物流「2024年問題」:トラックの自動運転の実用化を急ごう
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
物流の「2024年問題」をご存知でしょうか? 2024年4月からトラック運転手に対する年960時間の時間外労働の上限規制ができます。連続運転も4時間以内となるため、現状と比べると全体として運行可能時間が減少すると見られています。するとより多くのドライバーを確保して運行管理をしなければならず、すでに人材不足にあえいでいる業界にとっては人手を確保できず輸送量が減ることが予想されます。
「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
経済産業省・国土交通省・農林水産省(2022)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
EC取引の増加により宅配便の需要が激増しており、過去5年間で23.1%増。個数にして10.8億個(!)の増加となっています。再配達が発生すると現場のワークロードも倍々で増えていくため、これをどう削減してさらなる効率化をはかるかが鍵です。
また、全体の傾向としては、貨物量が直近20年で半減している一方で、件数は倍増しています。物流の小口・多頻度化が急速に進行していると言えるでしょう。営業費用の40%が人件費と言われている業界において、この需要変動にどう対応していくのか。
深夜長時間労働となる長距離トラックの自動化は、コスト減と人材の最適化をはかる上で有望な戦略でしょう。
市街地におけるトラックの自動運転には安全性の確認など、まだ長い時間がかかると予想されています。一方で信号も歩行者もなく、カーブも緩やかな高速道路は現在の技術でも十分にレベル4での自動運転が実現可能です。
さらに高速道路では隊列走行によりさらなる効率化も見込まれます。車の燃費を悪化させる大きな要因に空気抵抗がありますが、前の車両にぴったりとくっつくことで後続車の空気抵抗を減らし、燃費を向上させることができます。車のレースでおなじみのスリップストリームですね。
東京大学の技術を基礎に事業化を目指している先端モビリティ株式会社は、このトラック隊列走行の社会実装におけるパイオニアです。
高速の出入り口付近にある物流拠点をハブとして、高速は自動隊列走行、市街地は従来どおりのドライバーが担当することで、人材配置の最適化がはかれるとともに全体コストの低減にもつながるでしょう。また、浮いたコストをドライバーの待遇改善の原資とすることで、担い手不足にも効果があるかもしれません。
デスクワークはRPAなどの自動化技術や対話型AIの利活用により、機械と人間との役割分担・協働が進んでいきます。物流などリアルな業界においても、機械と人間との協業を積極的に進めていくことが必要だと考えています。
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タイトル画像提供:千和 / PIXTA(ピクスタ)
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