メディア芸術祭の受賞作からテクノロジーと表現のトレンドを読む
今月半ば、4,192作品の応募から選ばれた「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品が発表されました。
『第21回文化庁メディア芸術祭』ロゴ
メディア芸術祭は、国内外のアート、エンターテイメント、映画、スマホアプリ、マンガ、アニメ、ゲーム…などなど、多様な分野の表現の異業種混合戦のようなコンペティションで、毎年毎年その時代の空気感を象徴するような作品が選出されるので、いつも楽しみにしています。
(ちなみに僭越ながら昨年度に私も『デジタルシャーマン・プロジェクト』という作品で受賞をさせて頂きました)
http://festival.j-mediaarts.jp/news/031601/
受賞作品展は平成30(2018)年6月に国立新美術館(東京・六本木)を中心に開催、とのことなので実際に作品を体験できるのはもう少し先になりますが、
受賞作品のラインナップを見た時点で「おっ」と思ったことをまとめてみます。
作品ではなくプラットフォームの受賞
今年の受賞作品で異彩を放っていたのがエンターテインメント部門優秀賞の「PaintsChainer」。
機械学習を用いて線画に自動着色するサービスで、昨年にSNSで話題になっていたのでご存知の方も多いかもしれません。
個別の絵画作品、イラストレーションではなく、それらを支援するプラットフォームやサービスの方が受賞するというのは極めて今日的だなあ、と感じます。
画像加工アプリや様々な表現ツールが出て来るなか、ツールに乗って遊ぶだけなのか、ツールを根底から作るのか、ツールを俯瞰した視点で組み合わせるのか、、、現代のクリエーターは自分はどういう立ち位置で表現に関わるのか?をメタ的に考える必要があるのかもしれません。
未成年作家の台頭
インターネットで誰もが情報収集・情報発信・創作をできる現代、表現者や才能の若年化が著しく進んでいるという体感があります。
それを象徴するかのような受賞者が、メディア芸術祭の最年少受賞となった会田寅次郎くん(生まれ年は公開されていませんでしたが、年齢的には10代半ば、思春期ど真ん中だったはず)。「I’m In The Computer Memory!」という作品でアート部門新人賞を受賞しました。
かの有名な現代美術作家である会田誠さんの愛息子で、芸術一家ながらバリバリ理系、人工知能開発に傾倒する天才少年です。↓受賞作品とはまったく違うものですが、以前「会田家」としての作品が物議を醸したことも…
https://www.huffingtonpost.jp/2015/07/26/aida-makoto-geki_n_7876288.html
そもそも血筋が異常、というのもありますが、こういった才能の若年化はこれからどんどん進んでいくだろうなと踏んでいます。
なまじ大人よりも新しいものへの吸収力がすごい分、変動の大きいこれからの時代で爆発的な活躍を見せるのは「子供」や「ティーン」なのかもしれません。私もぎりぎり思春期にインターネットを使っていた世代ではありますが、最近話題になっていたこの記事を読んだりするにつけ、「すげぇ……」とポカーンとせざるを得ません
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1803/21/news005.html
とはいえ諸々まだ作品を見る前の推定にすぎませんので、6月の受賞作品展が楽しみです!
新規事業やビジネスのアイデアに繋がるかもしれませんので、ビジネスパーソンの皆様もぜひ足をお運びくださいませ。
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