会議の良し悪しはファシリテーターで決まる - 会議の質を高めるために大切なこと
ビジネスパーソンの多くの方がこの2年間で会議のオンライン化が進んだのではないでしょうか。会議の時間をより良い時間にする上でファシリテーターの役割はとても重要です。
元々イベントにおけるファシリテーションという文脈でお話させていただく機会は多いのですが、先日「会議のファシリテーション」というテーマで講義をする機会があり、色々と考えをまとめたので、今回は会議のファシリテーションについてベースになるポイントについて書きたいと思います。
ファシリテーターと司会の違い
会議では進行に関して「司会」という役割や「ファシリテーター」という役割がありますが、まずファシリテーターと司会の違いについて考えたいと思います。
司会 : 会議の議論の進行のみを担当
ファシリテーター:会議の"円滑な"進行を担当
司会は基本時に会議の議論の進行のみを担当する役割であり、参加者の意見を引き出したり、意見をまとめることはしません。
一方でファシリテーターは会議の円滑な進行を担当します。参加者の意見が出る場づくりを推進し、意見を引き出し、まとめるのが、ファシリテーターの役割なのです。
円滑な会議の前提
円滑なコミュニケーションを生む会議の前提として会議参加者の「心理的安全性の高い」関係値をつくることが大切です。
心理的安全性に関して、こちらの記事で心理的安全性についてこのように書かれています。
チームの心理的安全性が高い状態ですと、安心して意見を言いやすくなり、良質な議論が活発に行われるようになります。では、どのように心理的安全性が高い状態をつくれば良いのでしょうか。
こちらはダニエル・キム教授が提唱されている成功循環モデルですが、心理的安全性が高い状態をつくるためにとても大切な考え方です。心理的安全性の高い環境は、まず関係の質を高めることからスタートします。関係の質が高い状態では、"思考の質"が高まります。思考の質が高いと当然良い気づき、考えが出てくるため、"行動の質"が高まります。行動の質が高く積極的に動ける状況になると、成果が出やすくなり"結果の質"が上がります。結果が出る状況では成果の実感を持てるので、チーム内の関係値が更に高まり関係の質がさらに高くなるのです。こうして好循環、グッドサイクルが周り始め心理的安全性の高い状態が作られるのです。
会議において多くの意見が出やすい良い環境にするために、ファシリテーターは集まったメンバーの関係の質を高めるためにアイスブレイクの時間を設けるなど心理的安全性が高まることを意識することが大切です。
会議の地図を用意しよう
次にファシリテーターは「なぜ会議をするのか?」を考えましょう。会議において実現したいゴールが何であるかをファシリテーターが把握していなければ会議をどのようにリードしていくか分かるはずがありません。
ファシリテーターは会議で実現したいゴールが次の2つのどちらかをまず考えます。
現在の事業の継続に関することであれば、その会議は現在の事業の状況を把握するためのKPIやこれまでのアクションの確認などを行う「定例会議」と位置付けることができます。
一方、新しい事業・顧客創造に関する場合は、その会議は事業を新たに想像するために会議の参加者の意見を集め、これからのアクションを考えていく「生み出す会議」という位置づけになります。自分がファシリテートする会議のゴールを把握し、会議の使い分けをすることが大切となります。
ファシリテーターは会議が何を目的にしているのか、ゴールが何であるか、その会議の地図をまずイメージしましょう。そして実現したいゴールを会議の参加者にシェアしましょう。会議の参加者とファシリテーターはゴールを実現するための協力関係であるということをしっかりと意識し、ファシリテーターは参加者からアクションプランや具体的なアイデアを引き出していくことで会議の質が高まっていくのです。
そして会議を通じて出てきたアイデアやアクションプランを掛け合わせていくことでゴールを実現するための施策をまとめていくのもファシリテーターの重要な役割となります。
今回は、ファシリテーターに求められること、会議のファシリテーションをする上で重要なベースの考え方となる心理的安全性、そしてより良い意見を引き出し掛け合わせていく上で重要な会議の地図について書きました。
次回、現在増えているオンライン会議・ハイブリッド会議においてファシリテーターが意識するべき重要なポイントについて書きたいと思います。
今回シェアさせていただいた内容含め会議のファシリテーションの考え方について、「会議の強化書」がとても参考になりましたので宜しければお読みいただければと思います。