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人生は選択の連続だ Y字路に惹かれる人と一筆書きを愛する人

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

街歩きが好きという方は結構多いのではないでしょうか。街歩きの達人であるタモリさんが街に残された痕跡等に出会いながら多様なトークを繰り広げる「ブラタモリ」(NHK総合)も人気のTV番組でした。

学生時代から入り浸っており、現在も勤務するオフィスがある渋谷はユニークな地形を持つ都市です。渋谷はその名の通り、尾根と谷が織りなす起伏に富んだ街です。その昔はいくつもの支流や水路があり、それらが合流していき川となり、最後は渋谷川へと流れ込みます。流れと流れが合流するところは「Y字」となり、今でも宇田川町などその名を残す地名も存在しています。

Y字路は分かれ道、つまり「巷」。行き交う人々が集まることで賑いをみせる場所になったり、向こうとこちらの境界ということで悪いものがこないよう道祖神・塞の神をおいたりして外界からの魔除けをしていました。

特殊な場所として注目もされてきた。「Y字路は『巷(ちまた)』ともいい、古くから境界地点と認識されていた。人が集まる場所である一方で、悪いものも集まってくるので塞(さい)の神や、地蔵などを置いて侵入を防いだ。渋谷自体が江戸の境界にあるというのも象徴的」(深沢さん)。歴史的に見ても、人を引き付ける磁力がある。

渋谷のY字路にはランドマーク的な建物がいくつもある。109のほか、旧東急百貨店本店もYの角地に立っていた。渋谷モディやハンズもしかり。繁華街の真ん中にある宇田川交番は斧(おの)をモチーフにした珍しいデザイン交番だ。

日経電子版

街にあるY字路をアート的な側面で捉えたのが、横尾忠則です。アバンギャルドな作品が多い中で珍しく写実的な表現を用いたもので、Y字路の行く先が暗闇に溶けていくさまが、見るものを美しくも恐ろしいような不思議な気持ちにさせます。

Y字路シリーズが生まれたのは2000年のこと。同年、西脇市岡之山美術館(兵庫)で開催された「横尾忠則西脇・記憶の光景展」ために横尾は西脇市に滞在し、12日間で17点の新作を制作した。当時の横尾は都会にはない闇夜に関心を寄せており、夜間に繰り返し街に取材に出かけていたという。そこで目に止まった、かつての通学路にあった模型店跡地をインスタントカメラで撮影し現像して現れたのがY字路だった。中央の建物がストロボによって白飛びし、左右に別れた道が闇へと溶け込む写真。そこからインスピレーションを得て制作された「暗夜光路 N市」がシリーズの始まりだ。これらは写実的に描かれており、横尾作品のなかでも珍しいものだという。会場冒頭では同じシリーズから5つの作品が並ぶが、これらが揃うのは同館でも初めてだという。

美術手帖

横尾忠則によれば「どっちにいっても地獄」らしいのですが(笑)、人生も日常生活も選択の連続です。一方でIT業界のレジェンドは「仕事以外の決断を減らして、120%本業に集中したい」という理由で毎日同じ服を着るという方々がいます。Meta社(旧Facebook社)の創業者 マーク・ザッカーバーグやApple社のスティーブ・ジョブズらが代表的です。ザッカーバーグは年中グレーのTシャツとジーンズ。といっても、あのアイコンとも言えるTシャツはイタリアの名ブランド「ブルネロ・クチネリ」のものですので、1枚8万円くらいする上質なものですが。

Y字路は独特の魅力にあふれていますが、個人的には「行きと同じ道を歩かない」という癖があります。一日の行動が一筆書きでトレースできるようなルートを好んでおり、まっすぐの道を同じように往復することに強い抵抗を感じます。いつからこうなったのかの記憶は定かではないのですが、中学生くらいのころからそういう傾向があったと思います。理由もいまいち言語化できていないのですが、行きに見た景色を再び見たくないという感じです。なるべく新しい発見をしたいという根源的欲求がそのような行動に駆り立てるのかもしれませんね。


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タイトル画像提供:yu_photo / PIXTA(ピクスタ)


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