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ジョブ型雇用のリスクは、自分からキャリアの選択肢を作れなくなることかもしれない。

個人的にジョブ型雇用については懐疑的な印象が強いのですが、以下の連載記事を読みながら、改めて言語化されたことがあったので、今日はその話を。

気になったのは以下の部分。

ポストの職務や職責、求められる知識・経験などを職務記述書として明文化し、年齢を問わず、ふさわしい人材を充てる。

これはまさにジョブ型雇用の典型的な部分だと思うのですが、「ジョブ型」を推進しても「キャリア自律」が進まないという課題があるとのこと。

ジョブ型が機能するカギは社員が自らキャリアを設計する意識だ。職務記述書を読み、やりたい仕事に就くために一人ひとりが研さんすれば組織全体の人材力は高まる。ただ先行導入した企業でも「キャリア自律」はなかなか進まない。

それもそのはずではないでしょうか。そもそも職務記述書が明文化され、提示された選択肢の中からしか自分のキャリアが選択できないとしたら、それがどうして「キャリア自律」を促すことにつながるのだろうか、と。

ある程度のスキルや経験が身につくまでは、選択肢の中で、仕事をしていくということが重要だと思いますし、そういう機会がしっかりと設計されているというのが日本型雇用の良いところでもあったと思うのです。

ただ、残念ながらそれがそのまま会社依存という形を生んでしまった。ただ、現在の動向をみていると「ジョブ型」になったとしても、単純に依存するものの形が変わっただけではないか、という気がしてしまいます。

そうではなく、最終的に自分で仕事の選択肢を作っていけるようになる必要がある思うのです。それが本当の意味での「キャリア自律」ではないでしょうか。

では、どうすればそのような選択肢を作れるようになるのか。一つの方法として、別の環境に身を置いてみるというやり方があると思います。具体的なイメージを持ってもらうために、業務時間の20%だけ社外で働くという経験をした方の事例を紹介させてください。

大手企業の人事部門で経験を積んできた方が、HR系のサービスを運営しているスタートアップで、業務時間の20%だけ働く機会を得ることになりました。具体的にどんな仕事をしたかというと、そのスタートアップが運営しているメディアの記事作成という仕事です。人事としての業務経験があり、かつビジネスパーソンとしての基本的な文章作成能力があるという掛け合わせによって、実は人事としての業務ではなくコンテンツ制作という仕事が生み出されたわけです。

この事例に限らず、特定の職種における経験というものは、単にその職種でしか生きないというわけではありません。別の環境に身を置こうと動いてみることで、今は見えていない選択肢に気づき、キャリアを広げていくことができる。自分が社外で何かに取り組んでみる。自分のスキルや経験を別の場所で活かすとしたらどんな機会があるだろうか?そう考えることが、キャリア自律に繋がっていくと思うのです。

組織によっては、「ジョブ型雇用」が不可逆なものとして進んでいるケースはあるかもしれません。もちろんそれも意図があってのことともいますが、その「ジョブ」を通じて得られたスキルや経験が、規定された枠の外でどんな意味を持つのか、ということにも意識を働かせられると良いのではないでしょうか。その手段として、外を見てみるということも一つのやり方だと思います。

ぜひいろんな選択肢を探してみるきっかけになれば嬉しいです。それでは。


追伸
文中で紹介した20%だけ社外で業務経験をする「side project」というプログラムを提供しています。ぜひご興味がある方は説明会にご参加いただければ幸いです。


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