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本物と本音に迫るためのユーザーリサーチ

ユーザーリサーチを日頃から行っている方は多いのではないでしょうか?

・アンケート
・ユーザーインタビュー
・行動観察調査
etc

基本となるリサーチはたくさんあり、どれも実施をするべきことです。

ユーザーの思考や行動を『事実として確かめる』ことがユーザーリサーチにおいては重要だと言われています。実際に重要です。

しかし、最近思うことがあります。

普通のリサーチだけでは、他社と同じことを実施することにしかつながらないのではないか・・・

『違い』をつくることが、マーケティングに関わる人に求められることなのに、リサーチして競合他社と同じことを行っているだけでは意味がありません。

ユーザーリサーチの目的
競合とは違う視点を手に入れる

違う視点を手に入れるためのリサーチを取り入れる必要があるなと考えており、少し変わったリサーチ手法についてまとめてみました。

この後にご紹介するエピソードは、自分たちのユニークな視点を手に入れるためのヒントになると思います!

サイゼリヤの本物を知るためのリサーチ

サイゼリヤのこのエピソードが好きです。

サイゼリヤの創業当時は、イタリア視察へ行っていたそうです。

この視察がこだわりがハンパないのです。

幹部を連れてイタリアを訪れた際に、下記のようなことを行っていたようです(今でもやっているかはわかりません)

・アルマーニのお店に行って上から下まで全部そろえる
・マリアーノで最高のホテルに泊まる
・その土地の最高の料理を食べる
最高のホテルに泊まって最高の服を来ておいしい料理を食べるから、どこが優れているかよく分かる

"『世界最高水準』をチームにインストールするためのリサーチ"を実施すると、今までにない発想やこだわりを生むことにつながりそうです。自分自身が理想の体験をしていれば、その体験を顧客に提供もしやすくなるはず。


✅ そのカテゴリーのNo.1を自分が体験する


スープストックトーキョーの身体でユーザー感覚をつかむリサーチ

食べるスープの専門店スープストックトーキョーが、顧客が喜ぶスプーンを開発したプロセスが面白いです。

商品開発プロセスの中で、自分たちが顧客に成り切って考えたとのこと。

何をやったのか?

「日本中からスプーンを集めて、社員と一緒にただひたすらスープを食べまくる」

チームで、美味しく食べるためのスプーンを身体感覚で理解することで、スープのために作ったスプーン「Spoon for soup」が生まれたとのことです。

詳しくは下記の書籍にて紹介されています。

ユーザー理解を『身体感覚』で行う。

自分たちの担当する領域に関するプロダクトやサービスを世界中から集めて使い倒すことは、商品やサービス開発段階で行うようにしたい。

✅自分が担当するカテゴリーの商品やサービスを集めて使い倒す

伊右衛門のメタファーを活用したユーザーリサーチ

最後に伊右衛門のユーザーリサーチ事例です。

日本人にとってのお茶の本質を炙り出したリサーチが興味深いです。

伊右衛門の開発にあたり、よくあるユーザー調査にある定型的な質問ではなく、開発チームはこのような質問をしたようです。鍵はメタファー!

答える側の思考を刺激し、潜在意識をあぶり出すような設問に知恵を絞った。例えばこんな質問だ。
「急須で入れたお茶は、あなたにとってどんな存在ですか。人・モノ・動物等に喩えてください」

「お茶を飲んだことのない外国人に急須で入れたお茶の味を誉めるとしたら、どのようにいいますか」

「『今日から一年間、急須で入れたお茶をいっさい飲んではいけない』」という法案が可決されます。あなたは国民の代表として、緑茶を飲み続けることができるように反論しなければなりません。どのように反論しますか」
引用:イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学 単行本 – 2007/1/1 野中 郁次郎 (著), 勝見 明 (著)

上記のような本音・本質に迫るリサーチを繰り返す中で、『働く大人の哺乳瓶』というコンセプトが生まれ、伊右衛門の独特な竹筒型ボトルデザインに繋がったようです。(現在はパッケージはリニューアルされていますね)


✅質問にメタファーを入れて、ユーザーの本音を引き出す。

(例)
質問にメタファー(喩え)や場面設定を使うなど工夫し、答える側も自身の原体験を反すうしないと答えられないような問い方をする。

まとめ

リサーチの基本は、ユーザーの言動を正しく理解することです。

しかし、普通のリサーチだけでは、競合との差別化要素・自社独自の視点は生まれてきません。

オーソドックスな調査と、少し捻った自分たち独自のリサーチを組み合わせることができると、優位性を獲得できる視点が手に入る可能性が高まると考えています。

自分が関わってきたプロジェクトで、顧客のことをオリジナルな視点をもって掴みにいく文化が組織にあると成功確率が高かったと感じています。例えば、全社員が現場に出て顧客のニーズを収集→カードに記載して提出する・・といった習慣が根付いている組織は、やっぱり開発やマーケティングに独自性がありました。

ぜひ、本日にご紹介したユニークな調査事例を参考に、組織に新たな視点を持ち込んでみて頂ければと思います!

✅ そのカテゴリーのNo.1を自分が体験する
byサイゼリヤ
✅自分が担当するカテゴリーの商品やサービスを集めて使い倒す
byスープストックトーキョー
✅質問にメタファーを入れて、ユーザーの本音を引き出す 
b y伊右衛門

ユーザーリサーチの目的は、「競合とは違う視点」を手に入れて優位性を獲得する・・この視点を忘れないようにしたいですね。

本物と向き合う、本音と向き合うこと、この2つはマーケターの大切な役割!


最後まで読んでくださりありがとうございました!