IMFが試算した米中貿易戦争の帰結

 10日付の日本経済新聞は「世界景気にじむ警戒感 IMF、貿易戦争巡り試算」と題し、この度の世界経済見通しに載せられたリスクシナリオ(第1章の33~35頁)を紹介しています。 IMFは貿易戦争を5段階で試算。米政権が自動車関税を発動して報復合戦に突入すれば、世界景気の下方修正幅は0.4ポイントに悪化する。企業投資が減って市場の混乱も誘発すれば、世界景気は最大0.8ポイント下振れすると試算する。巡航速度なら19年の成長率は3.7%になると予測するが、貿易戦争次第では世界景気は好不況の境目とされる3%ギリギリまで落ち込み、失速の懸念すらにじんでくるーーというものです。

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2018/09/24/world-economic-outlook-october-2018#Chapter 1

IMFは米中貿易戦争で中国の成長率は現状でも19年に0.6ポイント下振れすると指摘。米国の制裁関税が中国からの全輸入品に広がれば、下方修正幅は1.1ポイントに拡大します。金融不安に直結すれば1.6ポイントも下振れすると警告する。中国の成長率が6%を下回れば、天安門事件の直後で混乱した1990年以来の事態です。貿易戦争で消費や投資が落ち込めば、米国も成長率が最大1.0ポイント低下すると予測しています。大型減税で18年の成長率は2.9%に高まりそうですが、貿易戦争で帳消しになる計算です(以上、日経記事による要約)。IMFのラガルド専務理事には先週、東京でインタビューしましたが、そのなかで強調していたのは「世界経済を漂流させるな」というメッセージです。果たして「漂流」を免れることが出来るのでしょうか。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36296770Q8A011C1EA2000

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