そうそう、組織でのデータサイエンスの最大の壁は、「アナリスト」対「現場」。それを、解消するロサンジェルス・ドジャース
データサイエンスの良い事例にスポーツので事例
データサイエンスの強化は、今も企業の大きなテーマでしょう。私も、年に10回程度は、企業に招待いただき、データサイエンスの講演や講義を行なっています。
その講演の中で、スポーツでのデータサイエンスの事例を紹介します。なぜなら、スポーツでのデータサイエンスの事例は、かなりの部分が公開されており、そして、何よりも重要なのは、スポーツの関するデータは公開されているデータが多く、研究しやすいからです。
アメリカMLBでのデータサイエンス活用は有名
スポーツで私たちに馴染みがあるのは、アメリカのMLB(メージャーリーグベースボール)でのデータ活用でしょう。
MLBでは、主に以下のような項目にデータが活用されています。
選手評価とスカウティング
セイバーメトリクス指標
OPS (出塁率 + 長打率)、wOBA (加重出塁率)、WAR (勝利貢献度) などの指標を用いて、選手の真の実力を数値化し、従来の打率や本塁打といった指標では測れない能力を評価します。
データ分析: 選手の打球速度、打球角度、守備範囲、投球速度、球種などのデータ分析から、潜在能力の高い選手を発掘したり、選手の適性ポジションを見極めたりします。スカウティング
データベースを活用して、膨大な数の選手のデータから、チームのニーズに合った選手を探し出し、ドラフトやトレード戦略に役立てます。
戦略策定
打撃戦略
打席ごとの状況や相手投手の特徴などを分析し、最適な打撃戦略を立てる。例えば、特定の投手に対しては、ボール球を見極めて四球を狙う、あるいは、特定の球種にはスイングしないなど、データに基づいた戦略を採用します。守備戦略
選手の守備範囲や球際の強さ、相手打者の打球傾向などを分析し、守備位置やシフトを最適化します。
投手戦略: 投球データ分析から、打者の弱点を見抜き、効果的な投球配分や球種選択を決定します。また、投手交代のタイミングや、打者への配球戦略などもデータに基づいて判断されます。
選手育成
バイオメカニクス
選手の動作分析や身体能力測定などから、フォーム改善や怪我のリスク軽減につなげます。データに基づいたトレーニング
データ分析により、選手に必要なトレーニングメニューを設計し、効率的な体力向上を図ります。
しかし、アメリカでも問題だったのは、「アナリスト」と「現場経験者リーダー」の衝突
そして、スポーツに限らず、データサイエンスに取り組む組織から、上がる最初の悲鳴は、「アナリストの導いた分析は、現場で、押し潰される」とか、「客観的事実よりも、経験則からの判断が上回る」という悲鳴です。
そのことについて、NHKで放映した、「栗山英樹が見た“メジャーリーグのリアル”」という番組では、多くのアドバイスを得られます。(今のところ、2024/7/14(日) 午後5:59 までNHK+で見れるので、お急ぎください。)
特に、最後の方で、ロサンジェルス・ドジャースの編成本部長、Andrew Friedman(アンドリュー・フリードマン)さんとの会話の振り返りは、多くのヒントがあります。
Andrew Friedmanさんは、データ分析重視のチームカルチャーを作ったことで、有名です。そして、ワールドシリーズに4回進出(2017, 2018, 2020, 2022)し、2020年に優勝するなど、実際に結果も残している、変声本部長です。
そして、栗山さんとの会話の中で、
「もし私たちが議論しないのであれば、それこそが心配です。議論がない組織には問題があります。なぜなら他の人の経験や異なる考えを聞かずに、一人のトップが『こうすべきだ』と言っているだけではベストな選択はできません」
と、Andrew Friedmanさん述べている点は、本当に学びです。
データサイエンティストの方、ぜひ「栗山英樹が見た“メジャーリーグのリアル”」を見てみて
ぜひ、企業で、データサイエンティストを牽引している方は、この番組、みれる内に、参考にしてみてください。番組の内容は、野球を超えて、すべての組織に当てはまることが、本当に多いと思います。