DXその前に!もうデジタルを使いこなせない経営者はいませんよね?
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
率先垂範という言葉があります。リーダーたるもの、人の先頭に立って物事を行い、模範を示すことが大事であると。山本五十六大将の有名な言葉に、「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」があります。手本になるだけでなく、コーチングをし、適切にフィードバックすることで人は動いていくということですね。
最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉もかなり浸透してきたでしょうか。働き方改革と共に、私たちの働く環境に大きな影響を与えるものです。終身雇用の終了宣言も出され、キャリア人生そのものを大きく見直さなければならない激動の時代に入ってきています。
ここでふと思うのは「これって全部社員側がなにかする話だ」ということ。終身雇用が終わるのであれば、その集大成(あがり)である年功序列・論功行賞の役員人事はどうなのでしょうか? 年功序列とはすなわち「ここまでの頑張りを認め、先に昇進させますね。なのでそれに見合う働きを今後もしてくださいね」という制度です。これこそ、終身雇用が前提でないとできないシステムでしょう。一方でジョブ型雇用の場合は「こういうスキルを持ち、こちらが期待する行動ができる人にはこの額を払いますよ」と、あくまで行動と結果がベースになっています。
経団連は当面の方策としてジョブ型雇用の拡充を挙げる。ジョブ型雇用は仕事内容を詳細に記述したジョブディスクリプション(職務記述書)に基づいて働く雇用制度だ。欧米企業などが広く採用している。仕事の難易度や貢献度に応じて高額報酬を提供する代わりに、中長期的な雇用を保証しない。ジョブ型雇用を活用すれば、日本企業もDXに必要な人材を必要な時に採用するのが容易になるだろう。
ただし優秀な技術者らを採用できたからといってDXを推進できるわけではない。DXが変革である以上、ビジネス構造の変革、そして従業員の意識や働き方の変革をリードできる人材がいる。つまりDXを主導できる経営者である。経団連に加盟する大企業の経営者は大半が日本型雇用制度にどっぷりつかってきた。そんな経営者が果たしてDXを主導できるのだろうか。
世界を見てみると、デジタル企業の経営者の主流は40代前後。役職によっては30代前半という例も多数あります。もう4年前になりますが、ドイツの伝統企業であるSAPでは、DXを指揮する立場のCIOは31歳での就任でした。
日本でも東証一部上場の大企業が、ドラスティックに全経営陣を変更した事例もあります。その時の新旧社長が同席した記者会見の模様が印象的です。
--井上社長が攻められないと感じたより具体的な理由は。
井上氏:やれなくはないと思うが、やはり十分ではない。最近思うのは携帯電話を携帯しないのは自分だけだなと。鞄の中に入れっぱなしで発信専用電話になっているところとか、ソーシャルサービスもどうも苦手で使い切れないところがある。ヤフーでは、自分が使っていいと思うサービスを作ろうというところがある中で、自分が使わないサービスが結構出てきているなと感じていたところもある。そういうものは若い人たちの方が使いこなしていると思う。
個人的にはこれは記者と新経営陣に対してのリップサービスだと思っていますが、本音もあったのかもしれません。重要なのは「自分が使わないサービス、使いこなしていないものでは陣頭指揮をとれない」と言っているところです。これは、1つの真理だと思います。
さて、DXを声高に叫んでいる経営者のみなさん。自身はバリバリとデジタルツールを使いこなしていますか? その上で、誰が一番指揮をとるべきなのかを考えてみていただきたいと思います。
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タイトル画像提供:Rina / PIXTA(ピクスタ)
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