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インターネットは海をも越えるが、依然として残る国境と言語と時差の問題

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ この記事は日経朝刊投稿募集企画「#越境ワーキングが救う人材」への寄稿です。

国を越えて働くことを「越境ワーキング」と言うらしいです。国内でもようやくリモートワークが浸透し始めたからでしょうか、都会だけでなく地方、さらには違う国でも同じように働けるのではないかという話だと思います。

日本は海に囲まれた土地であり、また日本語というバリアに守られていることから、越境人材が入ってきづらい環境にあります。一方でヨーロッパのように陸続きで、仕事で英語が使える人が多い環境だとごく普通に越境をしています。むしろ「仕事があるところに移動する」という働き方のほうが普通なのかもしれません。特にステップアップのチャンスであるような場合はなおさらです。また、これを可能にしているのがジョブ型雇用であり、英語であると言えるでしょう。

私が勤務するグローバル企業でも、頻繁に越境が見られます。私自身もグローバルのプロダクト開発に日本から参加することもあるため、越境ワーカーの一人なのかもしれません。同僚もオーストラリアやブラジルからシンガポールに異動したり(コロナ禍であっても!)、望むポジションがあるならば引っ越しも厭わないという人が多数います。

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その場合給与はどうなるのでしょう?多くの会社では、そのポジションに応じた勤務地での市場価格をベースに、物価や家賃相場を加味した調整をしている感じでしょうか。日本企業でも駐在手当のような形で調整をしているようです。

また避けては通れない話が、各国での納税義務です。また、アメリカのように永住権を持っている場合は、アメリカ滞在期間に関係なく全世界所得の確定申告が義務付けられているような場合もあります。そう考えると、働く側にとって「どの国で働くか」は大きな関心事でしょう。

すでにIT業界では「オフショア開発」と呼ばれる、日本よりもエンジニアのコストが低い国での開発をする手法があります。ベトナムが代表的ですが、中には日本語が堪能な方もいるため貴重な戦力として活用している企業も多いでしょう。また、時差も2時間しかないことも仕事がやりやすい理由です。

前職ではベトナムに開発会社を立ち上げて取締役をしていたこともありました。当時びっくりしたことは、物価の上昇の早さです。年に7%程度のインフレ状態だったため、給与をそのままにしておくと実質減給になってしまいます。よって、いわゆるベアをインフレ率と同等にしておかなければ、人材がすぐに離れてしまうリスクがありました。今ではどうかわかりませんが、成長している国においては当たり前にあることなので、気づけば日本国内でオフショア開発をしたほうがコストが低くなる場合も出てくるでしょう。

今後の日本の人材不足を考えたときに、海外からの越境人材の活用も視野に入ってくるでしょう。日本語バリアの話をしましたが、ひょっとすると我々が英語を習得するよりも早く、海外人材が日本語を身に着けてやってくるほうが早いかもしれません。2018年の調査では海外での日本語学習者は385万人もいるそうです。もちろんレベルは様々でしょうが、日本語を実際に学んでいる方々がこれだけいるということは、潜在的に活用できる可能性もあると思います。

いずれにしても、越境ワーキングはインバウンド・アウトバウンドどちらにおいても増加していくのではないでしょうか。


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タイトル画像提供:サイクロン / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #越境ワーキングが救う人材

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