しかし、自分が考えられるやり方で成果がでないという結果から、できない自分を受け入れるということができるある一定の合理性があったことが唯一の救いだと思います。
そこで、僕をこれまで育ててくれた過去の上司や、社内で名実ともに評判のよいマーネジャーの先輩に直接アドバイスを下さいとお願いして回りました。
前職はとてもいい先輩方ばかりで、どうしようもない後輩マーネジャーの悩みを親身になって聞いて下さり、とても有意義なアドバイスをたくさんいただきました。
細かいマネジメントの手法やTipsから、考え方までいろいろとご指摘やアドバイスをもらう中で、特に印象に残った話があります。
全員はメッシになれないし、メッシが11人いても必ずしも勝てるわけではない。当時の僕にはこの話はとてもわかりやすく響きました。
プレーヤーとマネージャーの違いは矢印の向き
上記の話も含めて、多くの“できる”マネージャーの皆さんのアドバイスを受ける中で、マネジメントにおいて、自分が如何に自分のやり方を押し付けていたかということを痛感しました。
僕は、自分に矢印が向いており、自分の成功体験を押し付けてマネジメントをしていました。そして、自分が素晴らしいと思うプレーヤー像になるようにマネジメント・指導をしていました。
そこに“相手”は不在でした。
部下一人一人のレベル感、個性、強み弱み、好き嫌いなどを考慮に入れておりませんでした。
プレーヤー時代は、自分の成果に向けて自分の仕事をやりきることが責任範囲で、ある意味で自分に矢印が向いていればよかったですが、マネジメントは相手が常にいるため、矢印を相手にきちんと向けて考えて、指導しないといけないと気づきました。
マネジメントとは、矢印を相手に向けること
プレーヤーとマネージャーでは矢印の向きが最初から違ったのです。
言葉にすると単純なことを、僕は失敗するまで気づきませんでした。
そして、その気づきを得てから、すぐにマネジメントとして成果が出たわけではないですが、相手に矢印を向けて考えることが前提になるだけで、やり方が全く変わりました。
相手のことをしっかりと理解しようとする姿勢だけで、関係性が変わっていきました。何を指導するべきなのか、どんなやり方で教えるべきなのかというマネジメントのWHATとHOWの手札がどんどん増えていきました。
すぐに成果がでるということはあませんでしたが、部下の仕事の取組み姿勢はもちろん、細かい成長を随所で感じるようになっていきました。
何より成果が出ていない現状は一緒だったとしても、チームの雰囲気や一人一人の雰囲気がよくなりました。
世の中にたくさんあるマネジメントの手法論はそれぞれ有効なものが多いと思います。しかし、その手法を活用するマインドとして、「矢印を相手に向けて考える」がセットされているといないとでは大きな差があるような気がします。
冒頭に触れたように、今の僕がどれほどマネジメントができているかわかりませんが、少なくとも相手に矢印を向けて考えるようになってからは、前向きにマネジメントの仕事に取り組めるようになりました。
「マネジメントとは、相手に矢印を向けることである」
これが僕の #仕事での気づき の一つです。
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