「小さな出版社」や「独立系書店」から学ぶマーケティング
本離れが進んでいる、出版不況といった言葉を聞くことが増えてきました。
しかし、データをみると、
・出店数や出版販売額は10年で3割縮小している
しかし…
・新しい出版社は増えている
とのこと。
ほぉ、と思い軽くリサーチしながら取り組みを整理してみたところ、ひとり出版社や独立系書店の取り組みが、これからのマーケティングを考えるヒントが詰まっていました。
学びをまとめておきたいと思います。
1. 小さな出版社の、尖ったコンテンツづくり
万葉社
記事でも紹介されている万葉社は、執筆も編集もデザインも、社長ひとりでやられているとのこと。
奈良弁で訳した万葉集という書籍、コンセプト・コンテンツ全てが面白いです。
最初は、ふざけて書いた本で初版は500部で、だんだん注文が増え、今では刷っても刷っても間に合わない状態になっているようです。
ライツ社
兵庫県明石市に拠点をもつライツ社は、自分たちが本当におもしろいと思う本だけを出版することが掲げられています。
面白いを研ぎ澄ましているから、結果的に売れているという流れですね。
例えば、明石市の出版社だからこその市長の書籍。
Xでよく流れてくるリュウジ式レシピの本も、ライツ社から出ているの知らなかったです…
リュウジ式レシピの本は、制作期間は2年をかけているとのことです。
万葉社とライツ社のコンセプト・コンテンツづくりからの学びは、
1. 自分が面白がる
自分たちが心から面白いと感じるものを発信する
2. 新しい問いを提示
トレンドに乗っかるのではなく、新しい問いを投げかける
この2つの視点から、大手の出版社とは異なる独自コンテンツが生み出されているのだと感じています。
他社を真似たようなありきたりなコンテンツしかつくれない…
と悩まれている人にとって、
万葉社やライツ社の取り組みにヒントがあるのではないでしょうか?
続いて、小さな独立書店からの学びをまとめていきます。
2. 書店
お気に入り(本屋としてもビジネスモデルとしても)の書店を2つご紹介します。
いわた書店
「一万円選書」で有名な、北海道のいわた書店。
選書という行為を研ぎ澄まして、本を通じて人とつながる価値を提供されています。
文喫
六本木にある「入場料のある本屋」です。
「本と出会うための本屋」をコンセプトに、入場料をとって本と向き合う時間を提供するサービスモデルをつくられています。
本離れが進んでいると言われている中でも、
・そのカテゴリーがもつ本質的な価値に立ち戻る
・価値提供の仕方を変える
ことができれば、必要とされるブランドになれる。
いわた書店や文喫のような独立系書店が増えていったら、社会全体の文化レベルも上がっていきそうでワクワクします。
番外編:台湾でも独立系書店が増えている
先日に台湾を訪れて、興味深かったのは、
台湾も、独立系書店(大型ではない本屋)の数が増えている
ことです。
台湾の独立系書店は、本を売るというより、サロン、ギャラリーなど対話する文化発信の機能がセットで提供されており、「若者が社会参加をする起点」となっているようです。
書店は本を売る場所ではなく、「文化拠点として価値が再定義」されて、新しい社会ニーズを生み出している取り組みとして面白いと感じました。
台湾政府の文化部(日本の文化庁にあたる)は、2012年から独立書店を振興、補助する政策も打ち出しているようです。
文化政策として独立書店を支える取り組みは興味深く、日本の各地域でも応用する可能性を模索していきたいです。
小さいけど独自価値を研ぎ澄ますために
小さな出版社、独立書店が増えているという記事から、マーケティングのヒントを探ってきました。
独自性を研ぎ澄ますための視点をまとめます。
ぜひ、ご自身が関わるブランド価値を研ぎ澄ますための参考にしていただけたら嬉しいです。
備忘録(これからやっていきたいことメモ)
最近は、マーケティングの力で、小さいけど魅力的な文化圏をつくっていきたいと考えています。
今回に書いた、小さな出版社や独立書店のマーケティングは、まさに小さな魅力を社会にたくさんつくっていく活動だと捉えています。
例えば、
・小さいけど、美味しくての人が集まる飲食店
・小さいけど、固有の文化が発信される書店
といった地域ブランドが増えれば、社会の豊かさをもっと作り出せるはず。
ということで、マーケティングと文化づくりの可能性を探索するために読んでいる本たちです。
マーケティングの力で、文化を耕す可能性を探索していきたいと思います。