患って知った「子宮頸がん」は予防も治療もできるがん〜少しでも多くの方が未然に防ぎ、早期に治療できますように
9月子宮頸がんの切除手術をし、現在経過観察を行っています。1A1期という早期で発見できたため命に関わるような状況ではなく、多少の調整はありつつも仕事含め日常生活を送ることができています。判明以降、経験したことのない不安をかき消そうとするように、同じく子宮頸がんを経験された方の本やブログ、論文などを読み漁り、一喜一憂しつつ理解を深めながら子宮頸がんと向き合ってきました。患って初めて知ったことや感情がたくさんありました。
そんな今強く願うのは、少しでも多くの方が子宮頸がんを未然に防ぎ、早期発見し治療できますように、ということ。
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、女性なら誰でもかかる可能性のある病気です。遺伝や親族のがんの有無には関わらず、性交経験がある女性なら誰でもなる可能性のある病気です。 近年は若年化傾向が見られ、20代後半からの若い女性の発症率が増加傾向にあります。
小学6年生からの予防ワクチン接種
子宮頸がんには、予防ワクチンがあります。日本では副作用懸念から、2013年から10年近く積極的勧奨が控えられていましたが、その後も様々な科学的研究によるエビデンスが認められ、今年4月から小学校6年~高校1年の女子生徒にワクチン接種の通知が届くようになりました。
私は2011年25歳の時に接種しましたが、大人になってからの予防効果は限定的で、早めの接種が推奨されています。
子宮頸がんは早期発見できれば治療できるがん
私が子宮頸がん疑いに気づけたのは、35歳の女性を対象とした区の子宮頸がん検診を受けたからでした。その前に受けたのは2年前、その時には何も引っかかりませんでした。要精密検査という通知を受け、幸いすぐに再検査を受けることができました。その後、さらに精密な検査を兼ねた円錐切除手術を受け、早期の子宮頸がん1A1期であったことが確定しました。
生まれてからこのかた特段病気もなく健康が取り柄と思っていたので、最初に産婦人科の先生から「子宮頸がんです」と告知を受けたときは呆然としました。その後の先生の言葉もまともに頭に入ってきませんでしたが、専門病院への紹介状を準備してもらう間に待合室で先生の言葉をスマホで検索し、ようやく事態を理解しました。子宮頸がんにもいろいろな段階があり、早期で止まっていれば頸部の切除手術で根治が望めること、そうでなければ子宮を含む切除手術や化学療法、放射線治療などの様々な治療方法を検討する必要があること…ネット上の医療機関による情報発信や、経験者の方のブログなどの情報に一喜一憂する日々でした。
幸いにも1A1期という早い段階で発見できたため、頸部の切除手術とその後3ヶ月ごとの経過観察という方針が固まり今に至ります。
定期検診の大切さ
「まさか自分が」と思っていました。精密検査の通知を受けてもなお、きっと大丈夫、と。あと数ヶ月検査を受けるのが遅れていたら…と思うと、早期発見により生かされたのだという想いが湧きます。今回の経験を経て、自分自身の命や健康、将来への考え方もアップデートされました。なってみて初めて気づくこと、考えることがたくさんありました。
だからこそ、定期検診の大切さをはじめとする啓発に、自分も何かしらの形で関わりたいとも思うようになりました。知っていれば知識があれば、おそらくもっと「自分ごと」として考え行動しようとする意識があったと思うからです。
大学生による子宮頸がんの啓発活動
いろいろ調べるうちに、子宮頸がんにまつわる正しい情報を発信し、10代の同世代をはじめとする人々が子宮頸がんを自分ごととして認識し行動を取れるようにと活動している大学生に出会いました。任意団体Lumiere(ルミエール )代表の遠藤咲幸さんです。
遠藤さんをTwitterで探して連絡をとり、お話を聞かせてもらいました。伺う中で印象的だったのは、遠藤さんたちのミッションは予防と早期発見のための知識を広く伝えていくことであり、ワクチン接種にしても検査にしても正しい知識を得て理解した上で行動を起こすかどうかについては、当事者一人一人の考え次第である…ということを大前提に活動されているところでした。
私自身、子宮頸がんを告知されて初めてネット検索してみて、とにかくその情報量に圧倒されました。ワクチン接種については特にその副作用懸念から10年近く積極的勧奨が控えられていたことからも明らかなように、賛否両論で様々な意見があります。
だからこそ小学生のうちから、本人も周りの大人も正しい知識を得る機会を持てることが非常に重要だと思います。遠藤さん達は、子宮頸がんの専門家や経験者の方々の協力を得て、発信する情報には正確さと慎重を期して活動を行っています。子宮頸がんについての知識をふんだんに盛り込んだ「かるた」は、医療監修を受けて情報の正しさを確保することはもとより、授業の中での使いやすさも追求し先生達からもアドバイスをもらいながら改良を重ねているといいます。
臨床工学技士となることを目指し、学術的にも子宮頸がんに纏わる理解を深めている遠藤さん。初めて子宮頸がんについて知り、ルミエールの活動を始めた高校2年生の時には既にワクチンの推奨接種年齢を過ぎていました。活動を始めた背景には、同世代の中高生に同じ思いをさせたくないという気持ちがあったといいます。
遠藤さんをはじめとするルミエールの皆さんの活動に学ばせてもらいながら、私も経験者の一人として何か一緒にできることを探したいと思っています。
子宮頸がんを、少しでも多くの方が未然に防ぎ、早期に治療できますように。