仕事ができる人ほど「決断」が早い。それには、とても合理的な理由がある
ビジネスにおいて、「決断」することは大変です。なぜなら、誰しも失敗したくないから。決断したことが失敗に終わり、後から責められるかもしれないという恐怖に怯え、重要な決断は他者に任せようとする人も少なくありません。
決まったことを実行する力、先を見通す力… ビジネスや経営を成功させるためには、さまざまな能力が必要です。その中でも「決断する力」は、まさに最上位といえるほど重要なはずです。決断できる人、責任を取る覚悟のある人こそが、真のリーダーだといえるのだと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD022A80S2A800C2000000/
人はみな、「間違った決断」をしないように努力します。しかし一方で、いくら重要な局面で慎重さが必要だったとしても、決断のスピードがあまりにも遅いのは考えものです。いくらその選択が正しいものだったとしても、決めた頃には時すでに遅し、ということになりかねないからです。
判断を下すのにベストなタイミングを逃したり、ライバルに先を越されたりしてしまうと、せっかくの決断もほとんど意味がないものになります。
特にリーダーという立場にあるのなら、決断の速さはメンバーからの信頼に直結します。いつまでたっても判断できず、優柔不断な態度ばかり見せていると、いずれチームメンバー から「あの人はダメだ」と見切られてしまうかもしれません。
日本国内の企業がグローバルに進出するとき、「決断が遅い」と現地パートナーから不満を持たれてしまうケースは少なくありません。失敗しないように、慎重を期して、十分に準備して… といってる内にいたずらに時間を浪費してしまいます。
これはでは、海外のビジネス相手から信頼を失ってしまいます。会社としてのビジョンやリーダーシップが欠如しており、「組むに値しない相手」と判断されてしまうのです。こういったケースは本当に多く、とてももったいないと思います。
「絶対に失敗しない」判断をしようとするから、遅くなる
決断の遅い人や組織に共通するのは、いつも「完璧な」判断を目指してしまうという姿勢です。これは、判断を誤ることは致命的なミスであり、かつ恥だと考えてしまう思考のせいです。
そう考えるから、失敗を他者から批判されないように決断までに過剰なレベルの検討を加えます。そして、事前のリサーチなどにもあまりにも長い時間をかけてしまうのです。
決断の「スピード」については考慮することなく、とにかく「いかに失敗しなかったか」だけを気にする姿勢。それがあまりに強すぎるので、判断のタイミングがどんどん遅くなってしまうということになります。
なぜ、人は「完璧な選択」を求めてしまうのでしょうか。それは、「決断してしまったらそれが最後」 と考えてしまう思考法から抜け出せないためです。
それは、決断をある種のゴールとして捉えてしまう考え方です。だからこそ失敗は許されないと考え、熟考を重ねすぎて、判断に至るまでの時間が膨大になってしまうのです。
大事なのは、決断は、「あくまでスタート地点にしかすぎない」という思考法です。たとえ仮でもいいから、まずは方向だけでも決めるということ。
そこから、走りながら考えていくのです。もしも途中で間違いに気づいたら、その時点で修正すればいい。間違いに気づけたのは、早く判断して早くスタートできたからこそです。このスピードの価値が、とくに現代においては非常に大きいのです。
場合によっては、そもそもの最初の決断を変更し、別のまったく新しい方針を立て直すこともあるでしょう。そうやって決断を後から変更することは、恥でもなんでもありません。むしろ、ものごとに対して柔軟に、臨機応変に対応できていることの証明となるでしょう。
できるだけ軽く、小さく始めてみる努力
このやり方を可能にするのは、仕事やプロジェクトをできるだけ細分化し、まずは軽く、小さく始めてみるという方法です。大きな決断をしようとすればするほど、後から修正しづらくなります。だから、「一か八かの大博打」ということになってしまうのです。
そうならないためには、身軽で柔軟な進め方がとても有効です。たとえば、「社運を賭けた一大プロジェクト」のようなものでも、プロセスをできるだけ細分化してリスクを最小化する努力はできるはずです。
往々にしてある失敗の例は、合議に合議を重ねたうえの最終決断の結果として、あと戻りできない進め方をしてしまうことです。だからいきなり大きな設備投資をし、マーケティング費用をかけ、「これだけ予算をかけたのだからもう失敗できない」という状況に追いやられてしまうのです。
大きくて重い決断をしようと時間をかけすぎると、 それがどんどん自分の首を絞めることになるということです。
そうではなく、最初は小さなフィジビリティ・スタディをすばやく回すのが有効な方法です。
検討だけのフェーズに長い時間をかけず、まずは小さくやってみて、早めに結果を出してみる。そしてそれを元に後から改善をしていけばいい、そのような考え方です。
失敗して大きな金銭的・時間的損失を生じさせる可能性も考えると、そのほうがトータルとしてはるかに効率的にプロジェクトを進めることができるはずです。
そしてこの考え方は、個人レベルでの仕事の進め方、そして、個人としてのキャリア構築に関しても同じはずです。できるだけ、「あと戻りできないような大きな決断」は避けるということ。
まずは、仮で決めてから走り出す。それを徹底することこそが成功の秘訣です。
決断はゴールではなく、あくまで「仮のスタート地点」にすぎないということ。そう考えれば、予測できないことを考えるために無駄に時間を使わずに済みますし、仕事の精度や効率も上げることができます。
これから、 世の中はさらに予測不能になっていきます。その中において、「決断はスタート」という考えは、ますます重要になるはずです。
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